WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX

ジーニアス法とクラリティー法案の違いとは?米国の暗号資産2大法案をわかりやすく解説【2026年最新】

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ジーニアス法(GENIUS Act)クラリティー法案(CLARITY Act)は、米国の暗号資産規制を語るうえで欠かせない2つの法律・法案です。ニュースで目にする機会が増えていますが、どちらも米国の暗号資産市場を対象にしている一方で、規制する内容も成立状況も異なる別々の法律です。本記事では、2つの法案の違いを比較表とともにわかりやすく解説します。

ジーニアス法とクラリティー法案の違い

ジーニアス法とクラリティー法案は、どちらも米国の暗号資産(仮想通貨)を対象にした連邦法・法案ですが、規制する範囲や成立ステータス、市場への影響時期にはそれぞれ違いがあります。まずは両者の違いを一覧で確認していきましょう。

項目ジーニアス法クラリティー法案
正式名称Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act of 2025Digital Asset Market Clarity Act of 2025
規制対象決済用ステーブルコインの発行者暗号資産市場全体(取引所・仲介業者・トークン分類など)
目的ドル連動型ステーブルコインの発行ルールを確立SEC・CFTCの管轄権を明確化し、市場構造を整備
成立ステータス成立済み(2025年7月18日)審議中(下院通過、上院で審議)
施行時期2027年1月18日、または規則発効後120日のいずれか早い方未定
主管機関財務省・OCC・FRB・FDIC・NCUAなど連邦当局および州規制当局SEC(証券取引委員会)・CFTC(商品先物取引委員会)
市場への影響ステーブルコイン発行体の要件を直接規定トークン分類・取引所規制・仲介業者ルールなど市場構造全体に影響

ジーニアス法は、ステーブルコインの発行・運営ルールを定めた法律で、すでに成立しています。一方、クラリティー法案は、暗号資産の分類やSEC・CFTCの役割分担、取引所などの規制を含め、市場全体のルールを整備する包括的な法案で、現在も審議中です。

なお、クラリティー法案もペイメント・ステーブルコインに関する規定を含みますが、その中心はデジタル資産の法的区分や市場ルールの整備であり、発行者の要件や発行ルールを定めるジーニアス法とは役割が異なります。両者は競合する法律ではなく、米国における暗号資産規制の枠組みを、それぞれ異なる側面から整備する補完的な関係にあります。

なぜ2つの法案が市場から注目されるのか

ジーニアス法の成立とクラリティー法案の上院での審議進展により、米国の暗号資産規制は明確化に向けて大きく前進しつつあります。

グローバル市場での期待

2つの法案がそろえば、米国の暗号資産市場における制度面の不透明感が薄れ、銀行や資産運用会社などの機関投資家が参入しやすくなる可能性があります。ジーニアス法によって、ドル連動型ステーブルコインの発行者に対する準備金、ライセンス、情報開示などのルールが整えば、決済インフラとしての信頼性を高める枠組みが整います。こうした見方は、機関投資家サイドからも共有されています。暗号資産・ブロックチェーン分野に特化した投資会社パンテラキャピタルのゼネラルパートナー、Franklin Bi氏も同年7月のWebX 2026に登壇し、ジーニアス法の意義についてこう語りました。

WebX 2026 セッション

ジーニアス法の制定によって、世界中の市場と中央銀行が動き出した。これはマネーの近代化だ。この波に乗り遅れた国の通貨や決済システムは取り残される、という危機感が政策・産業・金融の各レイヤーで共有されている。現在、数多くの機関がステーブルコインを最優先事項のトップ3に位置づけていると述べました。

▶ 講演の全文レポートはこちら:パンテラが語る次の資金の潮流、ジーニアス法とAIが変える市場の未来

これにクラリティー法案が加わり、暗号資産の分類やSEC・CFTCの管轄、取引所・仲介業者の登録要件など市場構造のルールが明確になれば、銀行や資産運用会社にとって、暗号資産関連プロダクトを扱う際の法的な位置づけが明確になるとともに、利用者・投資家保護のルールも整備されることになります。

その結果、ビットコインやイーサリアムを中心とした暗号資産ETFへの投資家の関心が高まることや、ステーブルコイン、RWA(現実資産のトークン化)の実務利用拡大につながる可能性があります。ただし、実際の市場拡大や価格上昇は、マクロ経済環境や金利動向、地政学リスクなどにも大きく左右されるため、規制の明確化が短期的な値上がりを直接保証するわけではありません。

