WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ビットコインへの量子脅威は「数十年の猶予がある解決可能な技術課題」=コインシェアーズ分析 実質的リスクは総供給量の約0.05%

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

量子脅威は差し迫った危機ではない

暗号資産(仮想通貨)投資企業CoinShares(コインシェアーズ)は6日に発表した最新レポートで、ビットコインの量子コンピュータに対する脆弱性は「差し迫った危機ではない」との見解を示した。同社は量子リスクを「予見可能な技術的課題」と評価し、ネットワークが適応策を講じるための十分な時間的猶予があると分析している。

「量子コンピュータが仮想通貨エコシステム全体を破壊する」という言説は誇張であり、事実に反するとコインシェアーズは指摘する。

ビットコインの安全性は、「マイニング(ハッシュ関数)」と「取引の正当性(署名技術)」という2つの暗号基盤に依存している。同レポートは、量子コンピュータの影響を現実的に受けるのは後者のみであり、その範囲も極めて限定的であるとの認識を示した。

コインシェアーズは、量子コンピュータをもってしても、ビットコインの根幹である「2,100万枚の供給上限」の変更や、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」という合意形成メカニズムの無効化は不可能であると強調している。

量子攻撃の対象となり得るのは、公開鍵がすでに露出している旧形式(P2PK)のアドレスに眠る約160万BTC(総供給量の約8%)のみであると指摘。さらに、その中で実際に盗難が起きた場合、市場に深刻な混乱を招くほど資産が集中しているのは、約1万200BTCにすぎないと推定している。

残りのBTCは3万以上の個別UTXO(未使用トランザクション出力)に分散しており、それらすべてを解読・奪取するのには、最も楽観的な量子技術の進展をしても数千年という非現実的な時間が必要になるとした。

また、現行の主要なアドレス形式(P2PKHやP2SH)では、公開鍵がハッシュ化によって隠匿されているため、送金(署名)の瞬間まで量子攻撃に対する安全性が保たれると指摘した。一部で見られる「供給量の25%が脆弱」という主張については、取引所でのアドレス再利用などに起因する一時的なリスクが含まれていると分析。これらはアドレスの使い回しを避けるといった「ベストプラクティス」の遵守により、容易に回避可能であるとしている。

関連: a16z専門家、仮想通貨の量子脅威に「誇張の傾向」を指摘

タイムラインと実現可能性

コインシェアーズは、ビットコインのアドレス生成や署名に使われている楕円曲線暗号「secp256k1」を、1年未満で解読するには、現在の論理量子ビット数の1万〜10万倍が必要とされると指摘。このことから、実効性のある量子技術の登場は「少なくとも10年以上先」になると予測している。

研究者らの分析によると、公開鍵を1日以内に解読するためには、現時点では実現されていない「フォールトトレランス(誤り耐性)」と「エラー抑制性能」を備えた、1,300万物理量子ビット規模の量子コンピュータが必要になる。Googleの最新チップ「Willow」が105量子ビットであることから、これは、現在トップレベルの量子コンピュータの約10万倍の規模に相当する。

さらに、解読を1時間以内に短縮しようとすれば、現在の量子コンピュータの300万倍優れた性能が求められる。

数年単位の時間をかける「長期的な攻撃」は、理論上では10年以内に可能になるかもしれない。しかし、未承認取引を狙う「メモリプール攻撃」のように10分未満での計算が求められる短期的な攻撃については、極めて長期(数十年単位)の技術進歩がなければ、実現は不可能だと同レポートは総括している。

積極的介入の是非

レポートは、量子耐性に対応するために、ソフトフォークによる未検証/技術的に時期尚早な量子耐性アドレス形式導入や、脆弱なコインを強制的に焼却するためのハードフォーク提案には、極めて慎重であるべきだと注意を喚起している。

こうした強硬な介入は、重大なバグによる技術的事故を招くだけでなく、ビットコインの信頼の根幹である財産権や分散性を損なう恐れがあると指摘。また、十分な検証なき新暗号方式の拙速な導入は極めてリスクが高く、効率の低下や致命的な欠陥を露呈させた場合、その修正に貴重な開発リソースを浪費することになりかねないとしている。

さらに、脆弱とされるコインが「休眠状態」なのか、「紛失」しているのかを明確に判断する手法は存在しない。そのため、それらを紛失資産と仮定することは、強制措置や実質的な窃盗を正当化しかねない。こうした介入は、ビットコインの中立性や財産権、分散性、不変性への信頼を根本から損なう恐れがあると警鐘を鳴らした。

コインシェアーズは、量子脅威への現実的な対応策として、ソフトフォークによる量子耐性署名を導入を推奨している。これにより、既存のネットワークと互換性を保ちつつ、新たな暗号基準をシームレスに統合することが可能となる。また、所有者自身が自らの判断で、量子耐性アドレスへ資産を移することでリスクを回避できると提案した。

