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仮想通貨企業が発行する「優先株」とは?STRCの仕組みとリスクを初心者向けに解説

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優先株・DAT企業・ビットコイン購入戦略の解説イメージ図

※本記事は情報提供を目的としており、特定の資産への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任においておこなってください。

暗号資産(仮想通貨)領域では最近、ビットコイン(BTC)を購入するストラテジー社など、仮想通貨を購入・保有する企業の存在感が大きくなっています。こういった企業は個人投資家と比較すると使用する資金が大規模であるため、売買が市場に与える影響も大きくなります。

こうした企業に共通する資金調達手段として注目されているのが「優先株」です。本記事では、優先株の基本的な仕組みから、ストラテジー社のSTRC戦略・投資リスク・DeFiでの活用事例まで、初心者にもわかりやすく体系的に解説します。

この記事のポイント

  • 優先株とは、配当・残余財産分配で普通株より優先される株式。DAT企業がビットコイン購入資金の調達に活用している
  • ストラテジー社のSTRCは年利回り12%・額面100ドル設計の永久優先株。価格動向がビットコイン相場の先行指標になる
  • DeFiプロジェクト「エイペックス」はSTRCを担保に合成ドルapxUSDを発行し、15.43%の利回りを提供(いずれも2026年7月3日時点)
  • 投資リスクは「価格・配当・償還・仮想通貨下落」の4つ。DAT企業特有のリスクに注意が必要
目次
  1. 優先株とは?普通株との違いをわかりやすく解説
  2. DAT企業とは?仮想通貨を積極的に買い増す企業の特徴
  3. 優先株を発行する3つの理由
  4. ストラテジー社の優先株戦略:STRCを事例に解説
  5. 投資家が知るべき優先株のリスク4選
  6. DeFiでの活用事例:エイペックスとapyUSD
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ
ビットコイン(BTC)の基礎知識はこちら

優先株とは?普通株との違いをわかりやすく解説

優先株とは、広く投資家に取引されている普通株よりも、特定の事項について優先的な権利が保有者に与えられる株式のことです。

配当と残余財産の優先権

「特定の事項」とは、企業の利益の配当や会社を清算する際の残余財産の分配などです。優先権が設定されていれば、優先株を保有する投資家は普通株の投資家よりも優先的に配当や残余財産を受け取ることができます。

例えば配当では、優先株の保有者に分配されても、普通株の保有者には分配されない(無配)ということが起こりえます。文字通り、特定の事項で普通株よりも「優先」されるのが優先株です。一方で、議決権については一定の制限があることが一般的です。

なお、普通株とは条件・権利が異なる株式を包括的に「種類株」と呼びますが、優先株はその種類株の1つです。

普通株との主な違い一覧

比較項目 優先株 普通株
配当 優先的に受け取れる。高利回り設定が多い 配当は会社の裁量による
残余財産 清算時に優先的に分配される 優先株の後に分配
価格変動 比較的小さい(安定志向) 大きく変動する
値上がり益 得にくい 株価上昇で大きな利益も
議決権 制限される場合が多い 通常1株1議決権
流動性 低い(売買しにくい) 高い(取引所で活発)

DAT企業とは?仮想通貨を積極的に買い増す企業の特徴

DAT企業の定義と代表例

仮想通貨などのデジタル資産を購入・保有する企業はDAT企業と呼ばれます。DATとは「Digital Asset Treasury:デジタル資産トレジャリー」の略です。

DAT企業の定義は完全に統一されているわけではありませんが、特徴の1つとして保有量を積極的に増やすことを明確な戦略にしていることが挙げられます。単純にデジタル資産を保有しているだけの企業とは異なる点です。

代表的なDAT企業には以下があります。

企業名 主な保有資産 特徴
ストラテジー社(旧MicroStrategy) ビットコイン 世界最大のBTC保有上場企業。STRC等の優先株で資金調達
メタプラネット(国内) ビットコイン 国内BTC財務企業の代表格。優先株で資金調達を実施
ビットマイン イーサリアム ETH財務戦略をとるDAT企業

