ビットコインキャッシュの半減期後になにが? 2時間のブロック遅延も価格が上昇したワケ
ビットコインキャッシュの半減期後になにが?
実行ブロック630,000で初めての半減期を迎えてから一夜明けた9日、仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)のマイナー動向や価格推移の状況が見えてきた。
ビットコインキャッシュは今回の半減期で、ビットコイン(BTC)やビットコインSV(BSV)より一足先に、12.5BCHから6.25BCHへブロック報酬が減額された。
半減期後に注目されたのは、半減期後のマイナー動向。理由は、SHA-256アルゴリズムを採用するBTC、BCH、BSVのマイニングは、同一のASICマシンを用いて、任意にマイニングする通貨を選択することが可能なこと。ブロック報酬の減額されたビットコインキャッシュから、経済的合理性に基づいたマイナーが他のチェーンに撤退する懸念が浮上していた。
結果から述べると、一部のマイナーが実際に撤退。ハッシュレートとプールのステータスが低下したのが確認され、一時的にブロック生成に大幅な遅延が生じた。
本稿では、状況を順に追ってデータを紹介する。
半減期とその後のネットワーク推移
ビットコインキャッシュが実行ブロック630,000を迎えたのは、日本時間21時20分。AntPoolがブロックの生成に成功し、報酬が6.25BCHへ半減されたのが確認された。
半減期後の推移
一方、半減期を経たビットコインキャッシュのネットワークで、630,001ブロックの生成が確認できない状況へと発展。結果として、約2時間弱のブロック生成遅延が生じていたことが明らかになった。
当時の状況を確認すると、半減期前と半減期後でマイニングプールのステータスが大幅に減少していることが確認された。
一方、この画像は、半減期が実行されてから2時間40分後のスクリーンショットであり、最も遅延が発生した半減期直後の状況ではない。最も状況が悪化した半減期直後と、その後の推移で大きく異なる点は、ハッシュレート値で1位にランクインするBTC.comプールのハッシュレートが大幅に増加した点だ。
この状況を整理すると、以下の通り。
1.半減期後に主要プールのハッシュレートが大幅低下。プールを利用する一部のマイナーが撤退した可能性。
2.ハッシュレート大幅低下で、ブロック生成に遅延
3.ブロック生成(約2時間弱の遅延)、難易度調整アルゴリズム「DAA」で難易度が一部改善
4.BTC.comが本気出す
この状況では、マイナーが赤字になりながらもマイニングを行なっていた可能性が高い。あくまでも仮説となるが、プールと自社マイニングファームを運営する大手マイニング業者は、収益性を優先する(経済的合理性に基づいた選択)プールの顧客用ハッシュレートを収益性の高いビットコインやビットコインSVに移しつつも、自社ファームのハッシュレートを赤字覚悟でビットコインハッシュレートからBCHネットワークへ一時的に移した可能性がある。
特に、最も大きなハッシュレートが動いたBTC.comは、この事例に当てはまることが推察される。
なお、BTCとBCHの収益性を確認すると、一時BTCが2倍近い収益性を獲得できる状況まで差が広がり、その後、難易度調整などを経て、収益性の差が徐々に縮まりつつある。
なお、現在も多少ブロック生成の遅延は生じているものの、状況は緩和している。
ビットコインキャッシュの価格は?
ビットコインキャッシュ(BCH)の価格は、半減期から一夜明けた8時時点で前日比プラス8%と上昇に転じた。
半減期後にマイナーが一時撤退する動きは、市場も織り込んでいたため、売りに傾くサプライズ要因にはならなかった。
一方で、大手マイナーを中心にハッシュレートの投下が確認されたことからネットワークの回復に見通しも立ち、市場は半減期による売り圧力の低下に期待感を示す向きが強まったことを好感した。
なお、ビットコインSVも好調な推移を維持する。ビットコインキャッシュのプールから転換したハッシュレートの推移を好感したか。約1日後には半減期も控える。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します