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ヴィタリック、第3世代「リーン・イーサリアム」のロードマップ示す 耐量子化とプライバシーを優先

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 耐量子暗号とプライバシーの優先順位を引き上げる
  • 3〜4年かけた段階的刷新で「イーサリアム第3世代」を目指す

3~4年かけてプロトコルを全面刷新

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は5日、X投稿でイーサリアムの長期的な進化構想「Lean Ethereum(リーン・イーサリアム)」について最新の見解を公表した。

出典:ヴィタリックのX投稿

ブテリン氏はこの構想を単一の大型アップグレードではなく、今後3〜4年をかけて段階的に実装される一連のプロトコル刷新と捉えており、2022年の大型アップグレード「The Merge(マージ)」に匹敵する「イーサリアム第3世代」への変革になるとの見方を示した。

今回発表された内容は、4月にノルウェーのスバールバル諸島で開催されたクライアント開発者会議と、その後ベルリンで開かれた研究者会合を踏まえ、更新された長期ロードマップ「Strawmap(ストローマップ)」に基づくものだ。

ブテリン氏の説明によると、リーン・イーサリアムでは、再帰型STARKによる検証方式の採用、耐量子暗号への全面移行、より高速なファイナリティを実現する新コンセンサス、多次元ガス料金体系、クライアント構造の刷新など、プロトコルの主要な要素を広範囲に刷新することが計画されている。

「Glamsterdam」の次に計画されている「Hegotá(H-star)」アップグレードが、イーサリアムにとって「リーン」移行前の最後のハードフォークになる見通しだという。

今回のロードマップ更新では、「量子耐性」と「プライバシー」の優先順位が大幅に引き上げられた。

量子コンピュータの実用化リスクに対応するため、現在は量子耐性のある「ブロブ(blob)」設計の確定が急務となっており、数ヶ月前から開発が進められている。また、プライバシーの強化については「後付けではなく最優先の目標」であるとブテリン氏は強調した。Frames、メモリプール、ステートツリー拡張などの設計においては、初期段階からプライバシー保護された取引の実現を組み込む形での開発が進められる。

同氏は、データ保持(ステート)に関する変更を「この計画の中で、おそらく最も大きな変革をもたらす部分」と位置づけている。

開発者の間では、現行のデータ形式(動的ステート)の拡張は中規模に留め、制約はあるものの拡張性に優れた「新しいデータ形式」を追加する方向で合意が形成されつつある。ブテリン氏は、2030年のイーサリアムの姿として、現行形式のデータが2TB(テラバイト)であるのに対し、新しいデータ形式は100TBに達すると予測している。

この新形式は、ERC20トークンやNFT、多くのDeFi事例に適している一方、Uniswapのコントラクトなどのような複雑なシステムには適さない。後者は現行形式で運用されるが、全体に占める容量はわずかなため、既存アプリの全面的な書き換えは不要だという。

例えば現在研究が進む「UTXO型」ストレージ設計へ移行した場合、ガス代を10分の1以下に削減できるため、開発者にとって大きな経済的メリットがあるとブテリン氏は指摘する。

関連記事:ヴィタリック提案、イーサリアム高速確認が12秒へ 「Lean Ethereum」構想を推進

イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が、1スロット(12秒)で取引の非リバート保証を得る新たな高速確認ルールを提案した。バリデータの誠実性とネットワーク遅延3秒未満が前提となる。

EVMの刷新

ブテリン氏はまた、イーサリアム上のすべてのアプリケーションを実行するソフトウェア実行環境であるEVM(イーサリアム仮想マシン)から、将来的に移行する構想についても改めて言及した。

イーサリアムは将来的に、EVM以外の仮想マシン(VM)を必要とすることになる。少なくとも、再帰的STARKs向けの「leanISA」のようなものが必要になる。この新しい実行環境をユーザーにも開放すれば、プログラム可能なプライバシーや高いスケーラビリティを実現しやすくなる。

同氏は移行先の有力候補はRISC-VとleanISAであると言及した。理想とするのは、プロトコルを調整することで、EVMを高級言語のコンパイラレベルの機能にとどめ、プロトコル自体はRISC-VやleanISAだけを直接認識することだと述べた。一方で、その実現については「まだかなり先の話だ」と認めている。

ブテリン氏は、今後5年間でガスリミットの引き上げ、ブロブの拡大、スロット時間の短縮が何度も行われるだろうと指摘する。手始めとして、2026年後半のメインネット実装を目指す次期アップグレード「Glamsterdam」では、ガスリミットの大幅な引き上げが予定されている。

同氏は、イーサリアムは「CROPS」(検閲耐性、オープンソース、プライバシー、セキュリティ)を実現するため、自己改革を続けていると締め括った。

関連記事:イーサリアム「Glamsterdam」、最終開発段階へ ガス上限2億を目標に

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