テスラと異なる理由

よく比較されるテスラはビットコインを保有していますが、自動車・エネルギー事業という本業があり、仮想通貨の保有量拡大を戦略の中心には置いていません。そのため、DAT企業とは分類されません。

なお、現在DAT企業が主に保有しているのは仮想通貨であるため、本記事では「デジタル資産」ではなく「仮想通貨」という表記を使用します。

優先株を発行する3つの理由

DAT企業が優先株を発行する最大の理由は、仮想通貨を購入するための資金を調達することです。個人投資家と違って企業が戦略として仮想通貨を購入する場合は大規模な資金が必要であり、優先株を発行して投資家に販売することで資金を得ます。

普通株の希薄化を抑制

1つ目は、普通株の希薄化を抑えることができるためです。希薄化とは、新たな株を発行して株の総数が増えることによって、既存の株主の持分や1株当たりの価値が相対的に下がることを指します。

企業は資金を調達するために普通株を発行することもできますが、株の価値が下がるため、既存の株主は希薄化を嫌う傾向があります。希薄化を嫌う投資家が普通株を売却すれば株価の下落にもつながります。優先株の発行は、普通株の希薄化を避ける手段として採用されることが多くあります。

柔軟な条件設定が可能

2つ目は、普通株とは異なる内容・権利を発行時に定めることができる柔軟さです。日本の会社法108条は種類株について以下の9つの事項について異なる定めができると規定しており、各項目を単独または組み合わせて設定することができます。

  • 剰余金の配当
  • 残余財産の分配
  • 議決権の範囲
  • 株の譲渡制限
  • 株主側の取得請求権
  • 会社側の取得条項
  • 会社側の全部取得条項
  • 種類株主の決議権
  • 取締役や監査役の選任権

米国ではデラウェア州の一般会社法が同様のルールを定めています。特に剰余金の配当・残余財産の分配で投資家に有利な条件を付した株が優先株です。

機関投資家など多様な投資家に訴求

3つ目は、多様な投資家に訴求しやすい点です。優先株は一般的な普通株よりも高く安定した利回りを設定でき、価格変動も比較的小さい傾向があります。機関投資家は安定して配当が支払われる資産や価格変動が小さい資産を好む傾向があるため、機関投資家をはじめとする安定志向の投資家から資金を集めやすくなります。

ストラテジー社の優先株戦略:STRCを事例に解説

続いて、優先株の具体例を見ながら、資金調達の仕組みやお金の流れを確認していきましょう。ストラテジー社が発行している優先株「ストレッチ(STRC)」を事例に解説します。

STRCの特徴(利回り・価格安定設計)

STRCは「永久優先株」として発行されています。一般的に永久優先株とは、満期がなく、一定期間後に普通株に転換したり償還したりするルールが設定されていない優先株を指します。STRCも基本的にはこの定義に当てはまります(例外は後述)。

STRCの大きな特徴は以下の2点です。

特徴 内容
年間配当利回り 12%(2026年7月3日時点)。配当は現金で月2回支払い
価格安定設計 額面100ドル付近で推移するよう配当利回りを月次調整

価格安定の主な仕組みは配当利回りの調整です。目論見書では、STRCが100ドル以上で取引されている場合は配当利回りを下げて価格を下落させ、100ドル以下の場合は利回りを上げて価格を上昇させると説明しています。ただし、この調整はストラテジー社の裁量であり、調整に失敗したり放棄したりするリスクも目論見書で明示されています。

なお、優先株の配当を支払うためにストラテジー社がビットコインを売却することが過去にありましたが、STRCなどの優先株は法的には同社の全資産に対して優先的な権利を付与するものであり、仮想通貨が直接の担保(裏付け)になっているわけではありません。

STRC価格が100ドルを超えると何が起きるか

ストラテジー社の狙いは、以下の循環を繰り返して資金調達とビットコイン購入を続けることです。

  1. STRC発行・販売
  2. 資金調達
  3. ビットコイン購入
  4. ビットコイン保有量増加
  5. 企業の価値・信用力の向上
  6. STRCの再発行・再販売

この循環は、STRCの価格が額面の100ドルを上回っている場合にうまく機能します。逆に100ドルを下回ると、資金調達がしにくくなり、ビットコイン購入の機会も減少します。本記事執筆時点(2026年7月3日)のSTRC価格は87.87ドルで、100ドルを下回っている状態です。

