ソニー・ミュージックとGaudiyが提携「ブロックチェーンで新たなエンタメ体験を」
ブロックチェーンで新たなユーザー体験を創出
ブロックチェーン企業の株式会社Gaudiy(ガウディ)が、ソニー・ミュージックエンタテインメントとの業務提携を発表。ブロックチェーン技術により、新しい領域のデジタル化推進や、エンタメ分野での新たなユーザー体験、産業モデルの構築を行っていく見込みだ。
ソニー・ミュージックエンタテインメントが統括するソニーミュージックグループは、人気の音楽、アニメ、ゲーム、キャラクターなどの知的財産(IP)を多数保有しており、こうしたコンテンツでこれまでになかった試みが期待される。
すでに2社は、ソニーミュージックグループに所属するアイドルグループのファンに対して、部分的にブロックチェーンを活用した実証実験を始めており、今後のさらなる動きが注目される。
Gaudiyは「ファンと共に、時代を進める。」をミッションとして、エンタメ領域のデジタル化を推進するトークンエコノミー事業を展開している。 週刊少年ジャンプ(集英社)や、アニプレックス、大手ゲーム会社、大手スポーツチームなど様々なエンタメ企業と共同事業を行い、ブロックチェーンを活用したBtoC(Business to Consumer)のコミュニティサービスを提供中だ。
16日には、シリーズAラウンドで3億円の資金調達を行ったことも明かしており、グローバル展開なども踏まえ、事業拡大・採用強化を加速する姿勢を示している。
人気漫画「約束のネバーランド」の事例
Gaudiyは、週刊少年ジャンプ(集英社)で連載され、コミックス累計発行部数2500万部を誇る「約束のネバーランド」について、10月よりブロックチェーンを活用した公式コミュニティ「みんなのネバーランド」サービスの提供を開始している。
「みんなのネバーランド」では、ファンがイラストを投稿したり様々なトピックのチャットルームに参加して語りあうことができるサイトだ。ユーザーには投稿などの活動に応じて、コミュニティのコインが付与され、オリジナルグッズと交換することもできる仕組みである。
漫画の翻訳・海外販売プロジェクト
11月12日にGaudiyは、マンガに特化した機械翻訳技術・法人サービス「Mantra Engine」の開発を行うMantra株式会社との提携も明かしている。
これまで漫画は翻訳言語が英語に限定されがちなことや、日本語のオリジナル発表から、翻訳版発行までに時間がかかることなどを背景として、海外で非公式に翻訳された海賊版が出回るという問題が存在していた。
こうした問題を、両社はコミュニティを活用した漫画翻訳サービスを開発することで解決しようとする。即時性の高い多言語翻訳と海外販売が実現できるようにして、IP事業の成長を促進するものだ。
仕組みとしては、Mantraが提供するAIが翻訳したテキストを、世界のファンやコミュニティメンバーが修正し、最終的に書籍化するもの。販売収益の一部は、翻訳した人々に還元されるという。
エンタメにブロックチェーンを活用する利点
Gaudiyが進めるエンタメ領域のデジタル化により、IPコンテンツが抱えていた課題の解決が期待されている。
漫画作品など、あるIPコンテンツは、ヒットするとゲーム化、映画化、アニメ化など様々な事業分野へと展開されていく。その際ユーザーと直接に接点を持つのは、コンテンツの提供先である配信サービスや、ECなどのプラットフォームとなる。IPコンテンツ事業者には直接ユーザーとの接点がないために、マーケティングデータが蓄積されない状況があった。
この点、ブロックチェーンによるコミュニティサービスを行うことで、直接ユーザーと接する機会を作れることになる。また、ブロックチェーンを活用した分散型IDにより、異なる企業間のサービスを連携させることも可能だ。
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