米資産運用大手Vanguard、イーサリアムETFも提供しない方針

仮想通貨は投機的資産

米資産運用大手Vanguard(バンガード)は、23日に承認されたイーサリアムの現物ETFに関して、同社では提供しない方針を明らかにした。

今年1月に米国で初めてビットコイン現物ETFが承認された際にも、同社は「投機性が高く、規制されていない」「当社の長期投資哲学に合わない」として、顧客にアクセスを提供しない方針を発表していた。

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ビットコインETF同様、イーサリアムETFを提供しない理由として、同社の広報担当者は次のように述べている。

仮想通貨商品は、バランスの取れた長期的な投資ポートフォリオの構成要素である、株式、債券、現金などの資産クラスに特化したバンガードの提供する商品とは一致しないと考えている。

バンガードのTim Buckley最高経営責任者(CEO)は、同社が提供するファンドは、実際にキャッシュフローがある資産クラスに投資していると指摘した。

一方、ビットコインは「あまりにも不安定」で価値の保存手段ではなく、「投機的資産である」と主張。資産クラスが変わらない限り、長期ポートフォリオに組み入れることは困難であるとの考えを示した。

積極的なブラックロック

バンガード・グループはブラックロックに次ぐ、世界2位の投資信託および上場投資信託(ETF)の提供者で、2024年3月時点の運用総資産額は9兆3,000億ドル(約1,464兆円)。世界首位で10兆5,000億ドル(約1,653兆円)の運用資産を抱えるブラックロックは、急成長するETF事業でバンガードと直接競合している。

ブラックロックが提供するビットコイン現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト( IBIT)」は総資産が200億ドル(約3兆1,490億円)近くに達し、グレースケールの「GBTC」を抜いて、世界最大のビットコインファンドとなった。

ブルームバーグのデータによると、IBITは28日に運用資産が196億8,000億ドル相当となり、GBTCの196億5,000万ドル相当を抜いて首位となった。

また、イーサリアムの現物ETF申請においては、新たに更新したS-1登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出。正式なETF取引開始に向けて一歩近づいた形だ。

ブルームバーグのETF専門家Eric Balchunas氏はブラックロックの最新動向について、「これは良い兆候だ。。。SECスタッフからの微調整の要求への対応はもう1回あるだろう。6月末の発売は可能性もあるが、7月4日(独立記念日まで)にしておく」とコメントした。

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新CEOの就任

Balchunas氏は、顧客への仮想通貨投資商品の提供を拒否するバンガードの姿勢について、「個人的に禁止することは馬鹿げていると思う」とコメント。バンガードの顧客は「地球上で最も賢い投資家であり、簡単に騙されるような子供ではなく、選択肢には十分対処可能」であるのにも関わらず、同社は「子守りの役割を演じているようだ」と批判した。

Balchunas氏は、バンガードの唯一の希望は7月にCEOに就任するSalim Ramji氏が、ブラックロックでビットコイン現物ETFの立ち上げに貢献した経歴を持ち「明らかに仮想通貨に興味を持っている」ことだと指摘。しかし、CEO就任後にバンガードの方針を変革するのか否かは未知数だと述べた。

Ramji氏は以前、ビットコインETFなどの商品が、新たな資産クラスへのアクセスを改善すると主張していたが、米メディアBarronsとのインタビューでは、バンガードが提供する製品やサービスの種類に関しては「一貫性」を保つように努めると述べている。

しかし、デジタル資産金融専門家協議会の創設者であるRic Edelman氏は、バンガードはRamji氏の下で、いずれはビットコインETFを立ち上げ、製品を提供することになるだろうと見ている。

純粋にビジネスの観点からすれば、そうしないのは愚かなことだ。そして、Salimは愚かではない。

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