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国内初USDC決済の成果と展望を語る、ネットスターズ×羽田空港|StarPay Business Conference 2026

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコイン、空港で実用化へ

ネットスターズと日本空港ビルデングは2026年1月26日から2月28日まで、羽田空港第3ターミナルで、国内初となるUSDCステーブルコイン決済のPOC(概念実証)を実施した。

対象はみやげ菓子を取り扱う「Edo食賓館(時代館)」と出店ブランドが入れ替わる「Edoイベント館」で、いずれも空港内セキュリティチェック前のエリアに位置する。決済基盤にはメタマスク(MetaMask)ウォレットとソラナ(Solana)ブロックチェーンを採用、支払い速度を最優先に技術選定が行われた。

同POCを推進したネットスターズのCEO、COOと日本空港ビルデングの専務執行役員が、2026年3月17日に開催された「StarPay Business Conference ~Strategy & Challenge in Real~」の最終セッションに登壇し、取り組みの詳細と今後の展望を語った。

登壇者は以下のとおり。

  • 藤野 威(日本空港ビルデング株式会社 取締役 専務執行役員)
  • 李 剛(株式会社ネットスターズ 代表取締役社長CEO)
  • 長福 久弘(株式会社ネットスターズ 取締役COO)※モデレーター

左:藤野氏|右:李氏

既存QRコードと同一の操作感でUSDC決済を実現

POCの技術構成はUSDC(米ドル連動のステーブルコイン)、メタマスク、ソラナの組み合わせだ。ソラナを採用した理由についてネットスターズは、アドレスが比較的短く処理時間を短縮できる点と、高速なトランザクション処理能力が空港という高トラフィック環境に適している点を挙げた。リテール決済では支払い速度が最重要であり、ベースチェーンとして選択したという。

特筆すべきはユーザー体験の設計で、決済フローはPayPay(QRコード決済サービス)など既存のQRコード決済と同一の操作感で利用できる。店舗側も既存のStarPay端末(ネットスターズが提供するマルチ決済対応端末)をそのまま使用でき、日本円建てでのCPM(店舗読み取り)方式で対応。新たなシステム導入コストを最小化した点をネットスターズは「現場で回るかどうか」を重視した。

関連:羽田空港でステーブルコイン決済実証開始、ネットスターズに聞く技術選定の背景

空港を起点に選んだ理由

藤野氏は、取り組みの動機として「海外で慣れ親しんだ決済手段を日本でも使えるインバウンド環境の整備」を挙げ、デジタル資産をリアルな商業空間に接続する次世代決済インフラの検証として位置付けると説明。

李氏は、ファーストパートナーに羽田空港を選んだ理由として、10年来の協業実績と、同空港の国際性・公共性・発信力を兼ね備えつつ新しい取り組みへの前向きな姿勢を挙げた。「単なる実験ではなく、社会的な意味を持つ場所でやりたかった」と語り、今回のPOCを「Web3を”語る”段階から”使われる”段階への進化の一歩」と表現した。

李氏はその背景にある考え方として「Web2.5」という概念を提唱した。既存の法定通貨の仕組みとUSDCのような新しいデジタルアセットがしばらく共存するという想定を踏まえ、「いきなり全てがWeb3になるわけではない。Web2の決済インフラの上に新しいブロックチェーン技術を無理なく載せ、Web2とWeb3を上手く繋ぐことが重要」との立場をとった。今回のPOCはまさにこの思想を体現した取り組みとして位置付けられる。

両社の関係は2016年に遡る。国内空港初のWeChat Pay導入を皮切りに、アリペイや国内各社のQRコード決済をサポートし、現在では羽田空港のQRコード決済比率が20%超を占めるまでに拡大している。

イベントで上映された映像。QRコードを提示し、店舗端末で読み取るステーブルコイン決済の様子

GENIUSアクトと日本の先行規制

ステーブルコインを巡る規制環境についても議論が交わされた。米国では2025年7月、トランプ大統領が署名したGENIUS法により、ステーブルコイン発行体へのライセンス取得・100%準備金・監査・ガバナンス開示が義務付けられた。USDCのような透明性の高いステーブルコインが決済・送金に「現実的な選択肢」となる環境が整ったと李氏は評価した。

一方、日本国内でも資金決済法に基づくステーブルコイン規制はすでに整備されており、「グレーな存在ではなくなっている」と述べた。

今後の展開

藤野氏は今後の計画として、出国審査後の免税店やレストランへの対象拡大、羽田アプリ会員との連携による「決済以外の可能性」の探索を挙げた。さらに他空港や商業施設への展開も視野に入れる。

李氏はPOCで得た利用体験・店舗オペレーション・システム全体の流れに関するデータを丁寧に検証した上で、空港以外のインバウンド施設やクロスボーダー決済シーンへの展開可能性を検討するとした。また両者は生体認証決済との組み合わせについても「次のステップで実現したい」との考えで一致した。

こうした展開の基盤となるのが、ネットスターズが進める「StarPay X」へのプロダクトの進化。現行のStarPayが国内外50種類以上のキャッシュレス決済に対応する「マルチ決済ゲートウェイ」であるのに対し、StarPay XはUSDCのようなデジタルアセットを含む「マルチ金融ゲートウェイ」への進化を目指す。今回の羽田空港でのUSDC決済POCは、この戦略的ロードマップの一環として位置付けられている。

李氏はセッション最後に「新しい技術を語るだけでは社会は変わらない。現場でしっかり使われ、利用者が価値を感じて初めて意味がある」と語り、今回のPOCを起点に「新しい決済モデル・消費体験・金融サービスを羽田空港から発信していきたい」と締めくくった。

StarPay Business Conference 2026について

ネットスターズが主催するパートナー向けビジネスカンファレンス。「Strategy & Challenge in Real」をテーマに、アジア市場を中心としたグローバル戦略、VISAとのB2B企業間決済、VR×決済の可能性、JPQR Globalによるアジアクロスボーダー決済など、同社が現在進める事業の実例と戦略が幅広く紹介された。

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