バイナンスの仮想通貨銘柄Maticが70%大暴落 一体何が?
Maticの大暴落
仮想通貨Matic(MATIC)は大暴落、一時最大で70%の下落幅を記録。テザー建で、日間最高値0.0427USDTから0.01124USDTまで急落した。
Maticはブロックチェーンのレイヤー2スケーリングソリューションを提供するプロジェクトで、仮想通貨取引所バイナンスが4月に行なったIEO銘柄。バイナンスでの上場初値から最高値まで10倍もの価格高騰を記録していた。
大暴落する直前でも、11月23日から12月8日の期間で、0.01368USDTから0.0427USDTまで価格が急伸しており、市場が下落基調にある直近2週間で212%高となっていた。
直近で人気を博していたMaticになにが起きたのか、その要因を探った。
暴騰要因
まずは、直近の高騰理由から見ていく。
11月末より暴騰に動いた要因には、以下のリストのようにメインネットに関する発表およびNFTコレクションイベント等の発表、また発表が相次いだことに伴うFOMO(取り残されることの恐れ)が挙げられる。
- メインネットが2020年Q1に予定
- 11月11日、レーシングゲーム『Battle Racers』がMaticを利用、新規アイテムセール開催
- 11月14日、デリバティブ取引所Delta Exchangeに上場
- 11月20日、モバイルチケット配信プラットフォーム『Zawadi』がMaticを統合
- 12月2日、ファンタジースポーツゲームTradeStarsと提携
- 12月6日、トレーダー用シグナルMintFlintと提携
なお、米取引所コインベースのVC部門もMaticへの出資を発表、上場検討リストにも入っている発表も行われた。
実際、コインベースに上場はしていないものの、来年メインネットがローンチすれば上場する確実性が高まると期待される状況だった。コインベースの上場インパクトは年々薄れつつあるが、新規に立ち上がった銘柄は出来高も乏しいため、コインベースへの上場は依然意識される。
暴落要因
なお、市場状況が悪い中で好調な推移を継続していた同銘柄が、わずか数時間で70%近い価格暴落を引き起こした要因として可能性にあがるものは、主に以下の3点で、ニュース的な悪材料は確認されなかった。
- Maticプロジェクト側とプロジェクトのトークン移動
- 急ピッチな高騰が続く中で、最高値付近に達した
- 売り仕掛け
まず、急ピッチな価格高騰の中、過去に記録した最高値付近に達し、日足のRSIも加熱すぎを示す90%に達している。
市場関係のニュースはなかったものの、Maticプロジェクトと関連するトークンの動きが、一部で売り圧力と指摘された。
イーサリアムブロックチェーンを追跡するサイトetherscanの記録では、Matic財団が過去50日間に渡って、バイナンス取引所に2.9億のMaticトークン(現在の価格で550万ドルに相当)を入金したことがわかっており、プロジェクトと報酬を受け取るユーザーのトークンの大量売りが発生するとの指摘が行われた。
この大金の移動に関して、のちに説明をおこなったMaticの共同創設者Sandeep Nailwal氏の話によると、高値を狙った売り浴びせを行なった事実はなく、トークンリリースの日程における分散された入金だと説明。トークンリリースは、Maticのステーキングに用いられる報酬分に充当するもので、10月25日にMatic側は公式ブログで公表しているものでもある。。
Nailwal氏は、「実際、大金のMaticを受けたユーザーが一気に売り出せないように、Matic側はトークンの分配メカニズムでコントロールしている」とも説明している。
Maticの公式は大量売り(ダンプ)に関与していないとの公式声明を行なっており、「財団の所有するMaticは動かされていない」と立場を明確にした。
最初に「創設者による全発行通貨のうち15%を大量売り」を指摘したValidityCryptoの創設者はイーサリアム開発者の指摘した正しい金額を受け、SNS上で謝罪し、「Maticの発行数の15%ではなく、3%のみが送金された」と改めた。
大暴落にはこれら、トレーダーによるパニック売りが下落拡大に影響した可能性がある。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します