米破産裁判所、BlockFiの従業員維持プログラムを承認
従業員維持のための報酬プログラム
米国ニュージャージー州の破産裁判所は28日、破産手続き中の暗号資産(仮想通貨)貸借サービス企業BlockFiの従業員維持プログラムを承認。BlockFiは、残っている上級社員にボーナスを提供できるようになった。
マイケル・カプラン判事は、この措置について「BlockFiとその従業員に、前進を続け会社の資産を最大化する機会を提供するものだ」と述べている。
BlockFiは昨年11月、連邦破産法第11条(チャプターイレブン)の適用申請後に従業員が流出しているとして、会社に引き留めるためにボーナスの支払いを承認するように裁判所に求めていたところだ。
BlockFiはこの従業員定着プログラムにおいて、役割に応じて基本給の42.5%または9%相当のボーナスを従業員に支給する権限を与えられることになる。これには最大で約13億円(1,000万ドル)の費用がかかる可能性がある。
BlockFiの弁護士ラッシュ・ハウエル氏は、破産申請以来、同社はウォルマート、グーグル含む他企業に従業員が流出していると説明していた。同社人員の10%にあたる11人が離職した形だ。
ハウエル氏は、こうした状況にかんがみて、「重要な労働者を会社に維持するために、雇用維持プログラムを設けることが不可欠だ」と申し立てていた。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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経緯
米国管財人事務所と、BlockFi無担保債権者委員会は、この申し立てに異議を唱えていた。一方で、BlockFiの人事担当者は、従業員維持プログラムを延期できないとして、次のように説明していた。
私たちは、米国管財人および債権者委員会との対話を可能にするために、プログラムを延期することも考慮した。しかし、さらなる人材流出があり、従業員の間で報酬の受領や時期に関する懸念も高まっている状況だ。
なお、裁判所に提出された文書によると、今回の従業員維持プログラムは、BlockFiの取締役、役員やその家族など内部関係者には適用されない。
財務書類の誤りを確認
27日の公聴会でBlockFiの弁護士は、提出された財務書類に間違いがあったことも認めた。
1週間前にアップロードされた書面では、BlockFiが破綻した仮想通貨取引所FTXに12億ドルのエクスポージャー(価格変動の影響を受ける資産)を持っていたとされていた。これは、以前知られていたよりも約260億円(2億ドル)以上多い数字だった。
ジョシュア・サスバーグ弁護士は、これは「純粋に間違い」であり、FTXのユーティリティトークンを担保にした、アラメダリサーチからの融資をカウントしていなかったことが原因であると説明した。
ローン債権売却へ
BlockFiは、200億円相当のローン債権の売却を進めているところだ。
これらのローンはビットコイン(BTC)マイニング企業向けに組まれたもので、計68,000台のマイニングマシンを裏付けとするもの。マシン価格下落により、一部は担保不足に陥っているとされる。
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