中国アリババ、ブロックチェーン技術を中小企業の知的財産保護に導入予定

アリババが知的財産保護システムにブロックチェーン技術を導入予定
アリババグループが、同社の知的財産保護システムにブロックチェーンを導入することを公表した。有名ブランドに加え、中小企業のイノベーションや真正性を保護するIP保護サービスの充実を図るという。

アリババが知的財産保護システムにブロックチェーン技術を導入予定

中国eコマース最大手のアリババグループが、自社の知的財産 (IP) 保護システムにブロックチェーン技術を導入する取り組みを行っていることが明らかになった。

中国最大級のニュースサイトSohu.com(捜狐)の報道によると、アリババグループは、自社のIP保護プラットフォームをアップグレードし、世界の有名ブランドはもとより、一般企業や特に中小企業の革新性や真正性を保護するIP保護サービスの充実を図るという。

世界最大規模のオンラインショッピングサイトを運営するアリババにとって、偽造品との戦いは切実な問題だ。その対策の例として、アリババグループは2016年から、高度なテクノロジーを駆使して、オンラインにおける模造品の違法取引を防止するための取り組みを行ってきている。

またIP保護システムでは、偽造品を識別するために、偽造品識別モデリング、画像認識技術、認識アルゴリズム、製品情報データベース、リアルタイム傍受システム、およびデータコラボレーションプラットフォームを使用しているという。

その一つが、ビッグデータモデリングの識別情報を使用し、IP権侵害へのリンクを提供することで、eコマース事業者とIP所有者双方に役立つ世界初の「IP統合システム」である。また2017年には、世界のIP所有者対象に無償で数々の恩典を提供する、Alibaba Express IPPを開始しているが、このプログラムでは、24時間以内に95%の知的財産通知を処理するという。

さらに2018年にアリババグループは、グローバル化時代における新しい知的財産保護のあり方を、法的側面から検討するプラットフォームとして、知的財産研究所を設立している。

このようなアリババグループの先駆的な取り組みをさらに強化するのが、今回報道されたブロックチェーン技術の導入だろう。IP保護システムのアップグレードに使用されるのは、同じアリババの「Ant Financial Group」開発の金融向けの商業用ブロックチェーン技術だという。

中国巨頭のブロックチェーン取り組み

アリババグループは企業戦略の5つの柱として、「BASIC=ブロックチェーン 、AI、 セキュリティ、IoT、クラウドコンピューティング」を掲げており、ブロックチェーン分野では、中国最多の262件の特許申請を行うなど活発な開発に取り組んでいる。

知的財産権保護部門責任者であるAli Xizhi氏は、今年9月までにはブロックチェーン技術のプラットフォームへの実装を終え、IP権申請プロセスを強化し、その後、写真、オーディオ、ビデオなどのデジタル著作権保護の分野に拡大していくと述べた。

さらに中国には、オンラインで訴訟手続きが可能なインターネット裁判所(全国に3ヶ所:杭州、北京、広州)があるが、アリババグループの知的財産保護プラットフォーム(IPPプラットフォーム)のブロックチェーンを介して、国際ブランドがインターネット裁判所に直接リンクし、訴訟における権利保護の基盤を確立することもできるようになるという。

アリババグループは、グローバルにeコマースを展開するために必要な関連技術を貪欲に突き詰め開発していくことで、「eコマースの巨人」から、高水準のIT技術力を中核とした事業を展開するグローバル企業へと変貌を遂げているようだ。

中国ブロックチェーン特許戦争の勢力図

世界のブロックチェーン特許申請数の3割(2017年時点)を占める中国が注力する特許戦争に、eコマース大手のJD.comも名乗りを上げた。同国を代表する世界最大手のバイドゥ、アリババ、テンセントも大量申請中だとされる。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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