ビットコインが60万円台に 次点の注目ポイントと高騰背景|仮想通貨市場考察

ビットコインが60万円台に
ビットコインが60万円台に回復。相場の急騰こそ伴わなかったが、心理的な抵抗線を超えた。今後の注目ポイントと高騰の背景を考察。注目すべきイベントもリストで紹介。

ビットコインが60万円台に

ビットコインが60万円台に回復。相場の急騰こそ伴わなかったが、心理的な抵抗線を超えた。

4月月初に記録したビットコインの急騰後は右肩上がりの堅調な推移を継続、底堅い価格推移を継続していたが、直近1週間は60万円の高値圏でもみ合う展開に。GWに差し掛かるタイミングで60万円台に価格を乗せたことになる。

依然、チャネルライン内での推移を継続しているビットコインの次点のターゲットは、2018年11月19日の大陰線の始値付近である63万3000円(5360ドル)付近に見ることができる。(CP考察参考)再び高値の更新に向けて、断続的な買いが観測されている中で、ここからがビットコインの過去最高値更新へ向けた正念場となりそうだ。

明確な要因は乏しいが、ビットコイン高騰の背景は主に以下の2点に注目したい。

  • ビットコインの年初来リターンが主要金融資産超え
  • 取引所の連携で不正流出通貨の凍結に成功

ビットコインの年初来リターンが主要金融資産超え

一つめに挙げたビットコインの年初来リターンが主要金融資産を上回ったことが伝わったことは、金融市場からビットコインの値動きを見直す動きに繋がる可能性を示すもので、「ナスダック・S&P 500・不動産・石油・金」など、全ての主要金融資産を年初来のパフォーマンスで上回ったデータがBloombergの統計データを中心に報道されたものである。

2018年の年初より1年半にもわたる下落相場を継続していた仮想通貨市場は、投資・投機資産としても厳しい見方が広まりつつあったが、劇的なパフォーマンスの改善が広く伝わったことは大きい。

取引所の連携で不正流出通貨の凍結に成功

2点目に挙げたのは、Bithumbから不正流出した資産が取引所の連携で現金化を阻止したことが明らかになった事例で、仮想通貨の懸念材料となるハッキングや不正流出などインシデントの対策成功例として注目したい事例となる。

これまで仮想通貨の不正流出事例は資産の回収どころか、犯人の特定にも苦戦している状況にあったが、Bithumbの事例では流出後に細分化した送金が行われたにも関わらず、資産のトラッキングと凍結に成功した。

最近では流出資産のトラッキング技術が向上し、資産の追跡が容易になりつつある。匿名通貨などへの対応は定かではないが、現金化への窓口になり得る取引所の連携で防ぐことができることが示されつつある。

ミキシングなど抜け道こそ出てくる可能性があるが、仮想通貨市場の売り圧力にもなり得るインシデントへの対応成功例は相場の買いを後押しすると見られる。

300万EOS(17億円相当)と1900万XRP(6800万円相当)が不正流出したBithumbの流出事件で、送金先にあがった複数の取引所が現金化前に凍結対応に成功したことがわかった。各取引所の対応をまとめた。

注目イベント

なお、今後の注目事例は以下の通りだ。

プラスファンダ

  • 5〜6月:TAOTAOや楽天ウォレットの開始
  • 8月:ライトコイン半減期
  • 未定:Bakktのビットコイン先物開始

影響を注視したいイベント

  • 5月頃:国内レバレッジ取引の上限引き下げ
  • 6月:G20福岡 財務大臣・中央銀行総裁会議
  • 6月:FATF(金融活動作業部会)パリ全体会合

年内の最注目点は、米ICE(インターコンチネンタル取引所)が運営するBakktの動向にあるのは間違いない。

延期に次ぐ延期が報告されるBakktだが、今月に入り先渡し先物を提供するためのカストディアンライセンスの取得へ動くことがわかり、状況も進展した。これは管轄するCFTCとの方向性がある程度定まったことを示すニュースで、米政府閉鎖やCFTC長官の交代などを踏まえても、先物の提供などサービスを始動できる可能性が出てきたことになる。

カストディアンライセンスの認可後も、サービス提供まで数ヶ月の期間が必要になることを踏まえると、年内の実現目処が立つかどうかは不明だが、NY証券取引所を含め、金融業界で実績のあるICE主導の登録ということもあり、状況は好転的と捉える見方は広がっている。

特に仮想通貨のデータサービスなども提供するICEが本格始動することで、このデータをベンチマークとした仮想通貨金融商品の作成も広まる可能性があり、業界を展望する上で最も重要な動きとなる。

ビットコインキャッシュとイーサリアムの価格には注目

なお、特定の通貨としては、ビットコインキャッシュとイーサリアムの価格推移に注目したい状況だ。

ビットコインキャッシュ

ビットコインキャッシュ(BCH)に関する注目ポイントは、SBIホールディングスが展開する仮想通貨取引所「VCTRADE」の上場廃止の方針だ。SBIバーチャル・カレンシーズ株式会社は4月22日、BCHの取り扱い終了日程を公表、6月28日の6時をもって終了するとした。

なお、本日より一時停止していた取引自体は再開されたが、購入の再開はなく、売却と送付機能のみ受付を行うという。送付に関しては指定のハードウェアウォレット「Cool X Wallet」に限定するが、取引が売却のみに限定されることで売り圧力になるといった懸念もある。

現状で同社のBCH取引量は定かではないが、「VCTRADE」の取引機能が販売所のみで、取引所としての機能を開始していないことを踏まえると、その影響は限定的に留まるのではないかと推察できる。

ただ、取り扱い廃止を行うことで、これまでBCHのマイニングなども行なってきたSBIの保有分に関する資産売却は、投資家の中でも懸念材料として挙がっている。世界の取引所で相次いだBSVの上場廃止活動は収束に向かいつつあるが、短期的には取引に警戒感が生まれる可能性も考えられる。

イーサリアム

イーサリアムに関しては、長期目線で買い材料になり得る「PoSの報酬対照表」が公開された。これはあくまでも、イーサリアム創設者の一人であるヴィタリック氏が新たな提案したものであるが、イーサリアムのPoSシステム以降後に関わる重要な参考事例となり得る。

今回報告されたのは、「保有する通貨(ステーク)の割合に比例し、ブロックを新たに生成・承認する権利が得られる」コンセスサス・アルゴリズムPoSへと移行するに当たり、保有通貨数に対応した配当の具体的な金額が示されたニュースだ。

今回提示された対照表は以下の通り。

出典:GitHub

最大の年間発行額として示されているデータは、200万ETHとなり、現在1ブロックのリワードが2ETHに減額されたPoW上の報酬で算出した年間発行数1200万ETHを大きく下回る。

ステーキングのシステム上、通貨保有分(動かせない資産)が存在することでの市場流通通貨数が減少することになるが、新規発行の通貨数も大きく減少するとなると、市場供給量が大きく減少、需給関係が需要方向に傾く可能性がある。

これまでのPoWシステムでは、投資額が電力や周辺機器といった仮想通貨に関わらない資産を投じていたため、マイニングしたことで得られる報酬は、売却という形で市場の売り圧力に直結していた。

市場供給量がより抑えられる仕組みが提案されたことは、技術面ではなく、投資資産としてのイーサリアムにプラスの影響を与える可能性がある。PoSシステムへの移行時期は未定ではあるが、長期的なイーサリアム価格に良い影響を与えるかもしれない。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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