米失業申請330万件でリセッション懸念拡大、仮想通貨ビットコインの行方に高い関心
リセッション局面とビットコイン
FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は27日、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、米国は景気後退(リセッション)局面に陥った可能性があると述べた。
米労働省が26日に発表した「失業保険申請件数」は、15〜21日までの1週間で3,283,000件に達した。新型コロナの感染拡大と、緊急事態宣言からのロックダウン(都市封鎖)に伴い、宿泊施設、レストランなどの飲食業界を含むサービス業への影響が特に深刻で、リーマン・ショックの影響を受けた過去最大の数値、09年3月の66万件を大幅に上回ったという。
失業保険申請件数は、労働者が離職した後に初めて失業保険給付を申請した件数を週ごとに集計したものだ。4〜6月期の米失業率は1930年の世界恐慌に匹敵するとの見方もあり、4月3日(金)の米雇用統計発表を控え、各指標の急悪化が金融市場にどのような影響をもたらすか懸念される。
これに先駆け米国では、2兆ドル規模の刺激策が米国上院で承認された。現金給付案のほか、4月から最大4ヶ月の失業手当に当てる、また規模別で企業支援にも5000億ドルを用意する。欧州連合(EU)は26日、遠隔で首脳会議を開き、新型コロナ対策の封締め対策を強化することで一致した。
直近では、悪材料はある程度織り込んでいるとの見方もあり、株価は大幅反発している。米国を中心に世界各国が過去最大規模の景気刺激策を打ち出されたことで市場心理が緩和された格好だが、主要国における新型コロナウイルス拡大に伴う実体経済へのダメージは深刻で予断は許さない。
ビットコイン(BTC)市場への影響は
米国では2018年12月、米国債市場で、償還(返済)までの期間が長い国債の利回りが、短い国債の利回りを下回る「長短金利逆転(逆イールド)」が発生。国債利回りが3カ月ぶりの低水準にまで落ち込み、リセッション(景気後退)の可能性を示すシグナルが点灯していた。
これを受け、仮想通貨取引所ShapeShiftのErik VoorheesCEOは、「米国債の状況次第では、仮想通貨市場の追い風になり得る」との見解を示している。
もし再び金融危機が発生し、20兆ドル規模の負債(国債)を持つ米国政府の返済能力を問われ、通貨発行せざるを得ないということを世界が認識したとき、法定通貨は追い込まれるだろう。その際、仮想通貨に何が起こるか楽しみだ。
法定通貨の管理通貨制度における裏付けにある信用の担保が困難となれば、自国通貨の不確実性が高まる中、非中央集権のビットコインなどの仮想通貨に関心が向く可能性がある。インフレ通貨である法定通貨とは異なり、ビットコイン(BTC)の発行上限からデフレ通貨との見方もある。
仮想通貨先物取引を提供するDelta ExchangeのPankaj Balani CEOは、
「中央銀行は、FRBのように、金融市場への供給量を増やすことで景気刺激策に融資している状態だ」「法定通貨への圧力は、中・長期的にビットコイン価格にプラスに働く」との見解を示した。 eToroのアナリスト、サイモンピーターズもこれに同調し、「FRBが無制限の量的緩和を発表したことで、ドルの価値に対するインフレヘッジとして、投資家の目がBTCに向くのでは」と言及している。08,09年のリーマン・ショックでは金(ゴールド)価格急騰も確認されており、「資産の移転」という観点からも注目され得る。
ビットコイン(BTC)価格
27日の仮想通貨ビットコイン(BTC)は、前日比-0.3%の73.9万円(6,815ドル)と横ばいに推移した。
金融の専門家が発信するCoinCollegeは、四半期末最終金曜日にあるDeribitのオプションカットオフに着目。17時以降には念のため注意が必要だとした。
米国時間27日、日本時間28日1時にはCMEの先物SQも控える。
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2月下旬以降、コロナウイルス感染拡大に伴う株価暴落の影響で、ビットコイン(BTC)の先物取引高も急落。3月6日にはBTC先物日次取引高が8,800万ドル(約92億円)を記録し、直近3か月間の最低値を更新していた。
それに対して、3月6日のBTC先物の未決済建玉残高(OI: Open Interest)は2億1,700万ドル(約220億円)となっており、2月末の水準を維持している。
テザー残高急増
また、glassnodeアラート(@glassnodealerts)によると、取引所全体のUSDT残高が急速に伸びており、12.8億USDTに達した。
テザーは24日にも1.8億ドル分のUSDTを発行している。直近のテザー発行数推移は、BTC情報アラートで確認可能。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します