ビットコインキャッシュ分裂騒動で緊急対応に追われる取引所 把握したい最新の状況とは|仮想通貨市況

仮想通貨市場
ビットコインキャッシュのハードフォーク目前にして、SV派が大きく優勢になったことで危機感が現れ始めた仮想通貨業界。各取引所は緊急対応方針を相次いで発表するも、各取引所で対応が異なる状況へ発展。押さえておきたい最新の状況とは?

仮想通貨市場

仮想通貨市場は14日、ビットコインキャッシュ価格が日本時間夕方過ぎに急落する場面が見られるなど、ビットコインキャッシュのハードフォーク日程を目前に価格が乱高下する場面も見られ始めた。

下落要因になったのは、CoinPostでも速報で報じた、海外大手取引所OKExのBCH先物取引の停止と強制清算の発表が、実施直前で行われた事で、ユーザー内で混乱を招いた。

当時取引の停止こそ発表されていたが、その内容も公開されずにいることから、緊急の対応であったことがわかる。

このように取引所が緊急の対応に追われている、または声明を改めている例は、OKExだけでなく、日本の取引所でも相次いでいる。

取引所の対応方針に現れる業界の慌ただしさ

これまで、対応方針としてBitcoinCashのハードフォーク対応方針を発表してきた日本の取引所だが、昨日より具体的なハードフォークの分裂通貨の名称を挙げ、公式対応声明を発表する場面が見られた。

直近で注目の対応方針を数点取り挙げて、状況をみていく。

まず、BitcoinABC(BCHのアップデートを実行を目指す派閥)とSV(サトシナカモトを自称するクレイグ派閥)の対立が強まる中で、取引所が今まで扱ってきたBitcoinABCのソフトウェアをそのまま引き継ぎ、分裂後も同様にビットコインキャッシュとして扱うと発表したbitFlyerとCoinCheckの動きだ。

ハードフォーク発生以降、当社では引き続き、Bitcoin ABCが参照するチェーンをBitcoin Cash(BCH)として表記致します。なお、当社の判断によりこの表記は変更となる場合がございます。

CoinCheck

分岐チェーンが発生した場合、当社サービスにおける BCH は Bitcoin ABC を指します。ただし、ハードフォークの状況に応じて表記を変更する可能性がございます。

bitFlyer

また、より具体例を入れて記載した国内取引所は、「Liquid by Quoine」だ。

同社は、公式の通知にて、ビットコインSVへの対応を行わない旨を説明していたが、発表当時は、そのままビットコインABCのネットワークに引き継がれるという前提に立脚していたと説明。

しかし、各派閥のシェア率を示すハッシュレートの状況が変わってきたとした上で、顧客資産保護と利便性確保の観点から、ビットコインSVもサポートすることを表明している。

このように各取引所でも対応方針を急ぐ動きがみられ、現状ではABCの対応を行いつつも、送受信への明確な対応、通貨分岐をどのように扱うかという対応表明がでている。しかし、SVが優勢な状況が、ハードフォーク後明確かされた場合、取引所によって対応の異なる状況が出始める可能性もあるため、状況は芳しくない。

なぜそのようになったのか?

まず、日本時間11月16日1時40分頃に控える、ビットコインキャッシュのアップデート内容に伴うハードフォークにおいて、「Bitcoin ABC」と「Bitcoin SV」が対立し、2チェーンに分裂してしまう可能性が生じている。

特にこのハードフォークで問題とされいるのは、主に2点で、「取引所やウォレットがBitcoinABCを採用している点」と、「リプレイプロテクションを実装していない点」にある。

今までのビットコインキャッシュのソフトウェアは、BitcoinABCのものを取引所やウォレットなど通貨を扱う企業が採用しているが、仮にビットコインキャッシュの対立による通貨分裂が起きたのちに、BitcoinSVが優勢となり、メインのビットコインキャッシュとして認められる状況になった場合、各企業がSVへの対応を取る必要も生じる。

しかし、上記でも記載したように、取引所によっては、どのような状況であってもBitcoinABCの通貨を「BCHのティッカーシンボル」として扱うとしており、取引所によって「BCH」が指す通貨が異なる可能性もありえるという懸念点が浮上している。

また、リプレイプロテクションを実装していない点もかなり重要で、分岐したチェーンを別物だと認識させる仕組みを持ち合わせていないということであり、取引所内の取引はできる可能性はあるが、ブロックチェーンの取引が必要な通貨の送受信などのネットワーク網に支障がきたす可能性がある。

よって、コミュニティの対立の行方、またはどちらかのコミュニティが対応せざるを得ない状況になるなど、通貨を取り扱う企業側は状況を見定めつつ対応する必要性に迫られる可能性がある。

特にこれらの対応が必要な状況、つまりSV派閥が優勢な状況が、問題視される状況であると考えることができるが、ハッシュレートが現状SV派に大きく偏っている状況や、分裂通貨のプレトレードを提供しているPoloniexなどの価格もSVがついにABCを上回るなど、状況として現実味を帯び始めている。

実際に、状況こそ各コミュニティの動きなどを正確に見定める必要はあるものの、SV派のコインギークの創業者が、BCHのブランドをコントロールする存在になり得ると勝利宣言をする状況からも、対立が継続する見方は強い。

すでに各取引所が緊急対応に追われている状況だが、ビットコインキャッシュの値動きにBTC価格もつられている状況もみられており、相場の乱高下に注意したい状況にあると言えるだろう。

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