ビットコイン投資を検討している方からすると、STRCが100ドルを上回っている状態はビットコイン相場への買い圧力が生まれやすい状況と見ることができます。ただし、必ずそうなるとは限りません。

MSTRとの違い

最後に、ストラテジー社の普通株「MSTR」との違いを整理します。

比較項目 STRC(優先株) MSTR(普通株)
配当 年12%(月2回) なし(2026年7月3日時点)
価格変動 100ドル付近で安定設計 ビットコイン価格に連動して大きく変動
値上がり益 得にくい BTC上昇局面で大きなリターンも
議決権 限定的 通常付与

投資家が知るべき優先株のリスク4選

ここでは優先株に投資する際の主なリスクと注意点をまとめます。投資前に必ず目論見書を確認してください。

価格リスク

リスク①:価格リスク

STRCのように価格を安定させる設計になっている優先株もありますが、目標価格を維持できない可能性があります。元本を毀損するリスクは優先株にも存在します。また、優先株は流動性が低く相対的に売買しにくいため、急いで売却したい場合に不利な価格での取引を強いられることがあります。

配当リスク

リスク②:配当リスク

高い利回りが設定されていても、発行企業の資金不足で配当が支払われなくなったり、利回りが変更されたりして想定通りの配当が得られない可能性があります。また「非累積型」の優先株は、ある年の配当が支払われなかった場合、翌期以降に繰り越して受け取ることができません。購入前に累積型か非累積型かを確認することが重要です。

償還リスク

リスク③:償還リスク

優先株には発行企業が任意のタイミングで償還できる権利を設定している場合があります。STRCは基本的に永久優先株ですが、ストラテジー社は指定の条件下で償還できる権利を設定しています。価格上昇局面でも早期償還されてしまうリスクがあります。また将来的に上位の優先株が発行されて、保有する優先株が劣後することもあります。

仮想通貨下落リスク(DAT企業特有)

リスク④:仮想通貨下落リスク(DAT企業特有)

DAT企業が保有する仮想通貨の価格が下落した場合、発行企業の評価・株価・配当支払能力に連鎖的な影響が及ぶことがあります。これは一般的な優先株発行企業にはないリスクです。仮想通貨が下落すると優先株の価格も下がる可能性があり、さらに資金調達がしにくくなるという悪循環も懸念されます。仮想通貨相場の上昇局面では好循環が生まれますが、下落局面では逆回転が起きるリスクがある点を理解しておきましょう。

DeFiでの活用事例:エイペックスとapyUSD

エイペックスの仕組み

「エイペックス(Apyx)」はブロックチェーン上の米ドルである「合成ドル」を発行するプロジェクトで、DAT企業の優先株をDeFiに組み込んだ先進的な事例です。

エイペックスのプロダクト「apxUSD」は合成ドルです。USDCやUSDTのように単純に米ドルと1:1で裏付けられているわけではなく、STRCなど価格変動の小さい資産を過剰担保として保有することで1ドル付近の価値安定を実現しています。

apxUSDをエイペックスに預け入れると「apyUSD」を受け取ることができ、apyUSDを保有することで利回りを獲得できます。この利回りの原資は、DAT企業の優先株から得られる配当です。本記事執筆時点(2026年7月3日)におけるapyUSDの利回りは15.43%で、STRCの利回り12%を上回っています。

なお、流通市場におけるapxUSDの価格は6月1日までは1ドルで推移していましたが、その後は変動が大きくなり、6月25日には0.73ドルまで下落しました。この値動きはSTRCの株価と相関しています。

アライドアーキテクツの国内運用事例

国内企業のアライドアーキテクツは2026年6月、apyUSDを保有して運用を開始したことを発表しました。

発表でアライドアーキテクツは「株式・債券・不動産・知的財産(IP)など、あらゆる資産がブロックチェーン上に記録された状態で24時間365日取引される時代の到来を見据えています」と説明。エイペックスを「優先株をオンチェーン化し、利回り付きステーブルコインへと昇華させた先駆け的な存在」と位置付け、「今後の知見を日本の規制を遵守する形で企業・投資家向けのデジタル資産の導入・運用支援サービスへと展開していく構想」であると述べています。

