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レイ・ダリオのビッグサイクル投資術とは、500年の歴史から学ぶ富の守り方

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 4つの要因が収益を左右
  • 真のリスクは資産の没収

「ビッグ投資サイクル」を理解する

世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏は24日、「Investing In Light Of The Big Cycle」(ビッグサイクルを踏まえた投資)と題した長文記事をSNSに投稿した。これは2021年出版の著書『Principles for Dealing with the Changing World Order』(邦訳:変容する世界秩序への対応原則)から抜粋した章だ。500年を超える歴史データと自身の50年にわたるグローバルマクロ投資経験に基づいて、導き出した投資の原則を詳述している。

ダリオ氏は、歴史を動かすビッグサイクルにおいて、「債務と資本市場のサイクル」こそが決定的な要因であると指摘する。同氏は、これを投資家の視点から「ビッグ投資サイクル」と呼び、資産を守り、増やすためにはこのサイクルを十分に理解することが不可欠だと主張した。

同氏は、市場は以下の4つの決定的要因によって動かされていると指摘し、同氏が発見した重要な投資原則の一つだと述べている。

  • 成長率
  • インフレ率
  • リスクプレミアム
  • 割引率

ダリオ氏は、投資を「今日投じるまとまった資本を、将来手にできるリターンと交換する行為」と定義している。そして、これら4つの要因がどのように変化するかが、投資収益の成否を大きく左右すると指摘した。

ダリオ流投資術

ダリオ氏は、歴史的に類似した局面を重視し、その視点から投資リターンを分析するという投資アプローチをとっている。こうした見方が、他の多くの投資家とは異なっており、自身とブリッジウォーター社に優位性をもたらしてきたと述べた。

例えば、ほとんどの投資家は1945年以降の米国と英国(第一次及び第二次大戦の戦勝国)のリターンを代表例として参照しているが、これはビッグサイクルの中でも「特に恵まれた、平和で生産的な最高の時期」であったと同氏は指摘し、他国や過去の時代を見なければ、歪んだ視点を持つことになると主張した。

1900年当時、経済大国であった10カ国のうち7カ国は、少なくとも一度は富がほぼ完全に失われた。かつて先進大国で勝者と考えられていたドイツと日本は、世界大戦で富・人命共に壊滅的な被害を被ったと同氏は指摘。例外的に成功した米英ですら、莫大な富の損失を経験した時期を経ていると述べた。

第一次世界大戦前の50年間は、空前の繁栄とグローバル化、また各国間の結びつきの強さにより「平和が続く」と信じられていたが、1900年に入ると富の格差と不満が高まり、負債が膨れ上がり、国際的な緊張が高まった。

いざサイクルが反転すると、投資家は単なる市場の下落だけでなく、資産没収、資本規制、市場閉鎖といった、現代の常識では「あり得ない」規模の破滅的な損失に見舞われることになる。たとえ戦勝国の投資家であっても、重税や市況の悪化という強烈な逆風から逃れることはできなかった。

「過去数十年の平穏」を基準に未来を予測し、投資することは大変危ういとダリオ氏は警鐘を鳴らす。

ダリオ氏が「真のリスク」と主張するのは、単なる価格の変動(ボラティリティ)ではない。歴史が証明している「恒久的な資本の喪失、富の没収、資本規制、そして市場の完全な閉鎖」こそが、投資家が直面すべき真の脅威であると説いている。

関連:著名投資家レイ・ダリオ、「ビットコインは中央銀行に大規模保有される可能性低い」と指摘

貨幣の創造は「錬金術」のようなもの

ダリオ氏は、現代の金融システムの始まりは1350年頃のイタリアに遡ると指摘している。

当時、貸付のルールが劇的に変化したことで、現金預金、債券、株式といった新しい形態の「お金」が誕生した。これにより、富の本質は金銀などの「有形資産」から、将来の支払いを保証する「約束=金融資産」へと転換した。フィレンツェのメディチ家に代表される当時の銀行家たちは、この仕組みを通じて実質的に「貨幣を創造する力」を手にすることとなった。

金融上の富が拡大するこのプロセスは現代に至るまで継続しており、金融資産が膨大な規模に達した結果、ハードマネー(金・銀)やその他の有形資産(不動産等)が占める相対的な重要性は極めて低くなっているとダリオ氏は指摘する。

しかし、金融資産という名の『支払い約束』が積み上がるほど、その約束が破綻するリスクは増大する。このメカニズムこそが、歴史上繰り返されてきた大規模な債務・通貨・経済のビッグサイクルを引き起こす要因となると同氏は説明している。

現在、世界中に溢れる金融資産(株・債券)の総額は、実際に購入できる実質資産の量をはるかに上回っている。全投資家が一斉に換金を試みれば「取り付け騒ぎ」が起き、システムは崩壊してしまう。現代の不換紙幣システムにおいては、このような事態を防ぐため、中央銀行が通貨を大量に増刷して対処することが可能になっている。

通貨の大量発行により価値が下落すると、実質資産の価値が上昇する。歴史的に見ると、典型的な株式/債券60/40ポートフォリオの価値が下落した時期に、金価格は上昇した。

同氏は、紙幣や金融資産は本質的には、実質的な富に対する請求権に過ぎず、それで購入できるものだけが真に役に立つと主張している。

さらに、投資家が常に自問自答すべき重要な問いの一つは、「受け取る利子が、資産の価値が目減りする(通貨安・インフレによる)リスクを十分にカバーしているかどうか」だと主張。以下のように断言した。

金融的なお金や富は、それらが本質的な価値を持つ本物のお金や実物の富に交換できる範囲でしか、価値を持たない。

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