米a16z、英国ロンドンにオフィス開設 スナク首相も歓迎
英国と欧州でWeb3業界を支援へ
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の暗号資産(仮想通貨)投資部門a16z cryptoは11日、英国ロンドンにオフィスを開設すると発表した。英国とヨーロッパで、仮想通貨やスタートアップ企業のエコシステムの成長を支援するとしている。
英国を選んだ理由としては、リシ・スナク首相はじめ英国政府がWeb3の将来性を認識していることや、英国当局が政策を策定する上で業界と協力することに意欲的なことを挙げた。
a16zは、英国は仮想通貨規制においてリーダーとなるような道を進んでおり、ブロックチェーンやデジタル資産に適した以下のようなアプローチを取ろうとしていると説明している。
- 業界と協力して、ブロックチェーン技術の特性と、それらが分散型サービスや集中型サービスにおいてどのようなリスクを持つのか特定する
- ブロックチェーン技術を応用していくための基礎を築く
- 規制に関して、革新的なサンドボックスを提唱
- 成果ベースのアプローチに焦点を当てる
- 消費者保護を規制の中心にすえる
その他に、英国は豊富な人材、学術機関を持ち、ユニコーン企業が多いなど強力な起業家文化が存在しており、世界最大級の金融市場や資本プールを有していることなどにも言及した。
a16zは、次回の仮想通貨スタートアップスクールを、2024年春にロンドンで開催する見込みだ。また、英国の大学で活動しているブロックチェーンクラブと連絡を取り、教育コースの開発や業界とのつながりを支援していく構えである。
サンドボックスとは
実験を行うことのできる「砂場」の意味。特に、規制上のサンドボックスとは、当局の監督の下で革新的な商品やサービス、ビジネスモデルをテストできるようにする制度のこと。現行法などが限定的に緩和された環境の中で、革新的な企業によるイノベーションを育成することが可能となる。
▶️仮想通貨用語集
リシ・スナク首相のコメント
英国では昨年10月、仮想通貨に積極的なことで知られるリシ・スナク元財務大臣が首相に就任した。
スナク首相は、財務大臣に在任していた際、英国を仮想通貨テクノロジーのハブ(中心地)にすることを掲げ、「仮想通貨市場発展のための税制における競争力強化」などの政策を提案していた。
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スナク首相は、a16zがロンドンオフィスを開設することは、英国をWeb3の中心地にする上で歓迎されることだとコメント。なお、次のように表明している。
英国の科学技術大国としての地位を強化するにあたり、ブロックチェーン技術を活用したWeb3のような新たなイノベーションを受け入れなければならない。そうすることにより、英国で新興企業が繁栄し、経済成長することが可能になる。
その成功は、消費者を保護し、イノベーションを促進するための適切な規制を整備することが土台となる。このテクノロジーが与えてくれる機会を開拓し、英国を世界におけるWeb3の中心地にしたい。
英国はスナク首相の下で今年2月に省庁を再編。内閣改造の一環で「科学・イノベーション・テクノロジー省」が誕生。同省は、メタバース(仮想空間)やWeb3の戦略を推進していく見込みだと伝えられている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します