米マイニング企業Marathon、アブダビで大型施設立ち上げへ

UAE企業とビットコインマイニング施設を建設

ナスダック上場の米暗号資産(仮想通貨)マイニング企業「Marathon Digital Holdings」(以下Marathon)は9日、デジタル資産インフラ企業Zero Twoと提携して、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビで大型ビットコイン(BTC)マイニング施設を立ち上げると発表した。

合計250メガワットの容量を持つ、2つの仮想通貨マイニング施設を建設・運営するとしている。アブダビの余剰エネルギーを活用し、現地の送電網のベースロード(年間を通じて維持される電力)と持続可能性を向上させる計画だ。

この事業は、新たに設立されるAbu Dhabi Global Markets JV Entity(ADGM)によって行われる。

ADGMへの出資比率は、Zero Twoが80%、Marathonが20%となる予定だ。2023年の開発期間中に合計で約550億円(約4億600万ドル)が投下される見込みである。

ADGMが採掘したビットコインは、月2回、Zero TwoとMarathonのそれぞれの出資比率に応じて分配されることになる。現在のスケジュールに基づくと、2つのマイニング施設は、両方とも2023年末までに稼働し、合計ハッシュレートは約7EH/s(エクサハッシュ)になると予想されている。

なお1エクサハッシュは、1秒間に100京回のハッシュ計算が実行できる能力のことだ。

MarathonとZero Twoは、今回の事業を立ち上げる以前に、砂漠気候アブダビでのマイニング方法を検証するプログラムを行っていた。

アブダビでは、空冷式の仮想通貨マイニングが不可能なために、マイニングマシンを冷却するための特別な液浸ソリューションを開発した格好だ。

ハッシュレートとは

マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。

▶️仮想通貨用語集

アブダビのWeb3企業Zero Two

Zero Twoは、Web3やデジタル資産インフラに取り組む企業で、今年に事業開始している。電力インフラの開発から最新世代テクノロジーの調達、データセンターの構築と運営、デジタル資産管理サービスの提供など様々な事業を行っていく。

特に、アブダビの送電網の安定性を促進することを重要な目標としている。現地で、低需要期の余剰電力を利用して、最先端のデータセンターを運用することで、地元の電力網の柔軟性を高めていく構えだ。

アラブ首長国連邦(UAE)における炭素削減目標や、脱炭素経済への移行にも取り組んでいく。

Zero TwoのAhmed Al Hameli CEOは、「Marathonと当社は、アブダビの電力網を支援し、世界レベルの仮想通貨インフラを構築する上で協力していく」とコメントした。

ハッシュレート上昇中

Marathonは4月、2023年第1四半期(1Q:1~3月)のビットコイン生産量などについて報告していた。

1Qにハッシュレートが64%増加して、3月31日時点で 11.5EH/sに到達した。今年半ばまでには、23EH/sまで上昇させることを目標としている。

ハッシュレート改善により、1Qのビットコイン生産量は前四半期比41%増の、2,195 ビットコイン(時価82億円相当)となった。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

コメントしてBTCを貰おう 新着ニュースをチェック

速報

新着記事

人気記事ランキング