米CFTC、OokiDAOに対する訴訟プロセスが覆る
DAOに対する訴訟
DAO(自律分散型組織)を相手取り、米商品先物取引委員会(CFTC)が起こした裁判のプロセスについて、急展開があった。
DAOに関与するメンバーに責任を負わせることを意図したCFTCの訴状提出が認められていたが、暗号資産(仮想通貨)市場関係者の証言を経てこれが覆された格好だ。
米カリフォルニア州の地方裁判所は12日に、改めてCFTCに対して、OokiDAOの創設者2人に訴訟を送付するよう命じた。
経緯
事の発端は9月22日。Ookiプロトコルが提供する分散型取引所「bZeroX(元bZx Protocol:BZRX)」がライセンス登録することなく米国人に対して暗号資産(仮想通貨)レバレッジ取引を提供したとして、CFTCがbZeroXやOoki DAOを提訴していた。
CFTCはOoki DAOに対し、bZeroXの事業停止を要求。同プロトコルは分散化の一環として21年にOoki DAOに所有権を移しており、CFTCはDAOとそのガバナンストークン保有者にも規制違反の責任を追及。カリフォルニア州の地方裁判所は、CFTCがDAOのオンラインフォーラムなどを通じて、召喚状や訴状を送達することを認めた。
当時、この決定は規制当局がDAOメンバーにどのように影響を及ぼすのかに注目を集める一方、事前にガイドラインを提供していない状態で「法的執行」を行っているとして批判の声も上がっていた。
業界の反論
特に、a16z、LeXpunK、Paradigm、DeFi Education Fundといった仮想通貨関連会社がCFTCの手法に反論。CFTCはOoki DAOのメンバーを見つけ、彼らに直接訴訟を起こすべきだと主張する「法廷助言書(Amicus Brief)」を提出。12月7日の公聴会にも参加した。
公聴会でCFTCが、Ooki DAOの前身であるbZeroX LLCの創設者2人が米国在住のトークン・ホルダーであることを知っていると認めた。しかし、22年9月の段階で、CFTCは元創始者2人(Tom Bean、Kyle Kistner)がトークン・ホルダーであることを判事に知らせていなかったという。
これを受けてカリフォルニア州北部地区の連邦地方裁判所のウィリアム・オリック判事は以下のように述べている。
最高の実用的な通知を提供するために、CFTCは、それが可能であれば、少なくとも1つの識別可能なトークン所有者に送達する必要がある。
CFTCは現在、Ooki DAOトークンホルダーとしての役割で、BeanとKistnerに送付するよう命令されている。
DAOをどう訴えるのか?という観点から注目を集めたOoki DAOを相手取った訴訟は、分散化を装おうとしたプロジェクト開発者に対する従来の商品取引法違反へとトーンダウンつつある。
なお、bZeroXの2人の創設者2名は9月の提訴の時点で、登録事業者に求められる銀行秘密法上の遵守事項、顧客身元確認プログラムの導入を怠ったことについて、約3,600万円(25万ドル)の罰金を支払うことでCFTCと和解契約を結んでいた。この和解は、Ooki DAOに対するbZeroXの事業停止命令とは切り離されていた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します