最有力ビットコインETFの申請企業が再度米SECにプレゼン|新たな角度から市場の成熟度を強調

VanEck、SolidX、Cboeが米SECに再度プレゼン
最有力視されているビットコインETFを申請中のVanEck社が米SECに対し、新たな観点から、その承認の妥当性をプレゼンにて立証したと、SECの公式文書により判明した。

VanEckがSECに新たな角度から市場の成熟度を強調

最有力視されているビットコインETFを申請中のVanEck、SolidX両社とCboe BZX取引所が、米証券取引委員会(SEC)に対し、新たな成熟したビットコイン市場との観点から、ETF承認の妥当性をプレゼンにて主張していたことが、SECの公式文書により判明した。

出典:SEC

上記三社は、米11月26日に、SECの企業財務部門、取引市場部門、経済リスク分析部門および法務顧問室へ対しプレゼンを行い、10月に行なったプレゼン=(VanEck版ビットコインETFが『証券に関する規制に則っていること』と『投資家の保護が十分であること』)とは異なり、今回は、ビットコイン市場がETFをサポートするに十分な成熟度を持っている事実を、既にETF商品取引が認可されている、原油、金、銀などのコモディティ(商品)市場と比較しながら提示する展開となっている。

VanEck側の新たな観点とは

今回のプレゼンでは、金銭を代用できる機能から価値が生み出されるという、ビットコインと金銀の共通点を挙げ、そのような特性を持つ商品市場では、先物と現物の価格に深い関連性が見られると指摘している。

そして、そのような価格統合が起きるのは、「十分に機能する資本市場の証拠」 だと説明している。

この分析に基づき、三社は、「商品先物と同様に、(ビットコインの)現物価格と先物価格は緊密に結びついている」と説明し、「資本市場がうまく機能しているという証拠」 を提示しているものだと主張した。

ビットコイン先物と現物の価格比較表

出典:SEC

さらに、ビットコインのエコシステムは、すでにETF商品が承認されている他のコモディティ市場よりも「操作の影響を受けにくい」と主張している。

例えば、あるコモデティ市場のインサイダーが、その商品供給に関する取引情報を入手していた場合、価格へ影響を与える可能性が十分考えられるが、ビットコインの場合はこのような問題には直面する可能性が極めて低いとして、次のように説明している。

出典:SEC

ビットコイン市場と、ビットコイン市場で裁定取引を行うトレーダーの存在とは連鎖しているため、効果的に、単一の取引所でビットコインの価格操作を行うにも、グローバル規模でビットコイン価格操作を行う必要がある、ということを意味している。。。.したがって、、ビットコインは他のコモデティ、特に既に承認されているETP関連資産と比較しても、価格操作による影響を受けやすいとは言えない。

裁定取引のトレーダーはアービトラージを行うために、必ず、複数の取引所に資金を分散していなければいけない。つまり、価格操作にあたって、一つの取引所かOTCプラットフォームに資金を集中させる可能性は極めて低い。

SEC長官の懸念は解消できるか

米11月27日に行われた仮想通貨カンファレンスのコンセンサス・インベストでは、SECのJay Clayton長官が登壇し、市場・価格操作に関する懸念がビットコインETFの承認を妨げる要因の1つであると発言した。

Clayton氏によって明確化された、ビットコインETF申請を承認する為に必要不可欠な要素は以下の3点。

適正な価格形成プロセス

価格操作のリスク

ETFの現物である仮想通貨の徹底したカストディ

同長官は、価格操作のリスクを最も重要な問題点であると指摘し、この問題がビットコインETF申請が実現していない要因としている。

そして、コンセンサスの開催直前に、VanEckら三社が行なった上記のプレゼンの参加メンバーにClayton長官や他のコミッショナーこそがいなかったものの、以前プレゼンしたカストディサービスと法的規制における解決案に加え、価格操作に対する懸念の解消、そしてに繋がる可能性が高まるではないかと注目を集めているだろう。

なお、米SECとVanEck、Bakktに見られる、仮想通貨市場の「問題点」に対する異なる捉え方に関しては、以下の記事でまとめている。

ビットコインETFの許可条件に関する発言から、規制当局とプレイヤー側で捉えている仮想通貨市場の問題点に相違があることが明らかになった。今後の仮想通貨を左右する機関投資家関連プロダクトに注力する企業の主張を分析した。
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