カナダの騎馬警察、仮想通貨やNFTの押収・保管ツールで入札
仮想通貨の押収・保管ツールを募集
カナダの王立騎馬警察(RCMP)および共有サービス局(SSC)は10日、暗号資産(仮想通貨)と非代替トークン(NFT)の押収と保管を容易に行うことができるソリューションの提供について、入札を開始した。
RCMPは、カナダ連邦政府の国家警察だ。自動車が発明される前の時代から存在しており、かつては馬により巡回していたため「騎馬警察」の名前が残っている。また、SSCはカナダ政府が使用するITを所管する省庁だ。
背景には、RCMPが、違法行為に関係する支払い方法として、仮想通貨やNFTなどの使用が増加していることを認識していることがある。RCMPらは、次のように説明した。
仮想通貨は一般の人々の間で、取引方法および価値の保存手段として人気が高まり続けている。
その一方で、犯罪行為の支払い方法としても使用され続けている状況だ。ランサムウェアやマルウェア攻撃とオンライン詐欺がこうした不正取引の大部分を占めている。
こうしたケースの取締りを念頭に置いて、犯罪者から押収したデジタル資産を安全かつ確実に保管するためのツールを求めている格好だ。
法的手続きの終了を受けて最終的に資産が処分されるまで、盗難を防ぎ安全に保管しておけるようなセキュリティも必要とされている。
求められる機能
RCMPとSSCは、入札にあたって、主に以下の事項を必須の機能に挙げた。
- 時価総額上位20の仮想通貨取引を処理できる
- 将来的に新たな仮想通貨やNFTのブロックチェーンをサポートできるような拡張性
- 関連するすべての送金手数料を各案件のファイルに記録する
- 秘密鍵を確実に保護するセキュリティ機能
- デジタル資産が正しく保管されていることを毎日、自動検証する
- 不正送金の防止
- 警察のモバイル・デバイスでシステムと対話できるような独自Android アプリの開発
- イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ポリゴン(MATIC) で生成されたNFTの転送と保管が可能
規制強化するカナダ
カナダは、今年に入ってから仮想通貨に対する規制を強化しているところだ。仮想通貨取引所は、カナダのユーザーに対してレバレッジ商品を提供することが禁止される。
また、カナダ証券管理局(CSA)による事前の書面による同意なしに、ユーザーにステーブルコインなどの購入・預金などのサービスを提供してはいけないとした。仮想通貨の保管や分別管理に関する規制基準なども強化されている。
これを受けて、仮想通貨取引所バイナンスやパクソスはカナダでのサービスを終了した。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します