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米上院小委員会、イランの影の銀行におけるUSDTの使用を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 米国とテザー社との関係性にも言及
  • テザー社は同日に声明発表

仮想通貨の利用を調査

米上院の常設の調査小委員会(PSI)は28日、暗号資産(仮想通貨)とイランのシャドーバンキングネットワークに関するレポートを公開した。

レポートの中でPSIは、米ドルステーブルコインUSDTがイランのシャドーバンキングネットワークで多く使われていたり、USDT発行企業のテザー社の対応に問題があったりしたことを指摘している。

シャドーバンキングとは

一般的には、証券会社などのノンバンクによって提供される金融仲介機能や銀行を介さない金融取引のこと。「影の銀行」とも呼ばれる。

今回のレポートは、米民主党所属でPSIのランキングメンバーであるリチャード・ブルメンタール議員と同党の職員が執筆したものだ。

執筆者のメンバーは、違法な金融取引における仮想通貨の役割を継続的に調査する中で、イランやその代理組織に関連していることが理由で制裁を受けていたり、押収対象になったりしている846の仮想通貨ウォレットに関して、トランザクションデータを分析したと説明。その際に3つのことを発見したと述べている。

3つの分析結果

まず1つ目は、テザー社のUSDTが、イランのマネーロンダリングに関与する主要な仮想通貨であること。上述した846ウォレットにおいて、84%の取引がUSDTのみ、または、ほぼUSDTのみで行われていたと主張した。

この取引には、米国による制裁に直面する中でイラン政府が行った活動も含まれると指摘。また、イラン中央銀行を経由しているものもあると述べている。

2つ目は、テザー社の存在が、イランと同国のテロの代理組織を結びつける中心的な決済メカニズムとして機能しており、米国の安全保障上の利益を弱めていると主張。そして、イランの仮想通貨基盤のシャドーバンキングネットワークは、巨額の資金を処理しており、様々な利害関係者の関与を示唆しているとした。

また、テロ組織を支援するだけでなく、このシャドーバンキングネットワークが、ドローンや他の軍装備品の調達・販売のために使われていた証拠もあると述べている。

最後の3つ目として、テザー社が違法なウォレットの凍結や悪用の防止に繰り返し失敗したことが、イランのシャドーバンキングが繁栄する環境を作り出したと主張。同社は、イランの取引所や疑わしい仲介業者、テロ組織に関連するウォレットの遮断に何度も失敗したと指摘した。

米国との関係性に言及

今回のレポートではテザー社がカリフォルニアで創業したこと、(ハワード・ラトニック米商務長官が以前CEOを務めた)米キャンターフィッツジェラルドと協業していること、準備資産での米国債を保有していることから米国との関連性が強いことも指摘。その上で、米国の安全保障を脅かすためにUSDTが使われないように十分に対策をしているか深刻な疑問が生じるとした。

関連記事:テザーが米国向けステーブルコインUSATを正式ローンチ、ジーニアス法に準拠

テザーが1月27日に米国市場専用のドル連動型ステーブルコインUSATを正式にローンチしたと発表した。ジーニアス法に基づく連邦規制の枠組み内で運用される。

そして、仮想通貨の発行体について、特に米ドルに連動したトークンの取引をしたり、米国との関係を維持したりしている主体は、米国の制裁法や銀行法に従う必要があることを強調している。

また、今回の分析結果は、トランプ政権が仮想通貨関連企業に対する調査をやめたり、訴訟で和解したり、「不適切な寛大さ」を見せたりしたことが、公共の安全や国家の安全保障に危険を及ぼす可能性があることを浮き彫りにしているとも主張した。

なお、レポートによるとPSIはテザー社に対して2026年6月4日に書簡を送付し、イランのシャドーバンキングにおけるUSDTの使用や米国の制裁法と銀行法の遵守に関する情報や文書を要求していたが、レポート公開時点では回答がなかったという。

関連記事:米財務省、イラン仮想通貨取引所BitBankを制裁

米財務省OFACは9月17日、イラン人金融家ザンジャニ系の仮想通貨取引所BitBankを制裁指定した。同取引所は6月以降、数億ドル相当のビットコインをIRGCに送金したとされる。開発元と側近3人も同時に制裁対象となった。

テザー社の発表

テザー社は同日の28日、自社の公式サイトでコンプライアンスに関する声明を発表した。一方で、今回のPSIのレポートを明確に掲載して反論しているわけではない。

声明では、2026年だけでイランに関係のある約5.5億ドル(約867億円)相当のUSDTの凍結を支援してきたと説明。他にも違法な金融活動に対する世界の取り組みに対し、リアルタイムでサポートを行っているなどと主張した。

テザー社のパオロ・アルドイノCEOは発表で以下のようにコメントしている。

当社は、制裁対象者、テロ組織、犯罪ネットワークにとってUSDTが安全な避難場所ではないことを一貫して証明してきた。

パブリックブロックチェーンは、現金だけでは不可能な水準の、資産移動に関する可視性を提供する。当社は、法執行機関から信頼できる情報が提供されれば行動を起こすことが可能だ。

政府が制裁回避やテロ資金供与を阻止する取り組みを強化する時は、我々は違法な資金を特定・凍結できるようにサポートし、米国や他国の当局と定期的かつ直接的に連携する。

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