ネットワークの拡大
分散型5G通信事業を展開するHelium Mobileは18日、機器メーカー向けに、技術スタックのライセンスプログラムを開始すると発表した。
Helium Mobileの通信サービスは、独自の分散型ホットスポット・ネットワーク(Helium Network)と、同社が米大手通信事業者T-Mobileのネットワークから購入するサービスのハイブリッドで提供されている。昨年12月に米国全土で開始された同社のサービスは、月額料金は20ドル(約3,180円)と、AT&Tなどの競合他社(60~65ドル)に比べ格安な設定となっている。
Helium Mobileのホットスポットは、個人や企業が「ミニ・セルタワー」と呼ばれる携帯電話の基地局の役目を果たすことによって運用されており、ホットスポットを運用し、エリアカバレッジを提供するユーザーは、報酬としてネイティブトークン(HNT、IOT、MOBILE)を獲得できる。
Helium Mobileの携帯電話向けカバレッジデバイスは、これまで社内開発の製品に限定されていたが、ライセンス供与により他のメーカーが、ホットスポット用のデバイスを製造可能になる。他社による市場参入を容易にし、協調的なエコシステムを促進することで、Helium Mobileは、ネットワークの構築によってユーザーが報酬を得ることができるインフラへの切り替えを加速したい考えだ。
Helium MobileとHeliumを開発するNova LabsのAmir Haleem最高経営責任者は、「インターネットへのアクセスは基本的人権である」と主張。スマートフォンによるアクセスがその大半を占めるとして、次のように述べた。
我々の技術を他のメーカーが活用できるようにすることは、世界的な無線インフラ革命を加速させることにつながる。この取り組みは、個人とコミュニティに力を与え、進歩を促進し、よりつながった世界を構築するものだ。
ライセンス・プログラム
プレスリリースによると、MNTDがホットスポットデバイスの初の製造メーカーとして名乗りを上げている。
ライセンス契約によって、メーカーは迅速に、高度な分散型接続ソリューションを統合することが可能になり、Web3技術環境に煩わされることなく、従来の強みを発揮できるようになる。また、堅牢なセキュリティ機能とサポート環境が提供されるため、メーカーは自信を持って分散型分野に参入できると、Helium Mobileは強調する。
エンドユーザーにとっては、新しいデバイスでもHelium Mobileのアプリ互換性により、簡単にHeliumネットワークへの接続が可能。また、ホットスポットのダッシュボードにアクセスすることで、リアルタイムの管理と監視機能を使用することができる。
コスト削減にも
ライセンス・プログラムの開始は、Helium Mobileが使命とする「3.1兆ドルのグローバル無線ネットワークインフラ業界の変革」のための大きな節目となると同時に、同社が抱える経営コストの問題にも役立つことになりそうだ。
仮想通貨メディアBlockworksの報道によると、Helium Mobileの創設者でCEOのHaleem氏は、分散型ホットスポットによるネットワーク構築の方が、巨大な基地局の構築と維持よりもはるかに安価であると考えている。
同社の無線部門責任者は、Helium Mobileが5Gカバレッジのために契約を結んでいるT-Mobileへの支出が、加入者ベースで見ると損失を出していると語っており、独自ネットワークの拡大は、T-Mobileネットワークの利用削減にも寄与する側面があると見られる。