米ニューヨーク州、ブロックチェーン活用のワクチン接種証明アプリをリリース

ブロックチェーン活用する陰性証明アプリ

米ニューヨーク州がブロックチェーンを活用して、新型コロナウイルスのワクチン接種証明アプリをローンチした。州内のイベントスペースなどで4月2日から使用できる見込みだ。

「Excelsior Pass(エクセルシオール・パス)」アプリは、ニューヨーク州がIBM社と共同で開発した無料のプラットフォーム。使用は任意で、ワクチンを摂取したことを確認できる他、PCR検査や抗原検査の結果が陰性であったことも証明できる。

公衆衛生上の安全を高めながら、パンデミックの影響で閉鎖されていた事業やイベントをより早く再開させ、経済を促進することが狙いだ。

同アプリは劇場、スタジアム、アリーナ、結婚披露宴などの人が集まる会場やイベントで使用することが可能。まずエンタメ会場のマディソン・スクエア・ガーデンと屋内アリーナのタイムズ・ユニオン・センターで導入され、プログラムの拡大に合わせて他の場所でも利用できるようになる予定。

またこの証明パスは、専用アプリを使ってスマートフォンに保存することも可能で、パスにはQRコードが掲載されていて、企業や施設はそれをスキャンすることで、持ち主のCOVID―19検査結果が陰性であることや、ワクチン接種済であることを確認できる。

プライバシー保護に重点

同パスは特に個人のプライバシーに重点を置いて構築されたもの。ブロックチェーンや暗号化などの技術が採用されており、データ保護と検証可能性の強化に役立っている。

また個人の医療情報などを共有することなく、安全に証明書を確認できるように設計されており、アプリ内で個人の健康データが保存されたり追跡されたりすることはない。

公平なアクセスも考えられており、多言語オプションや充実したヘルプデスクが存在、スマートフォン以外にも複数の方法で利用可能だ。プリントアウトもできる仕組みだ。

さらにパスの土台となる技術には拡張性があるため、他の州もこのシステムに参加することが可能だと説明しており、経済を徐々に再開させていく上で役立つことが期待されている。

公式発表によれば、ニューヨーク州はこうしたワクチン接種証明書アプリを米国で初めて導入した州だ。

「安全を確保しつつ、経済再開を」

ニューヨークのアンドリュー・クオモ知事は以下のようにコメントした。

このパスは、経済のより多くの部門を安全に再開しながらウイルスと戦っていくために私たちが使える、新たな道具の一つとなる。「公衆衛生か経済か」という二択は誤っており、その二つを両立させることが答えだ。

またIBM社の公共市場担当マネージャー、Steve LaFleche氏は、次のように話した。

ニューヨーク州は、セキュリティとプライバシー保護に重点を置いた便利なツールを採用した。これにより新しいテクノロジーを活用したアプローチが、安全に経済を再開するのに役立つことを全米に示している。

Googleの集計によると記事執筆時では、ニューヨーク州はこれまで185万人の新型コロナウイルス感染者と4万9,500人以上の死亡者を確認。27日の州発表によると、ニューヨーク州ではすでに850万回以上、新型コロナウイルスワクチンの投与が行われたという。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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