リーマンショックから10年、ビットコインを絡めた金融の新時代へ
- リーマンショックから10年、仮想通貨の時代へ突入
- リーマンショック以降、株式市場への投資は減少傾向にあり、仮想通貨という新興市場への期待値が高まっている模様。
- 仮想通貨業界、伝統金融への融合
- 仮想通貨も完全に伝統金融市場と衝突するのではなく、既存の枠組みに適応しつつその力を伸ばしていく時期にある。
- リーマンショックとは
- 2008年9月にアメリカの投資銀行リーマンブラザーズが経営破綻したことに端を発した、連鎖的な世界規模の金融危機のこと。また、ビットコインが誕生するきっかけにもなった。
リーマンショックから10年、新たな時代への突入
当時米国における投資銀行トップ4のリーマンブラザーズが倒産した2008年9月15日、いわゆる『リーマンショック』から10年が経ち、様々なダメージを負った投資家たちを金融市場へと呼び戻す時期が到来しつつある様です。
これは決して簡単なことではありませんが、ビットコインの誕生にもつながったこのグローバルな経済危機によって生まれた、株式市場への忌避感を伴うメンタル的なダメージはすでに十分癒えたと言えるでしょう。
リーマンショック以降の厳しい経済状況の中において、新しい世代の人々は既存の銀行システムから脱却した新たなプロダクト、すなわち仮想通貨へ参入していくことになっています。
破産当時、リーマンブラザーズは6000億ドル(当時の相場で約63兆円)の資産を保有していたとされ、米国史上における最大の倒産劇でした。
その後まもなく世界は金融システムの解体危機に晒されます。
10年という歳月が過ぎ、それを経験した多くの人がいまだに銀行にお金を預けたりする際には恐怖が蘇るでしょう。
なお、権威のある調査企業Gallup によれば、ここ十年間、株式市場は大方回復し、好調となっているにも関わらず、株式へ投資する人はおよそ15%減って来ている様です。
この傾向はリーマンショックの2008年以降に顕著になっており、 単純にこれ以上株式には投資したくないという投資家が増えたと考えられます。
米国大手投資サービス企業Bettermentの重役を務めるDan Egan氏はこの調査結果に対し、以下のように語りました。
『株式投資を行なっていない人たちは、この10年で200%もの利益が出ていたはずなのにそれを見逃していると気づいていない。そして恐らくこういった人々は今後も株式への投資を避けるだろう。』
そして現在では、民間発の銀行という新たな波も来ているとされます。
例えばN26やFidorといったドイツの新興銀行は、技術と金融の融合を果たし、市場のネガティブなイメージの解消に貢献している様です。
2018年6月、Fidor は仮想通貨も利用できる新たなMastercard版デビットカードの発行を披露する場で、同社とビットコイン取引所のBitcoin.deとの提携は5周年を迎えたと明かしました。
こうした動きはすでに馴染み深いものになってきており、ウォール街2.0バージョンとも呼べる新しい金融時代はもう見えているでしょう。
Twitterなどに目を向ければビットコインETFの話題や完全に監査可能なペッグ通貨(GUSD 等)、さらに『仮想通貨銀行』のようなコンセプトといった新しいトレンドが見て取れます。
また、機関投資家は、仮想通貨市場への規制と政府認定のカストディサービスさえ整えば数十兆ドル規模の資金を一気にこの市場に投じる準備があるようですが、実際はそれらが遅れており、実にじれったい時期と思われます。
例えば先日、仮想通貨セキュリティ専門企業BitGoのCEOを務めるMike Belshe氏は、CNBCの経済番組FastMoneyに出演し、サウスダコタ州の銀行監督部から機関投資家向けのカストディ(デジタルアセット保管)サービスを提供する信託会社の許可を取得したことやカストディサービスに繋がるウォール街勢力による参入について、自社のような政府認定のカストディサービス提供業者は機関投資家の参入を招致しやすくなり、仮に2年前にこのようなセキュリティ面の解決方法が出来ていれば、仮想通貨市場の規模は現在より拡大していたはずだと、カストディの重要性を強調しました。
今では多くの投資家は、仮想通貨市場に対する大規模な資金流入に向けて、熱心に取り組んでいるようです。
一方で、特定且つ有数の仮想通貨カストディサービス機関やブローカー業者に、ユーザーがデジタル資産の管理を預ける形となってしまう現在の仮想通貨市場は非常に心配の尽きない様です。
本来、ビットコインは、こういった特定の中央集権的管理機関を持たず、しかも伝統金融市場の動向に影響されずにそのシステムが維持されていくようにデザインされています。
これから仮想通貨がさらに伸びていくためには『非中央集権』にかかる代償とは何か、実に注目が集まるところであると思われます。
仮想通貨業界、伝統金融への融合
さて、仮想通貨市場への期待値が高まっているとはいえ、Bakkt や、米国大手仮想通貨取引所Coinbasesなどから提供される透明性の高いシステムよりも、結局のところ20000ドル(約224万円)という『価値表示』が付いたビットコインのように、単に価格の高いもの、儲かるものが好まれる心理、つまり投機である現状は間違い無いようです。
デジタルか否かに関わらず、利益を作ろうという、技術の革新から逸れたテーマとなっています。
現在では、仮想通貨も伝統金融の枠組みの中に適応しようとしてきているでしょう。
仮想通貨交換所ShapeShift が匿名登録を廃止し、今後ユーザー本人情報確認を必須とするとしたことなどはその一例に当てはまると思われます。
さらに、Morgan Stanley や、CitiGroup といった既存の巨大銀行からもビットコイン関連の金融商品が発表され、それぞれ厳密には形式が違うものの、いずれも法的規制に準拠して、仮想通貨を最大限に利用することを目的としていることには変わりありません。
なお、機関投資家達は仮想通貨関連の投資におけるリスクを最小限にとどめようとしており、ウォール街の企業のほとんどは保険会社と緊密に提携しています。
そういった状況を鑑みても、結局のところ完全に新しい経済への進化にはまだ数年の時間が必要でしょう。
2018年も後半に突入した今、経済の破壊的な進化そのものの優先順位は低くなっているようで、仮想通貨にとって重要なテーマは当面、いかに既存金融システムと共存していけるかでしょう。
だが、これも新たな経済の形が生まれていることには違いなく、時代を伴ったこの発展を念頭に置いて、リーマンショック後にサトシナカモトがビットコインの初めのブロック(Genesis Block)に記したメッセージが示したように、やはり一つの時代が終焉、新たな時代が訪れていると言わざるを得ません。
『英タイムズ紙:財務大臣 二度目の銀行救済措置へ』
Ten Years after Lehman Brothers Sunk, Wall Street Comes Full Circle on the Back of Bitcoin
September 15, 2018 by Liam Kelly
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します