中国で公共調達の入札に新しいブロックチェーン活用事例、IT大手テンセント社の技術が土台
ブロックチェーンによる公共調達入札システム
中国雲南省の昆明市が、中国初のブロックチェーンを活用した入札プラットフォームを公開した。
プラットフォーム名は「Kunyilian (昆易链) 」で、6月23日から公式運用されているという。
試験運用中にも、公式の入札データに関連する約6万のブロックチェーン証明書が発行された。さらに現在、昆明の3万件の公共調達の入札で使用することを目指しているという。
北京のテクノロジー企業「Beijing Zhulong」が、テンセントのTBaaS(Tencent Blockchain as a Service)システムを土台としたブロックチェーン技術を提供。
テンセントはSNSサービス「WeChat」でも有名な、中国のテクノロジー企業大手である。
TBaaSはHyperledger FabricとBCOSをサポート。Hyperledger Fabricは、IBM主導で開発が行われている企業向けの分散台帳技術で、BCOSは、中国最大のブロックチェーン・コンソーシアムの一つ、Financial Blockchain Shenzhen Consortium(FISCO)が提供する分散台帳技術である。
ブロックチェーンをリードするテンセント
テンセントは中国のブロックチェーン分野をリードしており、FISCOの中心メンバーだ。2019年のブロックチェーン関連の特許取得数が多く、5800件のうち718件を取得している。
すでにブロックチェーン技術を用いたサービスを複数展開しており、深センの地下鉄でブロックチェーンによる電子請求書発行システムを配備。
また、ロシアのダイヤモンド採掘企業Alrosa、テクノロジー企業Everledgerと提携して、ダイヤモンドの真贋証明を行えるブロックチェーン小売サービスの開始を発表した。
消費者はダイヤモンドの産地、特徴、真正性や、紛争地域から届いたものではないことなどを十分に理解した上で購入できるようになる見込み。
中国政府、革新的インフラへの投資を呼びかけ
中国の政治局は4月17日に会議を招集、「革新的インフラストラクチャーへの投資の強化」を呼びかけた。
さらに同月に開催された国家開発改革改革委員会(NDRC)の定例会議で、これら「新しいインフラストラクチャー」がより明確に示された。その中で、「情報インフラ」の分野では、以下のようなものが挙げられた。
- 5G
- モノのインターネット(Iot)
- 産業に活用するIot
- 衛星によるインターネット接続
- 人工知能
- クラウドコンピューティング
- ブロックチェーン
- データセンター
- スマートコンピューティングセンター
ブロックチェーンも、投資強化項目に組み込まれていることが分かる。テンセントも、この指針発表後の5月に、クラウドコンピューティング、人工知能、サイバーセキュリティへの資金供給を強化していくと発表。今後5年間で、5000億元(約7.6兆円)を投資するという。
さらに先日より、テンセントも参加している国家ブロックチェーン・プラットフォームである「BSN」(ブロックチェーン・サービスネットワーク)が正式に始動。ChainlinkやCosmosなど様々なブロックチェーンを組み合わせて使用できる中央集権的な許可型のプラットフォームだ。
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