分散型5G通信事業者目指すHelium Mobile、登録者10万人を超える
ネットワークの成長
分散型5G通信事業を展開するHelium Mobileは15日、登録者数が10万人を突破したと発表した。
今年1月からの半年間で7万人増加した形だ。Helium Mobileの通信サービスは、独自の分散型ホットスポット・ネットワーク(Helium Network)と、同社が提携する通信事業者のネットワークから購入するサービスのハイブリッドで提供されている。
Helium Mobileのホットスポットは、個人や企業が「ミニ・セルタワー」と呼ばれる携帯電話の基地局の役目を果たすことによって運用されており、ホットスポットを運用し、エリアカバレッジを提供するユーザーは、報酬として暗号資産(仮想通貨)のネイティブトークン(HNT、IOT、MOBILE)を獲得することができる。
同社の発表によると、米国全土に14,000を超えるホットスポットが展開されているという。
Helium Mobileは、米国では2022年9月に大手通信事業者T-Mobileと提携。24年1月には、スペインおよびスペイン語圏の通信事業者大手Telefónicaと提携し、メキシコでHelium Mobileのホットスポットの利用を開始した。
モバイルネットワークの構築
Helium Mobileは先月、機器メーカー向けに、技術スタックのライセンスプログラムの開始を発表したばかりだが、初の提携先となったRAKwirelessは、新たなホットスポットデバイス「MNTD. Fi Pro」の発売を開始した。
Helium Mobileの携帯電話向けカバレッジデバイスは、社内開発の製品に限定されていたが、ライセンス供与により他のメーカーも互換性のあるホットスポット用デバイスを製造可能になった。この取り組みにより、カバレッジを提供する利用可能なデバイスが多様化し、Heliumネットワークの拡張促進が期待されている。
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また、Helium MobileはWireless Broadband Alliance(WBA)により開発された「OpenRoaming」への対応が可能になった。
世界で普及が進む接続プラットフォームであるOpenRoamingとの互換性により、ホットスポットはより多くのデータ転送処理が可能になり、他の通信事業者やサービスプロバイダーの加入者向けにも、シームレスで安全な接続をサポートできるようになった。つまり、Telefónicaなどの通信事業者にとっても、モバイルトラフィックを Helium ネットワークにシームレスにオフロードし、安全かつ安定した接続を提供しながら、インフラコストの削減に繋がる。
ネットワーク利用の拡大
Helium Mobileは、Telefónicaとの連携による経験を基に、他のサービスプロバイダーの加入者のデータを、Helium モバイル ホットスポット経由で転送する方法を模索しているという。
同社は現在、米国の複数の大手通信業者と、ホットスポット経由で加入者のモバイルデータを転送するベータテストを行っている。
Helium Mobileのビジョン
2023年にローンチしたHelium Mobileは、手頃な価格で提供される民主的で分散化されたモバイルキャリアおよびワイヤレス通信ネットワークの構築を目指している。
従来の通信インフラを利用するのではなく、ブロックチェーン技術を活用して一般ユーザーによって運営されるネットワークを構築。誰でもインフラ構築に参加し、報酬を獲得可能にすることで、分散型物理インフラネットワーク(DePIN)分野をリードしている。
Helium Mobileが属するDePIN分野は、2024年上半期に最も収益性の高いセクターの一つとして注目されている。BitEye のデータによると、DePinは投資家に平均 58.74% のリターンをもたらした。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します