二転三転? インド政府委員会、新たに仮想通貨全面禁止を提案する報告書を提出
- インド、新たに仮想通貨の全面禁止検討か
- インド政府の仮想通貨諮問委員会が、「政府が発行する仮想通貨を除き、民間における仮想通貨利用・取引など全面禁止を推薦する」とした報告書を提出した。規制の方向性が揺れていると見られるインド、現在の状況を考察した。
インド政府委員会が提案、仮想通貨の全面禁止
仮想通貨について調査するインド政府の仮想通貨諮問委員会は現地時間28日、多くのインド人が海外の仮想通貨に投資する現状に対し、深刻な懸念を明示する報告書を公式に発表した。
同委員会が出した声明では、政府が発行する仮想通貨を除き、民間における仮想通貨利用・取引など全面禁止を推薦する内容が記載された。
仮想通貨は、金融システムの包摂性と効率を改善することはできるが、法定通貨が持つ本質的な機能を有していないと考えている。そういった理由から、国家主体の仮想通貨に関しての制限は設ける意向はないという。
その他、全面禁止を推奨する理由として、複数の内容挙げられた。
1.仮想通貨は資金洗浄やテロ資金などの犯罪行為に悪用されやすく、それらの利用は執行機関の取り締まりを妨害し得ること。2.仮想通貨価格のボラティリティやマイニングエネルギー消耗等が貨幣供給を含む金融システムの安定を揺るがす可能性。3.仮想通貨プロジェクトの詐欺行為などが挙げられている。
一方、ブロックチェーン技術の有用性を認め、国家主体で通貨の本質的価値と矛盾しない政府や中央銀行発行の仮想通貨に関しては禁止する提案は行わなかった。
揺れるインドの仮想通貨規制方針
インドでは、銀行口座を有しない国民が世界において最も多い国の1つとされているため、仮想通貨による金融の包摂性が発揮するとして注目されていた国の一つだが、インドにおける仮想通貨の取り扱いに関して、発表内容などを見ると事情や発言する人物によって内容は異なり、報道の受け取り側からは事情が二転三転していると見られている。
禁止の意向を示した事例には、インド中央銀行RBIによる金融機関の仮想通貨関連業務禁止令や、議会に提出された「取引引を行なったものに対して罰金や禁固刑を課す必要性」を主張する仮想通貨禁止法案などの動きがある。
一方で、仮想通貨を禁止する動きが強まる中で、財務省副大臣を務めるAnurag Singh Thakur氏が、インド連邦議会(上院)で「現在、(インドにおいて)仮想通貨に関する問題を取り締まる法律はない」との声明が出され、現状では法的な制限はないとの見解が示されている。
状況を整理すると、政府および各省庁間で検証中の状況にあるが、今回出された声明を含め、法的な最終決定が下されていないが、政府主体ではない仮想通貨に対する禁止を求める動きは強まっているという可能性が指摘される。
Thakur氏の声明から、現時点でインド準備銀行や財務省の間で議論が硬直状態にあることがわかっているが、仮想通貨に関する調査を行う諮問委員会が、禁止の意向を示していることは、業界において喜ばしい状況ではないことは確かだ。
参考資料:インド財務省
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します