アルト主導でビットコイン下落、大崩れは避けられるか|bitbankアナリスト寄稿
今週(2/4(土)〜2/9(金))の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2/4(土)〜2/9(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は上値を重くし、300万円周辺での保ち合いから下放れとなっている。
市場予想以上に強かった先週の米雇用統計を受け、週明けの米株先の下落に連れてやや上値の重い展開から始まったBTC相場だったが、アルトコインの物色を支えに300万円近辺で底堅い推移が続いた。
こうした中、7日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のワシントンD.C.経済クラブでの発言が迫り、市場では様子見ムードが広がったが、議長は「ディスインフレーションが始まった」と再度発言し、市場は安堵した。
こうして306万円を回復したBTC相場だったが、週央からはアルトコイン相場の失速に戻りを抑えられると、NY地区連銀のウィリアムズ総裁が「FRBは抑制的な(金利)レートを向こう数年(a few years)維持する必要がある」と発言したことでリスクオフが加速。
9日にはドル建てで2.3万ドルの回復に失敗し、下げ足を速めた。さらにこの日の米市場では、国債入札で需要が振るわず利回りが上昇。加えて、bardのローンチイベントの失態が嫌気されアルファベット(GOOGL)株が市場の重石となり、BTC相場の上値を圧迫した。
10日朝方には、ステーキングサービスを巡り証券取引法違反の疑いがあったクラーケンが米証券取引委員会(SEC)と和解した上で同サービスを停止したことで、アルトコイン主導で幅広い銘柄が売られ、BTCも一段と安値を広げ、290万円を割った。
強めの雇用統計に耐え、パウエル議長の発言も無事に通過したBTCだったが、暗号資産(仮想通貨)独自の悪材料が広範な銘柄の重石となった。分散型を謳う一部のリキッドステーキングには資金が流れた模様だが、ステーキングを提供する海外交換業者は多くあり、今後の影響への懸念が燻る。
こうした中で来週には1月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えている。1月のBTC相場上昇は、雇用統計での賃金上昇率鈍化とCPIの低下が火付け役になったとも言え、注目される。米CPIは前年比で、10月から3ヶ月連続で0.5%ポイント以上減速してきているが、サービス業の物価上昇は根強く、製造業の支払価格低下ペースが足元で鈍り始めている。
1月のCPIが前年比で12月から高くなるとは想定し難いが、鈍化ペースの低下や前月比での上昇には注意しておきたい。
保ち合い下放れとなったBTC相場だが、対ドルでは、足元、11月高値近辺で下げ停まっている。クラーケンとSEC一件はあくまでPoS銘柄への影響が大きいと言え、PoWの代表であるBTCはこうしたチャートの節目で買い支えられやすいか。
上述の通り、来週のCPIがネガティブサプライズとなる可能性もあるが、従前から指摘の通り、心理的節目の2万ドル周辺にはテクニカル的に重要なサポートが密集しており、相場が大きく崩れる展開は避けられると見ている。
関連:bitbank_markets公式サイト
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