デリバティブ分散型取引所dYdX、コスモス上の独自チェーン公開テストへ
dYdXのパブリックテストネット
分散型デリバティブ取引所dYdXは28日、自社で開発したブロックチェーンの公開テスト版を、2023年7月6日2時(日本時間)に開設すると発表した。
公開テスト版ではネットワーク上の取引検証を行うバリデータ(承認者)が40以上確保される。この動きはdYdXが推進している分散化計画「v4」の5つのマイルストーンのうち、4つ目の達成となる。メインネット稼働を迎える5つ目のマイルストーンは、2023年の9月末までに完了予定とされている。
公開テスト版dYdXでは、当初、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の取引市場だけを設ける予定。アップグレードを進めていく中で、合計で約30の市場を新たに設ける計画だ。
テスト版ではユーザーは、外部に移動できないシミュレーション通貨を受け取ることとなり、これによりウォレットの接続、注文ブックの表示、マーケットオーダーの配置、アカウント資産状況の確認といった機能の操作を体験できる。
dydxの分散化計画
dYdXは2022年6月に、完全な分散化を目指す計画の一部として、Cosmos SDKを使用して自身のブロックチェーン「dYdXチェーン」を構築する計画を発表した。
従来のdYdXはStarkware社が開発した「StarkEx」上で稼働し、イーサリアムの第二層(L2)スケーラビリティエンジンとして機能している。dYdXによると、StarkEx上でこの取引プラットフォームは秒間500件の注文を処理する能力がある。
しかし、専用のdYdX v4ブロックチェーン(アプリチェーン)を作ることにより、システムの処理能力を100倍に増強できるとした。
さらに既存のdYdXでは、注文マッチング機能をオフチェーンで単一組織が担い、これによりサーバー等が一部集権型の仕組みとなっている。しかし新計画「v4」では、バリデーターがこれらの機能を担当することで分散化を進め、取引結果がブロックごとにチェーン上に記録される形に改める予定だ。
これに伴い、現状では運営側が受け取っている取引手数料が、「v4」ではバリデーターへのステーキング(保証金を担保にした投資)に参加者に分配される可能性がある。
新バージョン「v4」がリリースされると、ガバナンスフォーラムが設けられ、ステーキング報酬の扱いや、新たな市場の追加を含む提案はコミュニティ全体で管理されることとなる。dYdXの開発チームは、フォーラムでのガバナンスプロセスを管理することはないと述べている。
「なぜ分散化が重要なのか」というタイトルのdYdXのブログ記事によると、仲介者を取り除くプロセス、つまり分散化こそがブロックチェーンの最も強力でユニークな特徴であると主張している。そして、dYdXが掲げるミッション「金融機会へのアクセスを民主化する」を実現するためには、分散化が不可欠だと述べており、仮想通貨エコシステムの健全性に対しても不可欠であると主張している。
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レイヤー2とは
「レイヤー2」の略で、「2層目」のネットワークのこと。 全ての取引をメインチェーンで処理すると負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。 取引の一部をL2で行うことで、メインチェーンの負荷軽減や処理速度の向上を期待することができる。
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