仮想通貨禁止令をめぐるジンバブエ中央銀行と大手取引所の綱引き、置き去りにされる利用者

仮想通貨禁止令は覆されたものの
2018年5月にジンバブエ中央銀行が発した仮想通貨禁止令は、その後、最高裁判所によって覆された。しかし、ジンバブエ国内ではいまだに禁止令が実効力を持っている状況であり、最大手Golixの仮想通貨ATMは、実質的な休眠状態が続いているという。
取引所はジンバブエ国民生活の仲介役
ムガベ政権の引き起こしたハイパーインフレーションにより、公式通貨であるジンバブエドルは信用と価値を失った。代わりに期待を集めたのが仮想通貨です。取引所の利用者はわずか3年間で5万人規模に急増。
拡大戦略と国民生活のはざまで
大手取引所Golixの対応には利用者から不満の声が募っている様だ。周辺諸国での仮想通貨の利用促進策を発表する一方、国内利用者への十分な連絡とサポートが行われていないことが指摘されている。

仮想通貨取引禁止令のその後

2018年5月15日に、ジンバブエの中央銀行であるジンバブエ準備銀行(The Reserve Bank of Zimbabwe, 以下、RBZ)は、国内の全ての金融機関に対し、仮想通貨取引を即刻禁止し、仮想通貨取引所との関係を60日以内に断ち切り、各口座残高を清算するよう呼びかけました。

これに対しジンバブエ最大の仮想取引所であるGolixは、RBZが仮想通貨を禁止するような権利はないとして、訴訟を起こしました。

そして6月、ジンバブエ最高裁判所はRBZの仮想通貨禁止令を破棄する公式文書を発表し、訴訟はGolixの勝訴となりました。

しかし、それからおよそ2ヶ月半が過ぎた9月現在、ジンバブエでの首都ハラレに設置されたGolixの仮想通貨用ATMは事実上、機能していません。

裁判に負けた側のRBZの行った5月15日の呼びかけが、いまだに実効力を持っている状況です。

仮想通貨取引所はジンバブエ国民生活の仲介役

ジンバブエはムガベ政権がもたらしたハイパーインフレーションにより、国家通貨のジンバブエドルが長く信用と価値を失っています。

そうした状況に登場して期待を集めたのが仮想通貨でした。

国民は、日用品や授業料、医療費、輸入車の代金支払いといった様々な用途に仮想通貨を使用してきました。

そして、その仲介役を担ったのが、取引所最大手のGolixと、同2位のStx24でした。

Golixの利用者は、2015年の取引所開設時にはわずか数十人程度でした。それが約3年で5万人規模にまで増加しています。

Golixの拡大戦略と不安の募る利用者

Golixの対応にも課題がないわけではありません。

そもそも、RBZが禁止を求めたのは、仮想通貨とジンバブエドルとの交換でした。

いまでも同社のホットウォレットおよびコールドウォレットには、仮想通貨が格納されていると見られています。

もしそうだとすれば、理論上あるいは技術的には、仮想通貨の預かり資産を、利用者の口座に戻すことはそれほど難しいことではないはずです。

しかし、実際はどうでしょうか。

5月15日の取引禁止令時点で70ドル(約7,800円。一説に、約360ドルといわれるジンバブエ平均月収の五分の一に相当)のBTCをGolixに預けていたある利用者は、次のような不満を漏らしています。

「Golixからは、《改めて最新情報をお知らせします》と記したeメールが1通届いただけで、それ以来、音沙汰がありません」

Golixは6月、ケニア、ウガンダ、南アフリカ共和国といったアフリカ諸国にも仮想通貨取引サービスを提供予定であることを発表しました。

これには、RBZの出した禁止令への対抗措置という意味合いが含まれるとも見られています。

同社はいま、アフリカ大陸とジンバブエ国内ユーザーという「両にらみ」の対応を迫られています。

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5月15日にジンバブエの中央銀行は、国内の仮想通貨取引の禁止令を公表し、仮想通貨取引所は閉鎖され、仮想通貨取引関連は凍結されました。しかしこの禁止令に対し、現地仮想通貨取引所Golixが訴訟を起こし、その結果、仮想通貨禁止令は破棄されました。
ハイパーインフレを起こしているジンバブエはUSドルに依存し続けることは困難で、政府に操作されないビットコインへ市民が移行しだし価格がなんと80万円となっている状況。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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