よくある質問(FAQ)

優先株とは何ですか?普通株とどう違いますか?
優先株とは、普通株よりも配当や残余財産の分配において優先的な権利が与えられる株式です。普通株より高い配当利回りが設定されることが多い一方、価格変動が比較的小さく、議決権が制限される場合がほとんどです。「安定した配当を受け取れる代わりに値上がり益を得にくい」点が普通株との主な違いで、流動性が低く売買しにくいというデメリットもあります。
DAT企業とはどのような企業ですか?
DAT企業とは「Digital Asset Treasury(デジタル資産トレジャリー)」の略で、仮想通貨などのデジタル資産を積極的に購入・保有することを明確な経営戦略とする企業です。代表例はストラテジー社(ビットコイン)・メタプラネット(ビットコイン)・ビットマイン(イーサリアム)です。ビットコインを保有するテスラとは異なり、保有量の拡大自体を戦略の中心に置いている点が特徴です。
ストラテジー社が発行するSTRCとはどのような優先株ですか?
STRCはストラテジー社が発行する永久優先株で、2026年7月3日時点の年間配当利回りは12%です。額面100ドル付近で価格が安定するよう設計されており、配当利回りの月次調整で価格を誘導します。調達資金はビットコイン購入に充てられます。同時点での市場価格は87.87ドル(100ドル割れ)で、仮想通貨が直接の担保になっているわけではありません。
STRCの価格が100ドルを下回るとビットコイン相場にどう影響しますか?
STRCの価格が100ドルを下回った場合、ストラテジー社はSTRCによる資金調達がしにくくなります。資金調達が困難になればビットコインの購入も滞り、市場への買い圧力が低下します。その結果ビットコイン相場にネガティブな影響が生じやすいと見る向きがあります。逆に100ドル超の場合は資金調達が容易になり、ビットコイン購入の可能性が高まるためポジティブに捉えられることが多いです。ただし、必ずそうなるとは限りません。
優先株への投資にはどのようなリスクがありますか?
優先株の主なリスクは4つです。①価格リスク:100ドル安定設計でも維持できず元本を毀損する可能性があります。②配当リスク:発行企業の資金不足で配当が支払われなくなったり、非累積型では繰り越し受取が不可能な場合があります。③償還リスク:発行企業が任意のタイミングで早期償還できる権利を持つ場合があります。④仮想通貨下落リスク:保有仮想通貨の価格下落が企業評価・株価・配当支払能力に連鎖する可能性があります。投資前に必ず目論見書を確認してください。
DeFiで優先株はどのように活用されていますか?
DeFiプロジェクト「エイペックス(Apyx)」は、STRCなど価格変動の小さい優先株を過剰担保として保有し、合成ドル「apxUSD」を発行しています。ユーザーはapxUSDをロックしてapyUSDを受け取り、DAT企業の優先株配当を原資とした利回り(2026年7月3日時点で15.43%)を獲得できます。国内ではアライドアーキテクツが2026年6月にapyUSD運用を開始したと発表しており、優先株とDeFiの新たな接点として注目されています。

まとめ

本記事では、優先株の基本概念からDAT企業・ストラテジー社のSTRC戦略・投資リスク・DeFiでの活用事例まで体系的に解説しました。

最近は仮想通貨投資を行う上で、DAT企業の動向を確認する重要度が増しています。DAT企業は個人投資家と比較すると取引額が非常に大きいため、優先株の価格動向は特に注目に値します。STRCの価格が100ドルを上回っているかどうかは、ビットコイン相場への買い圧力の有無を見る1つの指標として活用できます。

またDeFiの文脈では、優先株を担保にした合成ドルの登場など、従来の金融商品とブロックチェーンを組み合わせた新しい活用事例が生まれています。今後は仮想通貨投資を行う際に、優先株の動向にも注目してみてください。

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