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トロン、量子コンピュータ耐性署名をテストネットで試験導入

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • トロンがテストネットで耐量子署名の試験運用を開始
  • 脅威予測の2029年より3年早い量子対策完了を目指す

量子耐性へ迅速に移行

暗号資産(仮想通貨)トロン(TRX)のエコシステムを支援するTRON DAOは2日、テストネット「Nile」で耐量子コンピュータ(PQ)署名を導入し、初期の試験運用を開始したと発表した。

開発者や一般ユーザーはテストネット環境下で、試験的に耐量子ウォレットを作成し、それを使ってトランザクションを送信することができる。TRON DAOによると、各トランザクションは耐量子アルゴリズムで署名されるため、量子コンピュータが登場しても偽造は困難だ。

TRON DAOは、将来の量子コンピュータは、現在トロンを含め仮想通貨でも広く使われている楕円曲線署名(ECDSA)を解読できる可能性があり、これに備えるとしている。

業界では、量子コンピュータが脅威となる時期は2029年頃と予測されているが、トロンはこれより約3年早く量子対策を完了させることを目指す。

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量子コンピュータ対策詳細と今後の課題

トロンはまず、米国立標準技術研究所(NIST)がポスト量子暗号の標準仕様として指定する「ML_DSA_44(Dilithium)」と、NISTでドラフト段階の「FN_DSA_512(Falcon)」という二つの署名形式を採用する。

量子耐性署名の実装にあたり、トロンはトランザクション内に公開鍵を含める方法を選択した。メリットとしては、アカウント構造を変更せず、プロトコルの設計変更を最小限に抑えられること、ウォレットがリアルタイムのオンチェーンデータを確認せずに署名できる「ステートレス署名」が可能なことを挙げた。

一方で、デメリットとしてはトランザクションサイズが10倍以上に増大することがあるが、これは将来的に改善も可能なコストとして受け入れられていると述べた。

また、トロンでは量子耐性署名から派生するアドレスも、従来のECDSAと同様の形式(Tで始まる21バイト)を維持する。さらに、Keccak-256ハッシュ(暗号ハッシュ関数の一種)を用いたアドレス生成ルールを共通化することで、既存のエコシステム(エクスプローラー、ウォレットなど)との互換性を確保する設計だ。

TRON DAOは今後の課題について、量子耐性固有のトランザクション価格設定や、手数料の免除といったインセンティブ構造の開発、ハードウェアウォレットの対応やSDKの更新、APIの決定などを挙げた。

こうした取り組みは、ガバナンスプロセスであるTIP(トロン改善提案)を通じて進捗が議論、管理、承認され、その後にメインネットでローンチされる見込みだ。

トロンの他にも、様々なブロックチェーンが量子コンピュータ対策を進めている。例えば、イーサリアム財団は2026年初頭にポスト量子セキュリティチームを設立。先月には、同財団の研究者ニコラス・コンシーニー氏が、EVM(イーサリアム仮想マシン)上で検証可能な量子耐性署名方式「SPHINCS-(スフィンクスマイナス)」を提案している。

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