
リップル社による融資枠も
米暗号資産(仮想通貨)取引所Gemini(ジェミナイ)は15日、米証券取引委員会(SEC)に提出していた新規株式公開(IPO)の草案届出書を公開した。
ジェミナイはナスダック証券取引所に「GEMI」のティッカーシンボルで上場を申請している。IPO価格は非公開だ。IPOの監督・実行は、ゴールドマンサックス、シティグループ、モルガン・スタンレー、カンターなどが行う。
提出書類によると、ジェミナイの財務状況は以前よりも悪化しているところだ。2025年上半期に2億8,250万ドル(約415億円)の純損失を計上。2024年同期の純損失4,140万ドル(約61億円)から大幅に増えている。
また、同期間における調整後EBITAは3,200万ドル(約47億円)の利益から1億1,350万ドル(約167億円)の損失に転落した。
調整後EBITAとは
利払い・税金・減価償却・償却費を引く前の利益である「EBITA」から、さらに一時的・例外的な費用や収益を引いたもの。
その他、提出書類には、リップル社との最大7,500万ドル(約110億円)の新たな信用枠の詳細も記載されていた。7,500万ドルを超えた場合は、最大1億5,000万ドル(約220億円)までリップル社のステーブルコイン「RLUSD」で引き出すことが可能とされる。
現時点では、この信用枠契約に基づく引き出しは行われていない。
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ジェミナイは、ビットコイン(BTC)初期投資家のウィンクルボス兄弟によって2014年に設立された取引所である。IPOに成功した場合、コインベースとブリッシュに続き、米国で3番目の上場仮想通貨取引所となる見込みだ。
仮想通貨を推進するトランプ政権へ交代してから、米国では様々な仮想通貨企業が株式公開を行っておりIPOラッシュとなっている。
中でも、ステーブルコイン発行会社サークル社は6月の上場初日に69ドルで取引を開始し、一時は300ドル近い高値を記録。現在は149ドル付近で推移しているが、初期の上昇率は近年の米国株市場において異例のことだった。
特に、米国ではステーブルコイン法案「ジーニアス」が成立しており、規制環境が整備されることでステーブルコイン分野の成長基盤が整ったとみられている。
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その他、5月にはオンライン取引プラットフォームのイートロや、著名投資家ノヴォグラッツ氏が率いるギャラクシー・デジタルも取引を開始した。
また、仮想通貨取引所クラーケンも、2026年前半のIPOを計画していると伝えられる。5月に同取引所は、「KRAK」という文字列をXに投稿しており、ティッカーシンボルあるいはトークン名ではないかとの憶測を呼んでいた。
その後6月にクラーケンは、「Krak」という名前のアプリもリリースしている。
仮想通貨や法定通貨でピアツーピア送金が可能で、USDGステーブルコインの残高に対して報酬を獲得できるなど、資産を預けておくことで利回りも得られるものだ。
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