米ノースカロライナ州下院、州がビットコインを保有する利点と保管方法を研究する法案可決
地金と仮想通貨の保有
米ノースカロライナ州の下院議会は28日、州が地金及び暗号資産(仮想通貨)を保有するメリットと、 その保管・管理機関設立に関して研究するための法案を可決した。この法案H721は今後、上院で審議される。
速報:ノースカロライナ州下院、州が ビットコインを貸借対照表上に保有すべきかを研究する法案を可決。
法案は「州貴金属預託研究」と題され、金などの地金とビットコインに代表される仮想通貨に関する以下のような点について、州財務局に調査を求めるものだ。
- 地金と仮想通貨の取得、安全な保有、保険、精算のプロセス
- 一般会計の一部を地金と仮想通貨に投資することによって期待される影響
- 地金と仮想通貨の保管管理の選択肢とそれぞれのコストや利点、安全性
法案では、地金と仮想通貨へ州の財源を割り当てることの意図として、「インフレとシステミックな信用リスクに対するヘッジ」と「ポートフォリオの全体的なボラティリティ低減や長期的なリターンの増加」を挙げている。
また、資産の保管管理方法の選択肢としては、民間運営の預託機関、他州が管理する預託機関、そして同州が管理する預託期間の設立が挙げられた。
財務局は、政府運営合同立法委員会に対し、調査結果を2024年1月1日までに報告する。
ビットコイン推進派の影響
ノースカロライナ州の「州貴金属預託研究」法案に、ビットコイン/仮想通貨が加えられたのは、ノースカロライナ・ブロックチェーンイニシアチブの共同委員長で、米ブロックチェーン協会の産業部門専務理事のダン・スプラー氏の尽力が大きいようだ。
同氏は15日に下院の常任委員会で証言し、同法案の一部として、デジタル資産、カストディとビットコインを含むよう提案したところ、全会一致で修正案が可決されたと報告していた。
ノースカロライナ州下院はまた、5月に州政府や機関が中央銀行デジタル通貨(CBDC)による支払い受け入れを禁止する法案を全会一致で可決した。
当初この法案は、仮想通貨による決済禁止を求めるものだったが、連邦準備制度理事会(FRB)が発行するデジタル・ドルであるCBDCを、州裁判所や州と関係のある機関が受け入れることを禁じる内容に修正された。この修正案が下院で承認されたわけだ。
修正案では、FRB支部によるCBDCの運用試験に同州が参加することも禁止している。
CBDCとは
「Central Bank Digital Currency」の略称で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された法定通貨を指す。送金コストの削減や効率性向上などが期待できる反面、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題も多い。
▶️仮想通貨用語集
フロリダ州もCBDCの採用に反対の声をあげている。2024年の米大統領選への出馬表明したフロリダ州のロン・デサンティス知事は3月、ノースカロライナ州と同様、州内でCBDC決済を禁止する法律を提案している。
連邦議会でも、政府が中央集権的に管理するCBDCが、個人のプライバシーを侵害する恐れがあるとして、共和党のテッド・クルーズ上院議員とトム・エマー下院議員は昨年、FRBによるCBDCの発行(個人向け)を禁止する法案をそれぞれ提出している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します