日本市場での注目度

日本国内でも、暗号資産(仮想通貨)業界関係者やアナリストのクラリティー法案への関心は非常に高く、政府の規制面や相場への影響を含め度々言及されてきました。

2026年7月に開催されたWebX 2026の基調講演では、SBIホールディングスの北尾吉孝代表取締役会長兼社長が、ジーニアス法・クラリティー法案の両方に言及するとともに、SBIグループの「オンチェーン金融」戦略について語りました。

WebX 2026 基調講演

北尾氏は講演の中で、米国では2025年7月にジーニアス法が成立し、暗号資産の包括的規制枠組みを定めるクラリティー法案が2026年5月に上院銀行委員会を通過して上院本会議入りの段階にあると説明。日本でも金融庁が2028年までに東証での暗号資産ETF取引を可能にする方針を固め、暗号資産を「金融商品」として位置づける金商法改正案が閣議決定されたことに触れ、政府の骨太の方針にも「オンチェーン金融」が次世代の国家金融インフラとして位置づけられる見込みだと述べました。

▶ 講演の全文レポートはこちら:SBI北尾会長、WebX 2026基調講演でAI×オンチェーン戦略を総覧

SBIグループは、円建てステーブルコイン「JPYSC」の流通開始、リップル社発行のUSD建てステーブルコイン「RLUSD」の国内初取り扱い、Ondo FinanceやSolana財団との提携など、オンチェーン金融の実装を進めています。日本の投資家にとっても、米国の2法の動向は、暗号資産市場全体を見通すうえで重要な材料と言えます。

2つの法案が生まれた背景

ジーニアス法とクラリティー法案がセットで議論される背景には、米国の暗号資産業界が長年抱えてきた「規制の曖昧さ」という共通の課題があります。

米国では、多くの暗号資産が「証券」なのか「商品」なのかを判断する基準が明確ではなく、その結果、SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)のどちらが監督するのかをめぐって管轄が明確でない状況が続き、暗号資産関連企業は「どのルールに従えばよいのか分からない」という状態に置かれてきました。

この問題に対し、米国議会では、ステーブルコインの発行者規制と、市場構造・監督権限の整理を別々の法案で進めるアプローチが取られています。

2つの法律が担う役割

ジーニアス法とクラリティー法案は、それぞれ次のような役割を担っています。

  • ジーニアス法:ステーブルコインの発行・準備金・発行体の監督に関するルールを定めます。誰がどのような条件でドル連動型ステーブルコインを発行できるのか、どのような準備金を持つ必要があるのか、といった発行体側の要件が中心です。
  • クラリティー法案:暗号資産の分類、取引所や仲介業者の規制、SECとCFTCの役割分担を整理します。ビットコインやイーサリアムなどをどの規制機関が監督するのか、取引所はどのような登録要件を満たすべきか、といった市場側のルールが中心です。

ジーニアス法とは

ジーニアス法は、米国で初めて成立したステーブルコインに関する包括的な連邦法です。2025年7月18日にトランプ大統領の署名により成立し、施行は2027年1月18日、または規則発効後120日のいずれか早い日と定められています(出典:Congress.gov(S.1582))。

何を規制するのか

ジーニアス法が規制対象とするのは、ドルなど法定通貨に価値を連動させる「ペイメント・ステーブルコイン」の発行者です。日常の支払いや送金に使われる、いわば「デジタル版のドル」を発行する事業者に対して、統一的なルールを課すことを目的としています。

それ以前は、ステーブルコイン発行者を規制する連邦法が存在せず、州ごとに異なる規制が適用される「継ぎ接ぎ」の状態でした。ジーニアス法はこの状況を整理し、連邦レベルの統一ルールを初めて用意したことになります。

主な要件

ジーニアス法が発行者に課している主な要件は、次の通りです。

要件内容
1対1の準備金発行するステーブルコインと同額の準備資産(現金や短期米国債など)を保有
ライセンス制連邦または州の認可を受けた事業者のみが発行可能
AML対策マネーロンダリング・テロ資金供与対策プログラムの整備
償還権の保証保有者がいつでも額面通りにドルへ交換できる権利
情報開示義務準備金の内訳などを定期的に公開
利回り・利息の禁止発行者が保有者に利息や利回りを支払うことを禁止

