米CFTC委員、3つのDeFiプロトコルへの執行措置に反対

強制執行措置に異論示す

米商品先物取引委員会(CFTC)のサマー・マーシンガー委員は7日、CFTCが最近DeFi(分散型金融)プロジェクト3つに対して行った法的執行措置について、反対意見を表明した。

マーシンガー氏は、正当な理由がある場合には、CFTCが、特に詐欺などから市場参加者を保護するために、新興セクターに対して強制執行を行う態勢を取ることには反対しないと留保した。

その上で、CFTCがZeroEx、Opyn、Deridexといったプロジェクトに対して今回取った措置は、顧客資金の不正流用や市場参加者の被害などはなかったのにも関わらず行われたと指摘している。

また、マーシンガー氏は、CFTCは2022年に「DeFiのようなイノベーションには利害関係者の広い関与が必要である」「市場参加者の保護とイノベーション支援との間でバランスを取る必要がある」と戦略計画の中で述べていたことにも触れた。

今回の措置は、業界関係者との対話を重視するような、こうした姿勢にも反するものだとする形だ。

マーシンガー氏は、今回の措置は、「責任の伴うイノベーション」を促進するものではなく、米国からイノベーションを追放するものであるとして、次のように続けている。

顧客保護と責任あるイノベーションの促進を両立させるためには、強制執行措置は本質的に不向きなのである。

顧客、市場参加者、利害関係者、そしてCFTC自身も、適切な通知とそれに対するコメントを募る規則制定プロセスによって、一般市民の意見が反映された明確で透明性の高い規則から恩恵を受けることができる。

DeFi(分散型金融)とは

ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。

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CFTCの命令書

背景として、CFTCは7日、ZeroEx、Opyn、Deridexという3つのDeFiプロジェクトを提訴する命令書を発行している。

OpynとDeridexについては、スワップ執行機関(SEF)・指定契約市場(DCM)、および先物手数料業者(FCM)としての登録を怠っていたと申し立てた。また、顧客身元確認プログラムを採用していなかったことも指摘している。

さらに、ZeroEx、Opyn、Deridexは、暗号資産(仮想通貨)におけるレバレッジ・証拠金付きのリテール商品取引を違法に提供していたとも述べていた。

CFTCは以上により、Opyn、ZeroEx、Deridexに対して、それぞれ約3,700万円(25万ドル)、約3,000万円(20万ドル)、約1,500万円(10万ドル)の民事罰金を支払うことと、商品取引法およびCFTC規制への違反を取りやめることを要求している。

マーシンガー氏の論点

マーシンガー氏は、こうした措置の問題点をいくつか列挙した。例えば、CFTCがこうしたDeFiプロトコルにスワップ執行機関(SEF)などとして登録を求めた場合、従来型金融とは異なるDeFiプロトコルが商品取引法の基本原則を遵守する方法が不明だとしている。

また、DeFiプロトコルを先物取引業者として登録するよう要求するのであれば、先にどのように登録できるのか明確になっている必要性があるとの趣旨で論じている。

CFTCの既存ルールは中央集権型の事業を想定して作成されたものであり、それを分散型プロジェクトにどのように適合させることができるのかとも疑問を投げかけた。明確なルールや管轄権の整備が先に必要だと唱えている格好だ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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