フェイスブックの仮想通貨は「十分な犯罪対策が必要」FinCEN理事が見解示す
- FinCEN理事が仮想通貨プロジェクト「リブラ」に言及
- 米金融規制当局のFinCEN理事長と下院議員らが資金洗浄対策などをテーマに討論。フェイスブックの仮想通貨プロジェクト「リブラ」にも触れ、Blanco理事は「十分な犯罪対策が必要」との見解を示した。
米金融規制機関FinCEN理事が「リブラ」に言及
複数の米国下院議員が、金融犯罪捜査網(FinCEN)の理事を務めるKenneth Blanco氏と、フェイスブックの仮想通貨プロジェクトである「リブラ」などに関して討論を行った。
FinCENは米財務省の機関であり、主な業務にはマネーロンダリング対策など、金融システムでの違法行為の防止などがある。今回の討論では、人工知能や機械学習などの利用による資金洗浄の防止効果が主題となった。
その中でもCleaver下院議員は、テロ集団や犯罪組織が違法行為を行うために仮想通貨など新たな手段を模索・利用している現状を伝え、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」も、そうした組織に利用される懸念があると主張。さらに金融システムを安全に保つ対策として、上述した先進技術を利用すべきだとの考えを展開した。
FinCEN理事のBlanco氏は、過去に対立国などがフェイスブックのメッセージ機能や広告を利用し、米国の民主主義に大きなダメージを与えた事例があるとした上で、以下のように語った。
そのような大企業が何十億もの金融取引を開始する前に、過去の問題を分析し、テロリストや過激論者、その他、国に脅威を及ぼしうる敵による(リブラの)利用を防止する手段を備える必要がある。
現在フェイスブックのプロジェクト及びサービスは、犯罪対策や国家安全保障などの側面に課題を抱えているとの見解を示した。さらに、仮想通貨リブラを発行する前に、最新技術を導入するなどして、十分な対策を講じる必要があることも指摘された格好だ。
リブラ開発の一時中止を要求
米国議会下院の金融サービス委員会 Maxine Waters理事長は以前、リブラプロジェクトの開発を一時的に中止するよう要求して、以下のような声明文を発表していた。
フェイスブックは、独自の仮想通貨を通して、自らのビジネス独占権力をユーザーにさらにリーチしようとしている。
現在、顧客や投資、安定した経済を守る規制・法律が明確でないため、規制者は仮想通貨がもたらし得るプライバシーや国家安全問題、取引リスクに対処しなくてはならない。
フェイスブックにおける以前のトラブルを踏まえて、国会と規制者が上述の問題を調査し、対処を施すまでは、フェイスブックに仮想通貨の開発の一時的中止を要求する。
この発言は法的拘束力が発生するものではないが、フェイスブック社のCEOら役員に対する公聴会の開催も併せて要求しており、引き続き情報の共有などが求められる運びとなりそうだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します