これらは、ステーブルコインが決済インフラとして機能するために必要な「発行体の健全性」を担保する仕組みです。

利回り禁止のルール

ジーニアス法は、発行者がステーブルコイン保有者に対して、保有・使用・保持に関連して利息や利回りを支払うことを禁止しています。これにより、ステーブルコインを預金の代替ではなく決済手段として位置づける意図があります。もっとも、発行者ではなく取引所などが独自に提供する「保有者向けの報酬プログラム」がこの禁止に含まれるかどうかは、実施規則や解釈で争点となっています。

規則制定は期限を経過

ジーニアス法の施行日は、「2027年1月18日」または「最終規則の公表から120日後」のいずれか早い日と定められています。このため、最終規則が2026年9月20日以降に公表された場合は、2027年1月18日に施行されます。現時点では、2027年1月18日に施行される可能性が高いとみられています。

関連:ジーニアス法の実施規則、期限内に完成せず 発行体は未確定案で準備継続

クラリティー法案とは

クラリティー法案は、米国の暗号資産市場全体の構造を整えるための法案です。正式名称は「Digital Asset Market Clarity Act of 2025(2025年デジタル資産市場明確化法)」で、2025年5月に下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長が提出し、同年7月17日に下院を通過しました(出典:Congress.gov(H.R.3633))。現在は上院で審議が続いています。

何を規制するのか

クラリティー法案が取り組むのは、米国の暗号資産業界が長年抱えてきた「どの規制機関がどの暗号資産を監督するのか」という管轄権の問題です。

具体的には、暗号資産を「デジタル証券」「デジタル商品」「ペイメント・ステーブルコイン」の3つに分類したうえで、主にデジタル証券とデジタル商品について、SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)の管轄を振り分けます。また、ペイメント・ステーブルコインは、ジーニアス法の枠組みで別途規律される形になっています。加えて、取引所や仲介業者(ブローカー・ディーラー)の登録要件や運営基準も定める内容となっています。

主なポイント

項目内容
トークン分類暗号資産を「デジタル証券」「デジタル商品」「ペイメント・ステーブルコイン」の3つに分類
管轄権の振り分けデジタル証券はSEC、デジタル商品はCFTCが監督(ペイメント・ステーブルコインはジーニアス法の枠組み)
分散性の基準十分に分散化されたトークンは「デジタル商品」として扱う基準を導入
取引所・仲介業者の規制取引所・ブローカー・ディーラーの登録要件と運営基準を規定
開発者保護オープンソース開発者への一定の保護条項を含む

現在の審議状況

クラリティー法案は2025年7月に下院を通過し、上院で審議が続いています。上院銀行委員会では2026年5月に賛成多数で可決されましたが、その後は倫理条項などをめぐる調整が難航しています。

争点は、大統領や連邦当局者による暗号資産をめぐる利益相反を防ぐための倫理条項です。2026年7月下旬にトランプ大統領が倫理条項の導入に一定の同意を示したと報じられましたが、民主党側は現行の改訂案では不十分との立場を示しています。さらに、上院多数党院内総務のジョン・スーン氏も、2026年8月の議会休会前にクラリティー法案を成立させるのは難しいとの認識を示しています
クラリティー法案の成立確率推移

出典:Polymarket

予測市場Polymarketでは、2026年内の成立確率が2月には82%まで達したものの、2026年8月現在は30%前後まで下落しており、市場では2026年内成立を慎重に見る見方が広がっています。

混同されやすいポイントと正しい理解

ここまで見てきたように、ジーニアス法とクラリティー法案は目的も対象も異なります。この章では、両者の違いを改めて整理したうえで、初心者が混同しやすいポイントを確認していきましょう。

核心となる4つの違い

観点ジーニアス法クラリティー法案
①対象範囲決済用ステーブルコイン(Payment Stablecoins)の発行者暗号資産の分類・取引所・仲介業者
②立法ステータス成立済み(2025年7月)上院で審議中
③規制の性質発行体の健全性を担保する要件市場構造の整備とSEC・CFTCの管轄整理
④主管機関財務省・OCC・FRB・FDIC・NCUAなど連邦当局および州規制当局SEC・CFTC

両者は競合する法律ではなく、発行者に対する規制(ジーニアス法)と、市場全体の構造に対する規制(クラリティー法案)という異なる領域を担っています。なお、ジーニアス法では発行者の規模やライセンス形態に応じて監督主体が異なる仕組みとなっています。

よくある間違い

Q1. ジーニアス法とクラリティー法案は、どちらも成立しているのですか?

