ステーブルコインの公平な格付け目指すサービス「Bluechip」立ち上げ
ステーブルコインの信頼性を格付け
ステーブルコインの安全性を評価する非営利団体Bluechipは13日、主要なステーブルコインの公平な格付けを提供するサービスを開始した。
Bluechipのチーフエコノミストである、ギャレット・ジョーンズ氏は、次のようにサービスの意義を説明している。
昨年の旧Terra/Lunaエコシステムの破綻は、ステーブルコインを利用していた多くの人々が、多くの専門家にとっては明らかだったリスクに気づいていなかったことを示した。
安全で合法で簡単な決済方法を求めているが、その方面の専門家ではない人々は、どのステーブルコインを使うべきか判断できるような簡単なツールや明確な評価システムを必要としている。
ステーブルコインや金融の専門家ではなくても、あるステーブルコインの安全性などを簡単に確かめられるような格付けサービスを開発したとする形だ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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評価方法
Bluechipの創設者であるジョーンズ氏らは、安定性(Stability)、管理運営(Management)、実装(Implementation)、分散化(Decentralization)、ガバナンス(Governance)、外部指標(Externals)という6つの指標(SMIDGE)に基づいて格付け枠組みを構築した。
ジョーンズ氏は、ジョージメイソン大学経済学部でマクロ経済や金融政策などを研究する準教授でもある。
「安定性」は、そのステーブルコインがペッグを維持しているか、ペッグを維持していくための適切なメカニズムを持っているかなどを見るものだ。裏付け資産の質や管理、価格と取引データなど市場からの信頼度や、価格安定メカニズムも確認する。
「管理運営」は経営陣の能力やスキャンダルの有無に関連。「実装」は、スマートコントラクトやオラクルから生じるリスクを見るものだ。「実装」について現在は評価されていないものの将来的に評価を追加するとしている。
「分散型」については、少数の関係者の手にコントロールが集中していないかどうかを見るものだ。「ガバナンス」は、ステーブルコイン保持者を、インサイダーによる不正行為や準備金の不正流用から保護するための適切なシステムや措置が整っているかどうかを評価する。
また、「外部指標」は現在まだ導入されていない。今後、ステーブルコインのリスクに関する情報や、センチメント指標、クラウドソーシングなどがBluechipの指標の他にも発展した際に、それらも評価に組み込んでいく方針だ。
Bluechipの立ち上げに際しては、ステーブルコインDAIを提供するMakerの共同設立者ルーン・クリステンセン氏や、資産担保通貨を作成するためのプラットフォームReserve’sの共同設立者であるネヴィン・フリーマン氏などが寄付した。
また、タイラー・コーエン氏、ロビン・ハンソン氏やその他の経済学者がアドバイザーを務めている。
BUSDやUSDTなどの評価
現在、BluechipのプラットフォームではBUSD、LUSD、PAXG、GUSDなどが「A」の評価を与えられている。USDCやDAIは「B+」、USDTは「D」ランクだった。
Bluechipは、USDTについて「提携している銀行とカストディアンの名前を開示する」、「最低償還額を約69万円(5,000ドル)に引き下げる」「独立監査人による完全な財務監査を実施」することなどの条件をクリアすれば、評価を「C」に引き上げることができると述べている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します