本記事では、ビットコインと日経平均が本当に相関関係を持つのか、具体的なメカニズムをもとに解説します。また、急落時に確認すべきポイントや、両資産を組み合わせた分散投資の考え方まで取り上げます。株式投資家が仮想通貨を検討する際の判断軸としても活用できます。
日経平均とビットコインは連動するのか?
そもそも、日経平均とビットコインは本当に連動しているのでしょうか。結論としては「相関はあるが限定的」です。常に連動するわけではなく、一定の条件下においてのみ成立します。
一般に異なる資産間の相関を調べたい場合、よく用いられるのが「相関係数」です。相関係数は−1〜1の値をとる数値で、−1に近いほど逆の動きを、1に近いほど似た動きを、0に近いほど両者は独立して動くことを示します。
ビットコインと日経平均の相関は、以下のようなパターンで推移することが知られています。
| 相関が強まる局面 | 相関が弱まる局面 |
|---|---|
| リスクオフ時(コロナショック等) | BTC固有イベント時(半減期・ETF承認等) |
| マクロ経済ショック時 | 日本株固有イベント時(日銀政策変更等) |
なぜ相関が生まれるのか?3つのメカニズム
ビットコインと日経平均の間には、なぜ・どのようなタイミングで相関が生まれるのでしょうか。ここでは三つのメカニズムを通じて説明します。
リスクオフ・リスクオンの連動
ビットコインと日経平均は「リスクオフ時にどちらも下がる」点が共通しています。リスク回避局面において投資家はリスク資産を避け、安全資産に資金を移すためです。
暗号資産や株式は比較的ボラティリティが高い「リスク資産」。地政学的リスクやマクロ経済リスク発生時には真っ先に影響を受けます。コロナショックなどの大きな出来事が起こった際には、市場の低迷を危惧した投資家が一斉に資産を引き上げ、現金化や安全資産(債券等)への移動を行います。その結果、ビットコインと日経平均はともに下落し、相関が強まります。
ドル円・米国株を介した間接連動
一般に、円安は輸出企業に有利にはたらくため、輸出関連銘柄の割合が大きい日経平均株価は円安局面において上がりやすいことが知られています。
ビットコインに対しても円安は追い風となります。ビットコインは通常ドル建てで取引されるため、円安によって円換算での価格が上がるためです。
このように日経平均とBTCはどちらも円安によって値上がりしやすい傾向にあります。直接両者が相関するのではなく、「円安によってそれぞれが別理由で値上がりするため、間接的に相関が強まる」のです。
大型IPO・資金移動イベント
市場での大型IPOも、ビットコイン・日経平均の相関が高まるタイミングの一つです。世界中の投資家がIPOに向けて一斉に資金を捻出するため、ビットコインや株式は売られやすくなります。特にスペースXやAnthropicのような超大型株の場合、全体で兆単位の資金が移動することになり、その影響はより大きくなります。
詳しい解説は以下の関連記事をご覧ください。
過去の主要局面で検証
以下は、ビットコインと日経平均の相関が特に注目された代表的な5つの局面をまとめたものです。実際の値動きと照らし合わせることで、どのような条件下で相関が生じるかを確認できます。
| 局面 | BTC | 日経平均 | 相関 |
|---|---|---|---|
| コロナショック(2020年3月) | 約20%下落 | 約10%下落 | 強い相関 |
| 2021年末・金融引き締め | 約30%下落 | やや下落 | 限定的 |
| 2024年1〜4月・BTC現物ETF承認 | 約40%超上昇 | 約15%上昇 | 弱い(BTC固有) |
| 2024年8月・日銀利上げ・景気後退懸念 | 下落 | 下落後に回復 | 一時的に強い |
| 2025年以降 | 上がりきらず | 右肩上がり | 部分的 |
上記は日経平均の主要な局面を赤枠で囲んだチャートです。特にコロナショックや2024年夏の下落局面で、ビットコインと似た動きが見られます。
ビットコインも同様の時期に赤枠で囲んだような急変動が見られます。特に2024年後半以降の動きは日経平均との連動が意識されやすい局面です。
