300億円相当の仮想通貨USDT、チェーンスワップを実行
3億テザー(USDT)がバイナンスに
大口送金を探知するWhale Alertが29日午後8時半ごろ、バイナンス取引所の関連アドレスから299,999,900テザー(USDT)がテザーのトレジュリー(自社金庫)に送金されたことを投稿した。
今回の送金は、テザー社が事前告知していたサードパーティと協力して実施したチェーンスワップに関連したもので、3億分のトロン版USDTをERC20に変換することを予告していた。新たな発行は行なっておらず、「テザーの供給数自体は変わらない」と説明している。
テザー社は度々USDTの利用するブロックチェーンからチェーンスワップを行っているが、具体的な理由は説明していない。
巨額のUSDTチェーンスワップでは、昨年9月にも3億ドル分のUSDTがOmniプロトコルからERC20への移行が行われている。
新規発行
また、定期的に実施する数千万ドルにおよぶUSDTの「新規鋳造」については、発行リクエスト(需要)に応じるための「在庫補充(事前発行)」であることを同社CTOが発表している。
米ドルとの為替レートを一定に保つように設計されたステーブルコインとして、USDTは相場の不確実性が高まるタイミングで、エクスポージャー(価格変動リスクのある資産の割合)を減らしたい仮想通貨トレーダーを中心に需要が拡大してきたことも事実だ。コロナショックに伴う価格の急変動時も発行量が増えたタイミングに相当する。
その期間は、USDT発行も歴史的なペースで増加しており、2020年2月当初に約480億ドルだったUSDTの時価総額は4月末に約810億ドルに達していた。
一方、その発行速度のスピードや裏付け資産の問題も相まって、正しく需要を反映した新規発行であるか、懐疑的な見方は強く、仮想通貨市場全体の長期にわたる警戒ポイントとなっている。
訴訟は継続中
なお、テザー社などを相手方としたビットコイン市場の相場操縦を巡る集団訴訟などは、今も継続中だ。
集団訴訟は2019年末に提起されたもので、「テザー社とBitfinexが仮想通貨という技術の名目を謳って入り組んだスキームで投資家をだまし、市場を操縦、そして違法行為を隠蔽している」との主張で合計被害額が1.4兆ドル(150兆円相当)を請求している。
今年2月には、「テザー(USDT)は相場操縦のために発行されているといった主張は誤ったことだ」とする新たな声明をテザー社が発表し、集団訴訟を起こした原告側の主張を否定している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します