ヴィタリック氏、分散型ステーブルコインRAIの空売りで1,200万円の収益か
RAIのショート戦略
イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が、ステーブルコインRAIの空売りから1,200万円(92,000ドル)の利益を得た可能性があることが分かった。
RAIはMakerDAO(MKR)のステーブルコインDAIのフォークとして2021年にローンチ。RAIは中立的な数字として3ドル前後を目標価格に据え、ボラティリティを抑えるために償還率が変動する「フロート型ステーブルコイン」と特徴付けられた。
RAIはまた、ETHのみを担保とし、スマートコントラクトの更新キーを削除した「アンガバナンス(非統治)」などイーサリアム本位なポリシーを標榜。しかし、市場ニーズに合わず、3ドル前後の価格設定がDeFi市場で使いづらいなどの要因でRAIの発行量は減少、価格も2.79ドルまで下落した。
EtherScanのオンチェーンデータ、およびリサーチャーの観測によれば、ブテリン氏は22年5月から約7か月間、ショートポジションを保持することでRAIの値下がりから利益を得た格好だ。
ショートポジションの構築段階には、計40万RAI(1.6億円)を借り入れて122万DAIに交換。一方、ポジション閉鎖する際にRAIは7%値下がりしていたため、40万RAIの買い戻しは113万DAIで実行でき、差分の9.2万DAIを収益とした。
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RAIの欠陥
RAIの共同創設者で現在はSpankChainのCEOを務めるAmeen Soleimani氏は、イーサリアムのみを担保とするRAIの設計が失敗だったことを認めている。
担保として預けられたETHは利回りの機会を得られないため、RAIの償還率は常にマイナスに作用する。改善するには、ステーキング報酬を利回りとして受けるリキッドステーキングのトークン(stETH)を担保に加える必要があると述べる。
しかし、RAIのスマートコントラクトはアップグレードできないため、これを実行するには新たにプロジェクトを立ち上げるしかない。つまり、RAIとしては実質的には何もできない。Soleimani氏は主に自分が主導したアンガバナンス構造の欠陥として、以下のようにまとめた。
RAIチーム(主に私)がアンガバナンスにこだわらなければ、stETHを担保として追加するのは簡単なことだった。アンガバナンスは自己責任で。
リキッドステーキング
仮想通貨のステーキング金利を受け取りながら、その代替資産(ステーキング証明トークン)を運用できるDeFi(分散型金融)の仕組み。従来はロックアップされてきた資産の流動性(Liquidity)を解放できる利点がある。最大のサービスプロバイダーLido Financeでは、ETHをステークして債権トークンstETHを受け取り、レンディングの担保としたりDEX(分散型取引所)等で運用できる。
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