※上記の数値はCoinGecko・TradingViewの公開データをもとにした概算値です。各数値は参照時点(2026年6月)のものであり、将来の値動きを保証するものではありません。
相関が「崩れる」タイミングと見極め方
反対に相関が崩れるのはどのようなタイミングでしょうか。ここでは代表的な3つのパターンを具体例とともに紹介します。
BTC固有イベント
ビットコインと日本株は本来全く異なる資産のため、どちらか固有の材料が出た場合、その影響は基本的にそれぞれの資産に限られます。例えば、半減期やETF承認といったイベントがあった2024年1月初〜4月末、BTCが40%強上昇した一方、同時期の日経平均は約15%の上昇にとどまっています(出所:CoinGecko・TradingView、2024年4月時点)。
なお、マイクロストラテジー(現Strategy)のようなビットコイン保有企業は例外です。こうした企業はビットコインと強く連動して動く傾向があります。
日本株固有イベント
金融引き締めといった日銀の政策変更や、日本国内の地政学的リスクなどは日本株固有のイベントに該当します。ビットコインは特定の国や機関に依存しない資産のため、こうしたイベント発生時は日経平均のみが動くことになります。
仮想通貨市場の成熟化
個別のイベントだけでなく、市場の成熟化などの長期的なトレンドも相関の強さに影響します。近年、各国での規制強化や投資家への普及により、仮想通貨市場は成熟化しています。BTCの値動きにも変化が生じており、かつて高い相関を示したゴールドとの相関は薄れ、ボラティリティが低下。独立した資産クラスとしての地位を固め始めています。
株式との相関も将来的に変化していく可能性があります。「相関がある」「相関がない」と一概に断定するのではなく、局面に応じて判断することが賢明です。
BTCが急落したとき確認すること
急落時は以下の5点を順番に確認することで、原因が「マクロ要因」か「BTC固有要因」かを切り分けられます。マクロ要因であれば日経平均も連動して動いている可能性が高く、BTC固有要因であれば株式市場は無風のケースが多いでしょう。
- VIX(恐怖指数)が上昇しているか VIXとは別名「恐怖指数」とも呼ばれ、先行きに対する投資家の警戒感を示す指標として広く用いられます。VIX指数が高い=投資家が下落を警戒してリスクオフしている状態のため、ビットコイン・株式ともに下落する傾向があります。
- ドル円はどう動いているか 為替が円高方向に動くと、円建てビットコインにとっては下押し要因となります。同時に株式市場でも円高はマイナスに捉えられる傾向があります。
- 米国株(ナスダック)はどうか 米ナスダック市場はハイテク株中心の市場であり、金利の動向に敏感な性質が知られています。ナスダックに動きが見られる場合、金利変動に伴うリスクオフ・オンの動きが活性化している可能性があります。
- 大型IPOが重なっていないか 大型のIPOが予定されている場合、投資家が資金捻出のために資金移動を行っている可能性があります。
- 仮想通貨固有ニュースはあるか 暗号資産関連の法案承認など、仮想通貨固有のニュースが報じられている場合、ビットコイン単独の値動きとなる可能性があります。
日経平均・BTCを組み合わせた分散投資の考え方
ここまで解説してきたように、ビットコインと日経平均との間には「一時的に相関が生まれる」ケースがあります。ただし、それは特定の条件が揃った局面に限られます。あくまでビットコインは独立した資産としての歩みを進めており、常に連動するわけではありません。
「完全に連動しないなら、結局どのタイミングで投資すればよいかわからない」と思うかもしれませんが、この「完全には相関しない」という特徴は、分散投資においては強みとなります。日経平均がBTCと異なる値動きをしている局面で投資することで、分散投資のメリットが働き、BTCと日経平均がそれぞれお互いのリスクヘッジとなるのです。
日頃からビットコインと日経平均の値動きを比較・チェックしておくことが、適切な分散投資判断への近道です。



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