高級時計をブロックチェーンで真贋保証、スイス Breitlingが実利用
ブロックチェーンで高級時計の真贋保証
スイスの高級時計メーカー、ブライトリングが、時計が本物であることを保証するためにイーサリアムのブロックチェーンを活用することが分かった。
ブロックチェーンは、高級品のデジタル認証の世界標準構築を目指す非営利コンソーシアム「Arianee」が提供するもので、イーサリアムERC-721標準を使用している。
時計一つ一つには、シリアル番号などのデータを含むデジタル証明書が付属し、時計の真正性と所有権の正当性を証明するために役立てる。
購入日、修理の記録など、製品の全履歴がブロックチェーンに登録される。また、時計を第三者に転売することにした場合には、デジタル証明書をその購入者に転送するだけで、取引が完了する仕組みだ。
時計を紛失、破損、または盗難にあった場合は、修理を簡単に申込むことができるほか、その過程を追跡したり、保険を有効にすることも可能になるなど、多くのメリットがあるとしている。
また、プライバシー面も考慮されており、匿名のままで個人データを管理するオプションが用意されている。
ブライトリングの時計を購入した者は、スマートフォンのカメラで時計に付属してくるカードをスキャンするだけで、デジタル証明書を安全に保管するプライベートなデジタルウォレットをダウンロードしたりアクセスできるようになるため、仕組みの煩わしさもない。
ブライトリングによると現在のところ、こうしたブロックチェーンによる証明プロセスは、新しい時計でのみ利用可能だが、2021年1月中旬からは、過去に製造されたブライトリングの時計にも適用される予定だ。
ブライトリングの最高デジタル技術責任者Antonio Carrieroは次のように述べる。
私たちは、お客様とのつながりを強化して最高レベルのサービスを提供し、また同時にお客様のプライバシーも保証する、またとない機会を持つことになった。
高級ブランドを認証する「Arianee」
「Arianee」は2017年に設立され、高級品のデジタル認証の世界標準構築を目的としているブロックチェーンの非営利コンソーシアムだ。
そのウェブサイトでは、高級品の所有者にブロックチェーンにより快適さ、安全性、信頼、喜びを提供、コレクションの構築などを容易にして、ブランドと所有者の間に強いつながりを提供すると説明している。
Arianeeはスマートフォンで使用できる、デジタル・ウォレットを提供しており、そこで各人に発行される「デジタル・パスポート」により、その人が所有している高級品の各種データを閲覧・管理可能だ。
Arianeeメンバー企業には、ブライトリングの他にも、高級時計「オーデマピゲ」「MB&F」「ヴァシュロン・コンスタンタン」、服飾メーカー「RSVP」など15社が参加している。
ルイ・ヴィトンやダイヤモンドの事例も
高級品にブロックチェーンで真贋証明を行う試みは近年増加している。
昨年発表された「AURA」というプラットフォームは、ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなどの高級ブランドの履歴を保証するために開発されている。
偽造品による被害に悩まされてきた業界に対するソリューションとなる見込みだ。
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また中国のSNS「WeChat」上では、ブロックチェーンを利用したダイヤモンドの小売プログラムが発表されており、様々な高級品の真贋鑑定とトレーサビリティにブロックチェーン が応用されつつある。
世界最大規模のダイヤモンド採掘企業であるロシアのAlrosa、中国のTencent、テクノロジー企業のEverledgerの三社が共同で行うプロジェクトで、消費者はダイヤモンドの産地、特徴、真正性や、所有履歴を十分に理解・把握した上で購入できるようになるとしている。
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