麻生大臣『ブロックチェーン技術は、将来大きく化ける可能性がある』中谷議員の質問に衆院予算委員会で回答|仮想通貨(ビットコイン)にも言及

麻生大臣や日銀副総裁が国会で仮想通貨(ブロックチェーン)に言及
衆院予算委員会での中谷一馬議員の質問を受け、麻生大臣や日銀副総裁がデジタル通貨や仮想通貨(ブロックチェーン)に言及した。田中内閣府副大臣も「インターネットの黎明期同様、試行錯誤を経て発展する可能性は十分ある。利用者保護とイノベーションの観点から、しっかりと支援していきたい。」などと述べた。

麻生大臣と日銀の雨宮副総裁が、国会で仮想通貨(ブロックチェーン)に言及

立憲民主党の中谷一馬議員は27日、衆院予算委員会分科会にて、麻生大臣と日銀の雨宮正佳副総裁に対し、キャッシュレス化の推進やブロックチェーン技術などのスタンスや取組みを質問した。

「予算委員会」とは、国会における予算審議と議決を行なうための常任委員会であり、衆参両院に置かれている。予算にかかわるすべての分野が審議の対象になり、広範な議論が行なわれるため、NHKの中継が入るなど国民の注目度も高い。

質疑応答内容

中谷一馬議員

①キャッシュレスは、徴税効率や社会的コストの削減など様々な面で現金のインフラ決済よりも優れ、経済成長につながるとされている。

各国で推進される中、政府はキャッシュレス化を始めたとしたフィンテックを推進した方が良いと考えているのか?

内閣府、田中副大臣

キャッシュレス化は、利用者の利便性の向上や企業の生産性向上につながるものだ。

第3次安倍内閣 (第2次改造)による成長戦略として閣議決定された「未来投資戦略2018」でも、2027年6月までに国内のキャッシュレス決済比率を倍増させ、普及率40%程度を目標にしている。

キャッシュレス決済の推進は、海外に遅れを取らぬよう政府としての急務の課題である。金融庁としてもしっかりと取り組んでいく。

中谷一馬議員

②キャッシュレス化を推進する前提において、デジタル通貨発行を経済成長を目指して戦略的に進めている国もある。「eクローナ」と呼ばれる法定デジタル通貨発行の検討を進めるスウェーデンやウルグアイでは、すでに実証実験を始め、中国でもデジタル通貨の動きがある。

中央銀行が発行するデジタル通貨「セントラルバンクデジタルカレンシー(CBDC)」について、どのように捉えているか?

麻生大臣

海外で研究が進んでいることは承知している。

国民の利便性や決済の安全性、また金融システムへの影響等々も考えないといけない。新しいものが出たからと、簡単に飛び付く訳にはいかず研究が必要だ。

ブロックチェーン技術は、「将来大きく化ける可能性がある」とは考えている。

中谷一馬議員

③先日韓国に行ったが、イノベーション先進国のエストニア大統領を迎えて与党で議論を進めるなど、暗号資産やブロックチェーンに関する流れについて、発展させるべきという方向にシフトしつつある。中国中銀でも、デジタル通貨の発行構想も打ち出されている。

デジタル通貨が日本銀行券の形を変えたものになる場合、現行法上の規定は、私見では発行のための法改正は必要なく、発行判断自体は可能だと考えられる。経済的な影響を考慮して発行を考える際、日本としても法律上の取り扱いについても早期検討すべきではないか?

麻生大臣

デジタル通貨に関しては今の段階で、法律上の取り扱いについてはお答えしかねる。国際的な名称が変わるなど、定義や価値観がまだ定まっていない段階であるため、先のことは申し上げられない。

(仮想通貨業界で)怪しげなことや不祥事などが起きる度に、不信感が募ることになるため、事業者および関係者はもっと真面目にやるべきだ。

通貨として、信頼性がないとなったらアウトだ。中央銀行として最も重要な信用に関わる問題になる。

一方的にダメと決めつけるのではなく、きちんと育成を検討しているが、真面目に育成していくという意識が必要だ。

中谷一馬議員

④仮想通貨市場の時価総額が最盛期は100兆円規模まで膨れ上がる中、コインチェックやZaifの不正流出(ハッキング)事件が起こった。稚拙な経営・管理でイメージを損ねてしまった現実もある。