関連: 日本初、耐量子セキュリティ認証マーク制度が開始

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/10 月曜日
15:50
英当局、金トークン化で大手銀行と協議=FT報道
英FCAとイングランド銀行が5月公表の文書で、トークン化した金を担保に使う検討に言及していた。FT報道によると、FCAは大手銀行と個別協議を進め、数カ月以内に金に特化した規制方針を示す見通しだという。
15:17
CMEヘッジファンド、ビットコイン先物で稀な買い越しに=アナリスト
CryptoQuant CEOのKi Young Ju氏が10日、CME上のヘッジファンドがビットコイン先物でネットロングに転換したと指摘。ベーシス取引による構造的ショートが崩れた稀な動きで、強気転換のシグナルとして注目される。
13:51
米上場Empery Digital、1635BTCのビットコイン売却
米ナスダック上場のエンペリーデジタル(Empery Digital)が7月1日から8月6日にBTCを1,635BTC売却したと10-Qで開示。担保954BTCを除く非拘束BTCは325BTCまで減少し、6月末比76%減となった。AI事業への追加出資リスクも残る。
13:27
「クラリティー法不成立でも仮想通貨業界は前進可能」グレースケール分析
グレースケールは、クラリティー法が不成立でも仮想通貨市場の発展は続くと分析している。一方で法制度が整わなければ投資や起業が海外に流出するリスクを指摘した。9月の上院採決が最初の関門となる。
12:59
ビットコインの新規ウォレット数が過去一年で最高水準
ビットコイン自己管理型ウォレット「コールドカード」からの資金盗難を受けて、ビットコインの新規ウォレット作成数やアクティブウォレット数が急増している。
11:24
米納税者の仮想通貨申告、32%から56%にとどまる=研究
仮想通貨を保有する米国内納税者の申告率は32%から56%にとどまるとの推定も。米IRSは仲介業者による申告様式「1099-DA」提出を2025年分から義務化し、業者報告との不整合が税務調査の焦点になるとみられる。米CNBCが報じた。
10:31
サムスン電子、今年中にウォレットへステーブルコイン導入=報道
サムスン電子は今年中、一部国でウォレットへステーブルコインの口座開設・海外送金・決済機能を導入すると表明。米サンドマークの取材に書面で回答し、7月のGalaxy Unpacked構想に初めて導入時期を示した。既存機能との違いも解説する。
09:37
ビットコインBIP-110分岐、セイラー氏「フォークに意味なし」
仮想通貨ビットコインは8日、「BIP-110」を支持するチェーンが少数派で分岐した。「BIP-110」への賛成はわずか2.5%にとどまり、大半の採掘者は既存ルールを支持している。
08:34
RWA取引高、無期限先物DEXで7月過去最高=CryptoRank
クリプトランクの調査によると、無期限先物DEXでの7月のRWA取引高が月間約1,410億ドルの過去最高を記録。前月比約19.5%増で、株式の比率が51.1%に上昇したという。年初来の伸びと注目材料を整理する。
07:50
キャシー・ウッドCEO、米雇用統計後も強気 ビットコインへ期待表明
アークインベストのキャシー・ウッドCEOが8月9日、雇用統計を受けても景気認識は強気と表明。デフレ懸念やドル指数、原油安を指摘し、ビットコインとステーブルコインをエージェント商取引の受益者に挙げた。
08/09 日曜日
11:30
ビットコイン1020万円台で上げ渋り、CPIと利上げ観測が焦点|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)は対円で1020万円台に持ち直すも上げ渋りが続く。米CPIと利上げ観測、中東情勢を巡る原油動向が目先の相場の方向感を左右する。
09:25
週刊仮想通貨ニュース(8/7)|スペースX決算・相場分析・金融庁の規制対応のまとめ
今週は、スペースXの上場後初の四半期決算、アーサー・ヘイズ氏やクリプトクアントなどによる仮想通貨ビットコインなどの相場分析、金融庁の規制対応に関する記事が関心を集めた。
08/08 土曜日
14:00
ブラジル中銀、仮想通貨送金に最大24時間の遅延義務付け
ブラジル中銀は8月7日、詐欺対策として一部の仮想通貨送金を最大24時間遅延させる新規則を発表した。来年施行され、1万ドル超の海外仮想通貨企業や自己管理ウォレットへの送金が対象となる。
13:00
ロシア当局、ウクライナ発詐欺に関与した違法仮想通貨交換所を摘発 20人超拘束
ロシア当局がモスクワ・シティで違法な仮想通貨交換所9カ所を摘発し20人超を拘束した。ウクライナ拠点の詐欺で盗まれた資金の送金に利用されていた。
11:20
サークル、USDCとCCTPをXレイヤーに導入
ステーブルコイン発行企業サークルが、USDCと相互運用プロトコルCCTPをOKXのXレイヤーに導入したと発表した。仮想通貨取引所OKXの利用者はドル建て資産のクロスチェーン移動や分散型金融での活用が可能になる。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