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イーサリアム、ポスト量子暗号のハッシュ関数を従来型へ転換方針 開発加速の期待も

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 「ポセイドン」から「SHA2」や「BLAKE2s」へ移行の計画
  • 高いセキュリティやスリムな設計思想が可能に

耐量子暗号の関数をシンプルに

イーサリアム(ETH)財団の研究者であるジャスティン・ドレイク氏は13日、量子コンピュータ耐性を持つ暗号について、イーサリアムのメインネット(L1)で採用するハッシュ関数をポセイドン(Poseidon)から従来型ハッシュ関数へと移行させる方針だと発表した。

この転換は、リーン(スリムで効率的)なイーサリアムに高いセキュリティをもたらし、ハッシュベース暗号の黄金時代の先駆けともなるとしている。

「ポセイドン」はイーサリアムのゼロ知識証明システムの中核となるハッシュ関数とされてきたものだ。2018年以来、イーサリアム財団は「SNARK(ゼロ知識証明の一種)フレンドリーなハッシュ関数」に取り組み、その結果2019年にポセイドンが誕生していた。

ゼロ知識証明とは

証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。例えば、送金者、受取人、送金額などの取引内容を第三者に明かすことなく、その取引が不正でないことを証明することができる。

しかし、ドレイク氏によると、その後SNARKの画期的な設計が登場し、そもそもSNARKフレンドリーなハッシュ関数は必要ないことが明らかになった。SHA2やBLAKE2sといった既存の標準的なハッシュ関数であっても、SNARK内でポセイドンに匹敵する性能を発揮できる格好だ。

これは、最小の素数である「2」を用いたバイナリ体による計算で可能となった。ドレイク氏は、バイナリ体はビット演算と親和性が高く、これを採用しノートパソコン上でも1秒間に100万回もの従来のハッシュ関数呼び出しを証明できると述べた。

関連記事:イーサリアムのロードマップ大幅刷新、ヴィタリック氏「量子耐性を最優先に」

仮想通貨イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が、2023年ロードマップと最新のものを比較し、量子耐性署名など新たに加わった6要素を解説した。

2027年に「リーンVM」完成目指す

従来型関数SHA2やBLAKE2sを採用することにより、よりスリムな設計思想で開発が可能となる。

SHA2は2000年代から、またBLAKE系も2008年以降、世界中の暗号研究者による徹底的な暗号解析を経てきた暗号である。一方で、ポセイドンはまだ誕生したばかりであり、暗号解読耐性を十分に検証するにはまだ数年以上の時間が必要だ。

このため、従来型ハッシュ関数を使うことで、導入のスピードも加速させることができる。ドレイク氏は、現在のロードマップでは、2027年に本番運用レベルの「リーンVM(仮想マシン)」を完成させ、2028年にはCL(コンセンサス層)、DL(データ層)、EL(実行層)へ展開することが予定されていると述べた。

なお、リーンVMとは、イーサリアム財団がポスト量子暗号時代に向けて開発している、軽量で高性能なゼロ知識証明仮想マシン(zkVM)のことである。

イーサリアムは長期的な変革目標として「リーン・イーサリアム」を掲げているところだ。ドレイク氏は以前、これはセキュリティ、分散化、最先端の暗号技術を強化するものであり、美学でもあると説明していた。

関連記事:ヴィタリック、第3世代「リーン・イーサリアム」のロードマップ示す

イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が、今後3〜4年かけて進める「Lean Ethereum」構想の最新ロードマップを公表した。量子耐性暗号への移行やプライバシー保護を最優先課題に掲げる中、ステートの変更が最も大きな変革をもたらす部分となると述べた。

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