運営停止中の仮想通貨取引所AAX、業務再開は困難か

長引く出金停止措置

11月半ばから運営を停止している暗号資産(仮想通貨)取引所 Atom Asset Exchange(AAX)が、FTX破綻後の次なる犠牲となり得るとして憶測が広まっている。

同月28日には、AAXのコミュニケーション担当責任者が辞任を表明。米仮想通貨メディアのコインデスクとのインタビューで、同取引所が通常業務を再開するよりも、「法的手続きに移行する」可能性の方が高いと述べた。

AAXは11月13日、公式声明で「悪意のある攻撃からユーザーを保護するため」システムのアップグレードを実施する発表。「詐欺や搾取」などのリスク回避のため出金及び取引を停止するが、「7~10日以内にすべてのユーザーに対して通常業務を再開する」よう努めると説明していた。

11月15日の声明では、出金停止後に、FTX破綻の影響もあり「一部の投資家」が資金引き出しの意向を示したため、資金不足のリスクから追加資本の調達の必要に迫られていることを明らかにした。

11月19日には、複数の投資家と資本調達の交渉を行なっていると表明。今後数週間で通常業務を再開する可能性があると伝えた。しかし、21日に全ユーザーの先物ポジションの自動精算を通知後、AAXからの発表は途絶えている。

辞任したコミュニケーション責任者のBen Caselin氏によると、投資家との話し合いが進むにつれ、「情報の流れは急速に悪化し、意思決定はより不透明になった」という。Caselin氏は「コミュニティのために戦ったが、提案したイニシアチブは全て拒否され、自分の役割が虚しく感じられるようになった」と、辞任に至った心情を吐露した。

怒れるナイジェリアのAAXユーザー

AAXはグローバルに事業を展開しており、多くの仮想通貨ユーザーを抱えるアフリカのナイジェリアも含まれている。

3日の現地メディアLegitの報道によると、ナイジェリアのAAX本社がユーザーにより襲撃された模様だ。怒りで理性を失ったユーザーは従業員に暴行を加え、資金の返還を要求したという。

このようなユーザーの行動に対し、ナイジェリアのブロックチェーン技術利害関係者協会(SIBAN)は11月28日に声明を発表。従業員もユーザーと同じ状況に直面している被害者であるとして、理解と忍耐を求めた。

同時にSIBANは、AAXが出金停止措置を発表してから10日以上が経過していることから、「AAXのユーザー、特にナイジェリアのユーザー、業界全体、そして一般市民の間に深刻な疑惑、パニック、不信感が生じたのは当然だ」と、顧客の不安に寄り添う発言もしている。

またSIBANは、FTX破綻の影響が業界に拡大する中、AAXのシステムアップグレードが行われたのは、「そもそもタイミングとして不審であり、疑問が残る」と指摘。さらに、 AAXは毎日状況を更新すると公言しながらも、実行せず顧客の信頼を維持することを怠ったと、非難した。

今回の騒動についてCaselin氏は、今でも「悪意なく処理される」ことを信じているが、AAXが受けたダメージは大きいと指摘。「もうブランド力はなく、信頼は壊れてしまった」と結んだ。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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