ナイジェリアで世界初の分散型金融(DeFi)信用組合が誕生
信用組合向けのDeFiプラットフォーム
ナイジェリアに本拠を置くスタートアップ「Xend Finance」が、世界初となる信用組合や協同組合向けの分散型金融(DeFi)プラットフォームをローンチした。
プレスリリースによると、同社はBinance LabsやGoogle Developers Launchpad、AU21 Capital、TRG Capital、またMaticの共同創業者であるSandeep Nailwalなどが参加した戦略的投資ラウンドで、150万ドル(約1.57億円)の資金調達に成功している。
DeFiで信用組合の課題を解決
信用組合や協同組合は、貯蓄や融資など通常の銀行業務を行う金融機関だが、組合員による相互互助を基本理念とする組合組織であるため、その活動において組合員の属性や地域性が制限される。小規模な組織が多いことから、流動性へのアクセスが困難で、貯蓄の利回りも伸びないという課題を抱えていると、Xendの創業者兼CEOのAronu Ugochukwu氏は指摘する。
また、アフリカ社会で共同拠出金や貸付金プールの役割を果たす「Esusu」という伝統的な互助の仕組みがあるが、通常最大12名という小さな組織は、不安定な国の経済の影響で通貨の切り下げリスクに直面することが多い上、その拠出金には保険がかけられていないなど、問題も多いという。
Xend Financeは、このような課題の解決を図るため、世界のどこからでもアクセスできるDeFi信用組合として、業務を最適化するプロトコルを提供する。
「信用組合とは異なり、Xend Financeは地理的位置や流動性の低さ、預金保険の欠如などの制約を受けない。当社の革新的な技術はこれらの問題を解決し、安全で堅牢な、誰にでも開かれた透明性の高いサービスを提供する。」
Ugochukwu氏はこのように述べた。
主な特徴
Xend Financeは、スマートコントラクトやクロスチェーン機能が実装可能なバイナンス・スマートチェーン上に構築されている。
ユーザーの預金はステーブルコイン(現在はDAIのみに対応)に変換され、Compound、 Maker、 Aaveなどのレンディングプラットフォームでステーキングすることにより、複利を得ることが可能で、プレスリリースによると、年間最大15%の利回りが得られる計算になるという。
Xend FinanceはXend Tokenスマートコントラクト、Governorスマートコントラクト、Time Lockスマートコントラクトという3つの異なるスマートコントラクトを使用する分散型自律組織(DAO)であり、ガバナンスのためのネイティブトークン、Xendも導入される。
Xend Financeのユーザーは、個人として、またはグループで信用組合や協同組合を組織して、預金を開始することができる。ユーザーの資金は分散型保険により保護されるという。
Xend Financeの母体であるXendは、 2019年より個人とビジネスを対象とした決済サービスを運営しており、既に5万5000人のユーザーネットワークを築いている。この既存のネットワークにDeFiの利用を促すことで、さらなる金融包摂を目指す。
ナイジェリアと仮想通貨
ナイジェリアは、アフリカ諸国の中で、P2Pの仮想通貨取引が最も盛んな国で、仮想通貨利用状況も、世界8位にランクインしている。(Chainalysis調査)また、仮想通貨取引所最大手のバイナンスは、最初の法定通貨ペアとして、ナイジェリア・ナイラに対応した経緯がある。
さらに、先月、ナイジェリア政府は、国家戦略としてブロックチェーン技術の導入計画を発表、デジタル経済への移行に意欲的な構えを見せている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します