コスモスコミュニティ、ATOMのインフレ率を10%まで引き下げる提案を承認
インフレ率引き下げ提案が承認
暗号資産(仮想通貨)コスモス(ATOM)のコミュニティは26日、ATOMのインフレ率を約14%から10%に引き下げる提案を承認した。
インフレ率の下降にともない、ATOMトークンのステーキングAPR(年換算利回り)も約19%から約13%に引き下げられることになる。
提案の背景には、他のプロジェクトよりも高いインフレ率が続けば、ATOM価格が長期的に見て下落するとの懸念があった。
インフレ率の調整は、ここ数年、コスモスのコミュニティにとって重要なテーマとなってきた。ATOMは動的インフレモデルを取り入れており、7%〜20%の間で変動可能とされている。今回の提案は上限を10%へと変更するものだ。
インフレ率は、ステーキング比率の2/3に固定されている。すべてのATOMトークンのうち、ステーキングされているトークンの割合が2/3未満の場合、ステーキングを奨励するためにインフレ率が増加する仕組みである。
今回の提案は、ATOMのインフレ率が高くなっているのは、コスモスネットワークの中心的なブロックチェーンCosmos Hubが、チェーンのセキュリティを維持するバリデーターらに対して過大な支払いを行っているためだと主張していた。
また、インフレ率の上限を10%にしても、バリデーターらは手数料収入により充分損益分岐点に到達する、あるいは、それ以上に利益を上げることができるとも推論している。
コスモスは、Tendermint社によって開発された異なるブロックチェーン間の相互運用を実現するプロジェクトであり、その中心となるブロックチェーンが「Cosmos Hub」と呼ばれるものだ。
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バリデーターとは
バリデータとは、コンセンサスアルゴリズムに参加してブロックチェーンに記録されるデータの妥当性を検証するノードのこと。ネットワークのネイティブトークンをロックして「ステーキング」という形で資本を担保する。取引履歴を検証し、その役割を果たすと仮想通貨で報酬が与えられる。
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賛否の理由
この提案は、賛成41.1%、反対38.5%という僅差で可決された。コスモスのエコシステムでも史上最高の約73%という投票率を記録している。締め切りのわずか数時間前には否決が予想されていたが、終盤で逆転した格好だ。
この提案に最大の賛成票を投じたのはZero Knowledge Validatorであり、次のように賛同の理由を説明している。
2桁のインフレはセキュリティのために不要であり、ATOM価格を長期的に下落させ、DeFi(分散型金融)や、他の様々なATOM経済圏で、ATOMトークン使用の妨げとなる。
一方で、最大の反対票を投じたのはAllNodesだった。特に、小規模なバリデーターに悪影響がおよぶ可能性があるとして、次のように主張している。
低インフレは、すでにコンシューマーチェーンのコストに苦しんでいる小規模なバリデーターにとって問題となっているところだ。
インフレで資金が減ることにより、バリデーターコミュニティから多様性が減り、より一部に集中する可能性がある。今回のアプローチは、分散型環境に不可欠な小規模バリデーターの持続可能性を無視している。
その他に、Fantomなど他のプロジェクトの事例を見ても、インフレ率減少がトークン価格上昇に結びつくとは限らず、ATOMトークンの価値を高めるには、ネットワークの成長や実用性の促進に力を入れることの方が良い方法だとも論じた。
また、ステーキング目的でATOMを購入した人がトークンを売却することで、ATOMの市場価値が下がる可能性があるとも意見している。
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