いいえ、成立しているのはジーニアス法のみです(2025年7月18日成立)。クラリティー法案は下院を通過した後、現在も上院で審議が続いています。

Q2. クラリティー法案が成立すれば、ステーブルコインもSECかCFTCが監督することになりますか?

いいえ。クラリティー法案はSECとCFTCの管轄を振り分ける法案ですが、ペイメント・ステーブルコインについては、成立済みのジーニアス法の枠組みで規律されることになっています。SEC・CFTCが監督するのは、主に「デジタル証券」と「デジタル商品」です。

Q3. 2つの法律が揃えば、米国の暗号資産規制は完成しますか?

2法が揃えば、発行から取引までの基本的な枠組みは整うことになります。ただし、それぞれの法律には施行までの規則制定が必要であり、実際に市場に影響が及ぶまでには時間を要する見通しです。

まとめ:米国暗号資産規制の転換点

ジーニアス法とクラリティー法案は、それぞれ異なる領域を担いながら、米国の暗号資産市場を制度面から支える枠組みとなります。最後に本記事の要点を整理します。

  • ジーニアス法は、決済用ステーブルコインの発行者を対象にした連邦法で、2025年7月に成立済み。施行は2027年1月18日の見通しです。
  • クラリティー法案は、暗号資産の分類とSEC・CFTCの管轄整理を目的とした市場構造法案で、現在も上院で審議中です。
  • 2つの法律は競合するものではなく、発行者への規制と市場構造への規制という異なる領域を担う補完的な関係にあります。

米国の暗号資産規制は、この2法によって大きな転換点を迎えつつあります。特にクラリティー法案の審議動向は、2026年後半の暗号資産市場を左右する要素として、引き続き注目していきたいところです。

FAQ

Q1. ジーニアス法とクラリティー法案はどちらが先に成立しましたか?

ジーニアス法が先に成立しました。2025年7月18日にトランプ大統領の署名により成立しています。クラリティー法案は下院を通過した段階で、現在も上院で審議が続いています。

Q2. ジーニアス法はいつ施行されますか?

ジーニアス法の施行日は、2027年1月18日、または規則発効後120日のいずれか早い日と定められています。ただし規則制定は2026年7月の法定期限までに完了せず、施行日は2027年1月18日となる公算が大きい状況です。

Q3. クラリティー法案が成立すると、ビットコインはどう扱われますか?

クラリティー法案は、暗号資産を「デジタル証券」「デジタル商品」「ペイメント・ステーブルコイン」の3つに分類します。十分に分散化されたトークンは「デジタル商品」として扱われ、CFTC(商品先物取引委員会)の監督対象となる仕組みです。ビットコインはデジタル商品として扱われることが想定されています。

Q4. ジーニアス法はUSDTにも適用されますか?

USDTは、現時点ではジーニアス法に準拠した米国の認可ステーブルコインには該当しません。ただし発行元のTether社は、2026年1月に米国内向けの新製品「USA₮」を投入するなど、ジーニアス法に対応する動きを進めています。

Q5. ジーニアス法で禁止されている「利回り」とは何ですか?

ジーニアス法は、ステーブルコイン発行者が保有者に対して、保有・使用・保持に関連して利息や利回りを支払うことを禁止しています。これはステーブルコインを預金の代替ではなく決済手段として位置づける趣旨によるものです。ただし、取引所や第三者プラットフォームによる報酬がどこまで対象に含まれるかは、実施規則や解釈で争点となっています。

Q6. クラリティー法案が今年中に成立する可能性はどのくらいですか?

予測市場Polymarketでは、2026年内の成立確率が2月には82%まで達したものの、2026年8月現在は30%前後まで低下しています。2026年8月10日頃に始まる休会前の可決は困難な情勢です。2026年9月の議会再開後に審議が持ち越される可能性もあります。

※本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。クラリティー法案の審議状況は日々変動しているため、最新情報は都度ご確認ください。

CoinPost App DL