リップル社「SWIFTの国際送金サービスでは10兆ドルの流動性問題が解決しない」|Sibos2019にて

リップル社「SWIFTは流動性の問題を解決しない」
リップル社ディレクターが大型金融カンファレンス「Sibos2019」にて、既存の国際送金システムSWIFTに対する優位性に誤解が見受けられるとして、およそ10兆米ドルの流動性問題に言及した。

リップル社「SWIFTは流動性の問題を解決しない」

リップルで東南アジア・中東・北アフリカのマネージングディレクターを務めるNavin Gupta氏は、23日から25日にかけてロンドンでSWIFTにより主催された大型金融カンファレンス「Sibos2019」にて、SWIFTのリアルタイム支払いが実現した時のリップルの価値について、以下のように言及した。

人々はすでに存在しているコルレス銀行のネットワーク上で決済の高速化を検討しているが、ノストロ口座を無くそうとはしていない。それこそが今日Ripple社が議論している基本的な価値提案だ。

SWIFTは、国際送金を行う際に利用されるメッセージングサービスを提供している。国際送金では通常、送金先の国の仲介となる銀行(コルレス銀行)に作った口座(ノストロ口座)に外貨を準備して行なっている。送金の間に複数の銀行を挟むため、手数料がかさむ・送金に時間がかかるなどの欠点があった。

リップルは送金の仲介となるブリッジ通貨である「XRP」を使うことでこれらの欠点を解消しようとしている。しかし、SWIFTの新システム「gpi」により送金時間の問題を解消したことで、リップルの優位性が揺らぐとの指摘もある。

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これに対しGupta氏は、現在の送金ネットワークが抱える問題の本質は、各コルレス銀行がノストロ口座に資産を保持する必要があることであり、SWIFTの送金時間の改善は、その流動性問題を本質的に解決するものではない、と述べた。

ノストロ口座に準備された資産は送金以外の目的では使われず、非効率である。Gupta氏によればノストロ口座に眠っている資金の合計は約5〜10兆米ドルにのぼり、この流動性の問題を抜きにして国際送金を対処することは誤解であるという。

関連リップルの仕組みや流動性の問題についてはこちら

リップルとSWIFT

リップルがSWIFTの仕組みを批判するのは珍しいことではない。リップルは国際送金のソリューションを直接銀行に販売しているため、両社は競合関係にあると言えるためだ。sibosは、SWIFTによって毎年開催されているカンファレンスであるが、2年前のsibosの際にはリップル社が国際カンファレンス「SWELL」を同日開催、非難された経緯もある。

しかし、2018年からは米リップル社はsibosにも参加。今年6月に開催されたblockchain for business summitでもリップル社のDelatinne氏が「SWIFTは独自の価値を持っており、(リップルは)SWIFTに取って代わるわけではない」と発言するなど、両社の関係性には緩和姿勢も見られる。

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リップルがSWIFTを批判するのは珍しいことではない。リップルは国際送金のソリューションを直接銀行に販売しているため、両社は競合関係にあると言えるためだ。 sibosはSWIFTによって毎年開催されているカンファレンスであるが、2年前のsibosの際には同日にリップルが「SWELL」というイベントを開催し、sibos会場の外にリップルの車が停められて2つのイベントの行き来ができるようにした。 しかし去年からリップル社はsibosにも参加するようになり、今年6月に開催されたblockchain for business summitでもリップル社のDelatinne氏が「SWIFTは独自の価値を持っているので、(リップルは)SWIFTに取って代わるわけではない。」と発言するなど両社の関係は敵対的ではなくなっていると言えるのかもしれない。

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