ビットコイン次期大型アップグレード:「タップルート」実装に支援の手
期待されるビットコインアップグレードを支援
ビットコインのマイニングプール大手「Poolin」が、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの大型アップグレード「タップルート」(Taproot)の実装を支援するため、その導入に関する情報を提供するウェブサイトを開設した。
Poolinは、F2Poolに次ぐ世界第2位のビットコイン・マイニングプールで、直近1ヶ月間のデータでは、ビットコインネットワークにおける総ハッシュレートの13.1%を占めている。(F2Poolは17.2%)
「タップルート起動」サイトでは、既にBTC.com(世界3位、ハッシュレートシェア:11.5%)とSlush Pool(ハッシュレートシェア:2.6%)が、タップルート実装への支持を表明し、それぞれが考える最善の実装方法の詳細を公開している。
タップルートとは
2017年にSegWitが実装されて以来の重要なアップグレードとなるタップルートは、ビットコインネットワークのプライバシー機能を高めるとともに、処理速度の向上を図る技術で、シュノア署名とMAST(Merkelized Abstract Syntax Tree=マークル化抽象構文木)の利点を融合するソリューションだ。
シュノア署名
タップルート実装にあたっては、まず、シュノア署名アルゴリズムの導入が必要となる。効率が良く安全な署名方式として、多くの暗号学者が高い評価を与えているシュノア署名は、ビットコイン開発当時は特許の関係で導入されなかった経緯がある。しかし、特許が失効したため、ビットコインコア開発者が長年切望していた同技術の導入が提案され、実装のための開発が進んでいる。
シュノア署名方式では、単独の受信者の場合は、全てのトランザクションの署名を一つにまとめることが可能で、署名データサイズを削減できる。ブロック内での署名データサイズを縮小し、処理能力の効率化につなげ、スケーラビリティ改善に繋がる。
また、マルチシグと通常のトランザクションを区別できなくすることが可能。さらに秘密鍵と公開鍵のペアを「微調整」することが可能でプライバシーの強化にもつながると言われている。
MAST
MASTは、コンパクトなデータ構造を利用して、より柔軟なスマートコントラクトの構築ができる技術で、ビットコインのスマートコントラクト機能を高める。必要な条件だけを公開することで、トランザクションのデータサイズを削減しプライバシーを高めることができる。
タップルートはシュノア署名とMASTの上に構築され、Tapscriptという新しいスクリプト言語を組み合わせることで、ビットコインのスマートコントラクトの柔軟性を拡大すると同時に、複雑なスマートコントラクトを通常のビットコイン取引と同様に見せかけることが可能になる。つまり、ブロックチェーン上のトランザクションの見え方を均一化し、区別がつかないようにすることで、プライバシーが強化される。
タップルート実装方法
ビットコイン開発者の間では、タップルートの導入に関しては概ね意見が一致しているものの、実際の導入方法の詳細については、意見が分かれる部分もあるようだ。
前回のプロトコルアップグレードでは、Segwit実装の有効化に長い時間がかかった教訓から、今回は、タップルート実装のための最善のアプローチについて、開発者らは議論を重ねている。その内容を一覧できるようにしたのが、Poolinが開設した「タップルート起動」サイトだ。
大まかに分けると、ソフトフォークを起動するBIP9(ビットコイン改善提案9)とBIP8の二つの方法が提案されているが、その二つの組み合わせに対しても検討可能だという。
BIP9と強制起動なしのBIP8
ハッシュパワーの95%がアップグレードを支持した際にアップグレードが起動する。1年経過後、この閾値に達しない場合、アップグレードは失効する。(95%閾値と有効期限1年の設定については変更も可)
BIP8:強制起動あり
ハッシュパワーの95%がアップグレードを支持した際にアップグレードが起動する。この閾値に達しなくても、1年後にアップグレードは有効となり、新たなルールに従わないブロックは拒否される。(95%閾値と有効期限1年の設定については変更も可)
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します