米財務省が歴史上初、サイバー犯罪利用の「仮想通貨ビットコインのアドレス」を特定、経済制裁対象リストに追加|事件の重要性を解説
- 米財務省が初めて犯罪利用の仮想通貨ビットコインのアドレスを特定し経済制裁対象リストに追加
- 米国財務省は、ランサムウェアなどのサイバー犯罪に加担した人物に対して経済制裁を課し、歴史上初となる米財務省によるビットコイン・アドレスの特定と公表 、経済制裁対象リストに追加を行なった。本記事では、専門家の意見を元に、同事件の重要性を解説する。
米財務省初のビットコインアドレス特定
米国財務省 は米28日、同省の外国資産管理局(以下OFAC)が、ランサムウェア「SamSam」などのサイバー犯罪に関わる二人のイラン人を、身代金で入手した仮想通貨ビットコインの取引によるイランの法定通貨リアルに換金することに加担していたとして、経済制裁を課し、同犯罪に使用していた二つのビットコイン・アドレスを特定したと公表した。
米国財務省が犯罪利用アドレスを特定し公表したことは、初の事例となる。
この事件の重要性を、人気仮想通貨ウォレットBlockchainの社長兼「米国デラウェア州公認の国際通貨基金(IMF)のブロックチェーンアンバサダーおよび法律アドバイザーを務めるMarco Santori氏の解説をピックアップしているため、取りあげて説明する。
- 財務省が初めて、ビットコインのアドレスを経済制裁対象リストに追加した点。
- 今まで、経済制裁対象(米国の敵)リストには、名前やカテゴリー、地域名称などだけが記載されていた点。
- 18年3月、OFACはビットコインアドレスを追加する可能性を示唆していた事に続く動きである点。
- 仮想通貨のトランザクションに対するOFACの管轄権は、米国籍以外もカバーする点。
- 仮想通貨関連犯罪を裁く法律は存在しない状況下で経済制裁が行われたことで、 OFACは既存のルールで仮想通貨を制裁対象として罰することが出来たことが明らかになった点。
- 将来、財務省が新たな法律を求める動きは見られる可能性はあるが、現時点では既存の法律を利用して関連事例が続く可能性がある点。
事件の概要
米財務省の当プレスリリースによると、当事者の二人のイラン人は、過去数年間で約200人以上の被害者をもたらしたSamSamという悪意的なランサムウェア関連の金融トランザクションに加担していた。
同ランサムウェアは、米国の様々な企業や組織のデータを盗み、ビットコインを身代金に要求する極めて悪質な犯罪事例として挙げられていた。
OFACの計算では、制裁対象となった二人はSamSamの開発者の代わりに、およそ7千ものビットコインをイランの法定通貨=リアルに換金し、6千ものビットコインのトランザクションを処理したという。
さらに、米国の仮想通貨(名前は明かされていない)も含む、40以上の取引所を利用していたことも指摘されている。
財務省は、すでに二人の在米財産へのアクセスを封鎖しており、本人との金融的な関わり合いを持つ米国人に対しても、二次経済制裁を課すと警告している。
米国からの経済制裁を受けているイランとの2国間の問題を通し、今回の事件に関して、財務省所属の「テロ/金融情報局」の副長官を務めるSigal Mandelker氏は以下のように述べた。
我々財務省は、デジタル通貨の範囲で不正活動を行う人物を特定し、そのアドレスを公開する。
イランが(経済制裁によって)孤立しており、米ドルへのアクセスを求めている中で、仮想通貨取引所やP2P取引所などのサービスプロバイダーがそれによる不正行為を困難にする必要性は不可欠である。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します