米政府がブロックチェーン関連企業5社に出資、新技術導入に本腰

米政府がブロックチェーン関連企業5社に出資

米国土安全保障省(DHS)の研究開発部門である科学技術理事会(S&T理事会)のシリコンバレーイノベーションプログラム(SVIP)における出資先として、今週の金曜日、応募総数およそ80社の中から5つのブロックチェーン関連のスタートアップを選定していたことが分かった。出資合計額は817,712ドル(約8,600万円)となっている。

税関・国境警備局(CBP)、市民権移民局(USCIS)、DHSプライバシー局(PRIV)における偽造防止業務などの再考を目的として、今回の5社が選ばれた格好だ。

選出された5つの企業は最大6ヵ月、DHSの顧客機関を対象に、以下の概念実証に取り組むことになる。

MATTR Limited

ニュージーランドのオークランドに拠点を置くスタートアップで、今回、20万ドルの調達に成功。

USCISにおける、電子発行および電子認証システムの処理能力向上に取り組む。コロナ禍において、これらシステム効率化のニーズが高まったことが、選考理由の一つとしている。

Mesur IO, Inc.

ノースカロライナ州のチャペルヒルに本拠地を構える。193,612ドルを調達。CBPの食品サプライチェーンの透明性の向上に努める予定だ。

同プロジェクトでは特に、海外サプライチェーンにおける農場から購入地点までの可視性向上を通した、食品衛生管理の改良に焦点を当てている。

Spherity GmbH

ドイツ、ドルトムントに基盤を置くスタートアップで、145,000ドルを調達。顧客と直接取引を行う電子商取引に関したCBPサプライチェーンの追跡機能のケーパビリティ向上に取り組む。

同社のコア技術であるデジタルツイン・バインディング技術が応用されるとしている。これにより、身元データと販売元をバリューチェーンを通して結ぶことが可能になるという。

SecureKey Technologies

カナダ、トロントにある企業で、以前よりSVIPのポートフォリオをとして同社は選定されている。

今回は、193,000ドルを調達に成功した。社会保障番号(SSN)の代替となる身分証明システムの構築を支援する。

SSNとは、米国内の市民・永住者・外国人就労者に対して発行される9桁の番号で、主に身分証明に利用される。

その他には、労働・疾病・学業・クレジットなどの記録に社会保障番号が用いられることもある。

2015年に、このSSNを含む個人情報が数千万件流出し、税金の還付金をだまし取る「なりすまし詐欺」が横行するなど、同システムのセキュリティに懸念を抱く声が多く寄せられている。

Mavennet Systems, Inc.

カナダのトロントに拠点を置き、以前よりSVIPのポートフォリオ企業となっている。

今回、86,100ドルを調達している。米国ーカナダ間の天然ガスのトレーサビリティ向上を目標に、CBPの支援を行う。

SVIPの技術顧問を務めるAnil John氏は、今回の選考について以下のように語る。

我々が共有した課題に対して、80社以上から応募があり、世界中から様々な見方・アプローチでの解決策が提案されるなど、非常に競争率の高いものであった。

選ばれた企業は革新的なソリューションを提案しており、W3Cのグローバルスタンダードに準拠した相互運用性にも強いコミットメントがあった。

これまでのサイバーセキュリティに関する問題やコロナ禍で浮き彫りになった課題に対し、米政府が新技術に解決策を見出そうとする様子がうかがえる。

参考:www.dhs.gov

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