しかし、そういった中で、ブロックチェーン技術自体が、誤解された形で浸透してしまうのは非常に残念。一方でイノベーションを伸ばしていかなければならない。

インターネットは、情報の流通や共有で社会を変革させた。ブロックチェーンは価値の交換・流通でイノベーションを起こす、インターネットの再来だと潜在的には思っている。ブロックチェーンの良い形での発展を望んでいる。

10〜20年後にはデジタル通貨が主流になっている可能性もある。時代に対応した、研究・対応を進めていく必要がある。これに対して所感を伺いたい。

麻生大臣

財務金融委員会でも、各党から、これまでもクリプトアセットに関しても、論議されている。

技術や可能性はあると感じているので、ただ禁止するというよりは注意深く育成していく方が望ましいというのは、私の基本的な考え方だ。

しかし、これは財務省の総意ではなく、「とんでもない」という懐疑的な見解もある。事業者に対しては自覚を持っていただきたい。

中谷一馬議員

⑤キャッシュレス比率40%を閣議決定する中、デジタル決済が10年後には、日本でも主流になっている可能性も考えられる。デジタル通貨の発行について、日銀の雨宮副総裁の見解を伺いたい

雨宮副総裁

中央銀行がデジタル通貨を発行するメリットについて、取引の効率化や安全な支払い手段の提供を評価できる一方、利用する技術の成熟度や安全性、信頼性に加え、民間銀行の活動に及ぼす影響などの”検討課題”も多く、慎重に検討していく必要がある。

現段階では、日銀として、デジタル通貨の発行計画は持っていない。

ただし、「新しい情報・技術が、幅広い金融サービスの効率性や利便性向上に結びついていくことは望ましい。海外の中央銀行業務や新しい技術を使用した決済金融サービスや通貨への応用事例についても、引き続きしっかり研究していきたい。

中谷一馬議員

⑥法定通貨を段階的に切り替えていく場合、現金や小切手などの紙ベースのコスト削減など、メリットが大きいと考えている。デジタル通貨発行のメリット・デメリットについて見解を伺いたい。

雨宮副総裁

民間のデジタル通貨にも言えることだが、現金の取り扱いコストが削減できる。より安全な支払い手段が提供できるメリットはある。

通貨制度というのは経済社会の基盤なので、十分安全で信頼に足るものなのか?経済や財政にどのような影響を与えるのか?の二点は最重要だ。慎重に検討していく必要がある。

中谷一馬議員

⑦暗号資産の基盤技術であるブロックチェーンや分散型台帳技術は有望であり、決済や取引の効率化ができるという見解があるが、日銀でも分散型台帳技術に関する欧州中央銀行との共同調査「Project Stella(プロジェクト・ステラ)」を進めている。進捗などお伺いしたい。

雨宮副総裁

新しい情報技術の中で、様々な取り組みがある。

うち一つが、欧州中央銀行と協力して、銀行間決済の決済システムに関する卸売の部分にブロックチェーン技術を応用できないか検討を共同で進めている段階だ。 Project Stella(プロジェクト・ステラ)に関しては、中間報告を二回行っている。

ブロックチェーン技術を使用することによって、効率的に運用することが可能だという試算結果も出ている。プロジェクト途上ではあるので、これを踏まえて進めていく。

中谷一馬議員

⑧ブロックチェーンの利活用は、今後どのように活用されていくのか?

内閣府、田中副大臣

暗号資産に関して、肯定的・否定的な見解が政府内にも混在する中、一般論で言えば、金融取引が低コストで行えるブロックチェーン技術と表裏を成すものという評価もある。価格変動の大きさでも、使用できるシーンが限定される。犯罪利用などのリスクも高いという指摘もある。

現時点での有用性は低いものの、インターネットの黎明期同様、試行錯誤を経て発展する可能性は十分にある。

利用者保護を確保しながら、イノベーションの観点から、しっかりと支援していきたい。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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