米議員、包括的「仮想通貨法案」の改訂版を4月に公開予定

規制の明確化を目指す法案

昨年6月に発表され注目を集めた、米国における超党派の暗号資産(仮想通貨)法案の改訂版が、4月中旬に米上院に提出される予定だと共同提案者のカースティン・ギリブランド議員が明らかにした。

「責任ある金融革新法(Responsible Financial Innovation Act:RFIA)」は、共和党のシンシア・ルミス議員と民主党のギリブランド議員が、超党派で作成に取り組んだもので、米国における仮想通貨規制の包括的な枠組みを提供することが目的だ。

関連:米国超党派議員らが起案した責任ある金融革新法(RFIA)とは

同法案では、仮想通貨の新たな法的定義の設定と規制機関の役割の明確化、ステーブルコインの監視強化、仮想通貨の課税の改正などに焦点を当てていたが、成立には至っていない。

仮想通貨の監督権限については、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)で意見の対立が見られる。

法案の発表後、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長は、仮想通貨の大半が証券の特徴を保つとしてSECの監督権限を強調。一方、CFTCのロスティン・ベナム委員長は、CFTCが仮想通貨の先物市場を監督してきた経緯から、現物市場の監督権限の強化を訴えており、仮想通貨を商品として定義することを提案した同法案を支持する見方を示していた。

ギリブランド氏は、改訂版では、より詳細なトークンの定義と明確化が図られ、法案に対する懸念に対処していると説明。8日の上院農業委員会の公聴会で、同氏は規制機関の管轄について、次のように発言した。

証券としての性格を持つデジタル資産はSECが規制し、商品である資産はCFTCが規制し、ステーブルコインは米通貨監督庁(OCC)が監督できるようにする。

また、業界全体に対する税制の整備や、サイバーセキュリティの要件の整備も重要だと同氏は付け加えた。

ステーブルコインの規制

先述の上院農業委員会の公聴会では、べナムCFTC委員長が証言。ギリブランド氏から同法案の方向性に対する評価を尋ねられると、べナム氏は、法案が発表されたことで、仮想通貨に対する議論が高まったことは成功であり、市場を構成する全ての要素を、非常に注意深く考慮したと評価した。

ステーブルコインについては、法案で「慎重に規制すべき金融商品」と指摘されていることに賛成の立場であり、「ステーブルコインは商品になると考えている」と同氏は述べた。

CFTCは21年、米ドル建てステーブルコインUSDTを発行するテザー社に対し、裏付け資産の欠如などを理由に、約582億円(4,250万ドル)の罰金支払いを命じ、和解に至った経緯がある。このような監督の前例を作ったことに対し、べナム氏は、テザー社の状況を法的に分析し検討した結果、テザー社のステーブルコインは商品であるとの結論に至り、迅速に同社と市場の取り締まりに動いたと説明した。

デジタル資産小委員会の動き

米下院のデジタル資産小委員会のフレンチ・ヒル委員長は、デジタル資産に対する規制の枠組み作成に意欲的だ。デジタル資産小委員会(正式名:デジタル資産、フィンテック、包括に関する小委員会)は今年1月に金融サービス委員会の小委員会として設置された。

ヒル氏は、下院農業委員会と協力して仮想通貨規制の枠組みを作る予定であると述べ、最初の一歩としてステーブルコインに焦点を当てる可能性があるとした。

同氏は、枠組みの構築に関して下院では超党派の支持を得ていると指摘。一方、現政権が議会と建設的に規制の枠組みづくりに取り組む姿勢については、疑問を呈している。

そのため、ステーブルコインの規制作成に前進が見られるかはわからないと躊躇する姿勢を見せた。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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